(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

「食えるものを食えるように売る」と「食えないものを食えるように売る」との違い

不二家の一件に引き続き、タケルンバは比較的冷静に見ております。「赤福」の製造日偽装。

各マスコミが一斉にギャーギャー騒いどるけど、そんな問題ですかねえ。
ま、問題ゼロじゃねえですよ。製造日を意図的にごまかしてたのは事実。JAS法というルールを破っていたことも事実だし、それがよろしくないことも事実だ。けれど、だからどうしたという話ではあるんだよね。「食のルール違反」ではあっても、「食の安全を脅かした」なんて言えんもの。30年前から偽装してたようだけど、結局この30年間にそういった問題はなかったわけで。

 三重県も12日午後、会見を開き、「製造工程には食品衛生上問題はなく、健康被害に関する問題は全くない」と強調した。

ここが重要ね。違反は違反だし、悪いことは悪いんだけど、ギャーギャー騒ぐほどの問題は何もない。被害があるわけでもない。健康を損なう恐れも無い。それでぶっ叩くことに罪と罰のアンバランスを感じるのですな。割に合わない。
これ、最近の食品偽装全般に言えることね。「白い恋人」「不二家」ともに、ちと厳し過ぎる気がしますよ。それよりもっと悪質なケースがある。
例えば「ナイルパーチ」を「スズキ」として売るのは問題ないんですかね。回転すしとかで。オレは悪質さではこっちの方が上だと思いますよ。詐欺に近い。こっちの偽装は意図的にスズキのイメージを利用している。ナイルパーチじゃ売れないけど、スズキなら売れる。本来はべらぼうに安いんだけど、スズキには高級魚のイメージがあるから、安く出しても客にお得感がある。このイメージ差を利用する商法を詐欺と言いませんかね。
あるいはスーパーの惣菜部門。精肉部門で一枚肉として売っていた肉がある。賞味期限が切れたので売れなくなった。じゃその肉は捨てるのかというと捨てない。惣菜部門に行くわけです。そこでどうなるかというと、例えばミンチにする。ミンチにして、同じように売れなくなったジャガイモと混ぜる。これでコロッケのタネができるわけですな。
で、コロッケのタネ。賞味期限はどうなるかというと、揚げた日プラス1日です。賞味期限が切れた肉とジャガイモで作られたのに、賞味期限は延びるわけですよ。しかもタネの状態を成型し、冷凍しとけばいつでも生産できますわね。これ、赤福とどう違いますかね。全国のスーパーで何の問題もなく行われている手法。片方がアウトなら、両方アウトが自然じゃないですかね。
ちなみに「肉じゃがコロッケ」なんかもっと悪質だわね。賞味期限が切れたものでつくったコロッケのタネに、売れ残った肉じゃがを混ぜて作ります。もちろんこの肉じゃがも、賞味期限が切れたやつとか、端肉とかサイズが微妙なヤツで作ったもの。微妙なコロッケに微妙な肉じゃがを足して作ったものが肉じゃがコロッケであります。こういう唐突なネーミングのコロッケは全部怪しんでよし。基本的に余りモノの再利用と考えると吉。合言葉は「揚げればわかんねえ」ですから。
で、オレは赤福ナイルパーチもコロッケも問題はほとんどねえと思っているので、あまり叩く気がせんわけです。白い恋人不二家もセーフ。どれも食べれるものを売ってるから。腐ってるわけでねえし。そこが雪印とは違うし、砒素入りミルクを売った森永とは究極的に違う。「食の安全」というキーワードで一緒くたにされとるけど、本質的に全然ちがいますから。前者は食えるものを食えるように売ったというルール違反で、後者は食えないものを食えるように売った犯罪。ここんところは区別が必要。あんまり叩いて名物がなくなるのはつまらんぜよ。