(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

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終わってみれば完勝

箱根駅伝順天堂大は強かったねえ。危なげない復路。8位→4位→4位→1位→1位でまとめられちゃかなわん。さすが「復路の順大」。元々復路が強い上に、往路首位ターンという優位さ。各校大駒を往路で使い切るなか、長門・松瀬を最後に残す磐石の布陣。最終10区で区間新記録出されてはねえ。いやはや、タイム以上の差がある横綱相撲。往路・復路ともに勝たれてはねえ。いやはや、恐れ入りました。
しかし今回は良く予想が当たったこと。対抗に予想した東海大は3位だったけど、2日付の記事で復路の有力候補で指摘した日大が総合2位。復路単独でも2位で、本命順大という予想と合わせ、素人の予想としてはやれることは全部やったんではないかと。「東海大よりは見込みがありそう」って書いたくだりも当たってるもんね。ま、日体大・駒大については外れたけど、「本命:亜細亜大、対抗:東海大、大穴:駒澤大」という男らしくない予想をした金哲彦よりはいいよね。何だか金哲彦を叩いてばかりだけど。でも、大穴に駒大はねえよ。
さて本日も項目ごとに。

  • 勢力完全入れ替え

神奈川大の大後監督、山梨学院大の上田監督、駒澤大の大八木監督といった一時代を築いた勢力、名物監督を擁する大学が不振。その一方で順天堂大の中村監督、東洋大の川嶋監督、早稲田大の渡辺監督といった新勢力、そしてかつての名ランナーである青年監督が台頭。レース前は選手起用で無理するのではと危惧を持っていたが、蓋を開けると若々しくも実に洗練された名采配。東海大も大崎コーチのチームになりつつあり、惜しくも11位とシードを逃したものの、城西大学の平塚監督も着実に実績を残しつつあり、指導者の世代交代とともに、勢力図が塗り替えられている感じ。
特に神大の繰り上げスタートには思うところがある。かつての優勝校だけにねえ。急速なレース内容の進化に体制がついていけない感じ。20キロをまともに走るランナーを10人揃えればいい時代は終わり、その中にエースとスペシャリストを如何に混ぜるかの時代になったってことなんでしょうね。

  • レースの中距離高速化

箱根駅伝での基本的なタイムの目安は1キロ3分。そのため、選手の実力を測る物差しとして「1万Mで30分」というのがあり、如何に30分を切る選手を揃えるかが基準になっていた時代が長く続いたけども、もはやその基準は「1万Mで29分」に上方修正。30分を切って当たり前、如何に28分台の選手を集めるかというレベルになってきました。もう29分台じゃ何とも思わないもんね。それだけ高速化が凄い。
しかしこの高速化は、長距離選手の高速化じゃない。あくまで中距離選手の高速化。マラソンで強いランナーを、短い距離でスタミナが楽になる分速く走らせるアプローチではなく、中距離で強いランナーをスピードを維持しつつ、20キロ持たせるというアプローチ。本質は中距離ランナーなんだよね、みんな。
だから、これが将来の日本の陸上界につながるかは正直言って疑問。1万Mばっか強くなってもねえ。あのあたりの距離はナチュラルに高地トレーニングしているケニアエチオピアにゃ勝てませんて。
でもってマラソンの適性が磨かれているわけでもない。彼らがやっているのは「ラップ○秒」という中距離思想で、設定タイムを実現するために、どうラップを刻むかという発想。長距離、特にマラソンはそうじゃないんだよね。オリンピックなんかは特にそうだけど、タイムどうこうより、トップ集団に付いていき、どこで仕掛けるかっていう発想。タイムレースと対人レースの差がある。そんなわけで、ここ最近のレベルアップにはスゲエとは思うけど、先行きに心配になる次第。

  • 1区の重要性高まる

終わってみると、やっぱりベスト起用は1区の佐藤だね。あの4分差は本当に大きい。果たして他の区に佐藤を使ったとして、4分も差がついたかというと微妙。集団が団子状態でけん制しあう1区だから、ああいう大差がついたわけで、苦肉の差とはいえ、あの起用はベストですよ。
とはいえ、一度公になった戦略は真似される運命。来年以降はどこの大学も同じこと考えるでしょう。となると、ああいう大差は付かず、どこも着いて行く戦略になるわけで、そうなると比較的力を落ちる選手を起用し、大集団にひたすら着いて行って大差が着かないようにし、大駒を温存したほうが当たりになる。相手があってこその戦略であり選手起用なので、今後は1区から気が抜けませんな。
で、最後に来年の展望ですけども、◎本命は東海大、○対抗に日大。今井・長門・松瀬が抜ける順大は厳しそう。順大よりは上積みがある東洋大早大に魅力アリ。駒大も来年の方がいいけど、如何せん今年負けすぎ。とりあえずは5位以内なら上等。亜細亜も出直し。中大は上野のラストイヤー。ここでしくじると、再来年以降が悲惨になる。名門校の背水の陣。いやはや、来年も楽しみだ。