(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

ローガン大統領=鳩山法相

「24」のシーズンⅤを何だかんだで見ているわけですが、これがまた意外と深いテーマが随所にあるわけですよ。特に考えさせられるのは「政治と倫理観の相克」ね。「国のリーダーは何を優先すべきか」という。
一面で「最大多数の最大幸福」という原則があるのはわかっとるわけです。最も国としてハッピーな選択をしようと。それがリーダーの仕事であると。ただそこに犠牲が伴うときに迷いが生じる。それも人間。「100万人の死を防ぐためなら、100人死んでもOK」という判断ができるか。ましてやそれを冷静に見守ることができるか。「最大多数の最大幸福」を求めるリーダーとしては正しいけども、目の前で死んでいく人間を敢えて助けないのは人間としてどうなのよと。こういう割り切りの部分ってのは非常に難しい。
ただ、こういう問題ってのは難しいし、目の前の人間を救うのも見放すのも正しいからこそ、それは政治の問題なのよね。リーダーの仕事。同時にリーダーしかできない。シーズンⅤでもローガン大統領が困難な決定が必要な場面で「現場で判断しろ!」とぶち切れ、それに対して「お言葉ですが」と現場責任者が反論するシーンがあるんだけど、選挙で選ばれたリーダーだからこそ決める必要があるんだよね。ましてや大統領制の場合は、国民に最高責任者とそて選ばれたので尚更。
そんなこんなを考えているうちに、はたと「あ、日本にもローガンがいるな」と思い出す。鳩山法相ね。死刑オートマチック発言。

死刑って国が行う究極の暴力なわけね。罰金とか牢屋行きとかじゃなくて、殺しちゃうわけだから。取り返しがつかない刑罰。同時に倫理の問題もある。「人が人を殺していいのか」という問いはなくならんでしょ。オレは死刑制度賛成だけど、反対論者が完全に間違っとるとは言えないもの。考え方が違うってだけで。
だからこそこういう問題は官僚に任せちゃいかん。高度な政治決定の問題。リーダーが信念に基づいて、ある者は悩み苦しみ、ある者は冷静に淡々と。そういう過程を経るべき話じゃねえかと。それがリーダーの務めじゃねえですかね。難しい問題だからこそリーダーが決めなきゃいかんのですよ。またこういう難しい問題に答えが出せる人間がリーダーになるべきですよ。

 鳩山法相は「判決確定後六カ月以内に法相が執行を命令しなくてはならないという法律は守られるべきだ。しかし、誰も死刑執行の署名をしたいとは思わず、法相に責任をおっかぶせる形ではない方法がないかと思う」と語った。

「誰も死刑執行の署名をしたい」と思わないから法相がすべきなんだよね。それが法相の仕事なんですよ。「現場が判断しろ!」じゃいかんのよ。
「法相に責任をおっかぶせる形ではない方法」じゃいかんから法相の出番なんですよ。官僚が業務として死刑を行うようでは困る。まがりなりにも国民の命を奪うわけだから、国民に選ばれた内閣の一員が決定する。それでいいんですよ。
ちょっと前の話だけども、ローガンのダメさ加減に、鳩山法相がフラッシュバックした次第。難しいことを現場に押し付けるヤツは政治家失格。難しい問題を引き受けてこそ政治家だと思いますがね。