温泉を薄めているヤツちょっとこい
箱根の温泉が「週刊文春」にやられましたね。
ちなみにこの人工温泉。この記事で書いたのがそれ。
関所とか駅伝で有名なHだって、人工温泉が幅をきかせていたりする。水を温泉地層にぶち込んで、蒸気なんかが混ざった水が温泉になるという。わかりやすく言うと「大涌谷の下」ね。丸わかりじゃんかよ!
箱根とか熱海の旅館・ホテル・保養所関係者では有名な話だったんですがね。どうも一般的な話ではなかったようで。それを文春に嗅ぎつかれ、記事にされてしまったと。そういうことであります。
で、あらためてどういうことがやられてるかというと、こちらのリンクによると、こういう手順。
要はためといた水に、大涌谷で湧いている温泉ガスを混ぜ、人工的に温泉をつくっとるわけね。天然ではない。
ただ、成分的には問題なく温泉なわけですよ。それこそ地中で自然に温泉となり、地上に湧き出るか、それを人為的につくりだしているかの差なだけ。内容に問題はない。それを叩くのはどうかねえという思いはありますがね。で、これを言っちゃうと、ほとんどの有名温泉施設はアウトになる。熱海・伊香保・有馬・道後・草津など、まあ有名な温泉場はあるけど、どれだけちゃんとしていますかねえと。
今回、「週刊文春」にやられたとはいえ、箱根は造成温泉だけど、実は温泉地としては相当まともな方。だって成分はちゃんと温泉だもの。引いた温泉をちゃんと使ってる。表示されてる成分そのまま。ところが、有名温泉の中には薄めているところがありますからねえ。温泉を引いて、自分ところで水を混ぜて出す。6:1くらいならいい方。へたすりゃ10:1くらい。10倍希釈当たり前。で、それだけ薄めると温泉の効果もへったくれもねえので、天然だけど造成温泉の箱根以下なわけですな。天然だけど、人工以下。
ま、偽装関係の話ってこういう矛盾が付き物なんですよ。偽装品の方がうまいとか。人工の方が良いとか。結構あります。肉の偽装がばれないのは、偽装した方が意外とうまいとかあるからなんですよね。中国産とかばれないのもそう。調理の仕方によっては、国産のものより、中国産の方がうまかったりします。実は「善意の偽装」もあるのでねえ。このあたり、意外と話は複雑。ラベルより内容なのですがね。本質は。
ちなみに「薄める温泉」の判別方法ですが、ま、循環は怪しんで良し。かけ流しは途中でお湯を混ぜられないから、温泉そのままの可能性が高い。さらに言うとボイラー設備がある温泉は怪しい。温泉は文字通り「温かい泉」なのに、何故温める必要があるか。お水を混ぜるからなんですねえ。お湯の温度をコントロールする必要があるからなんですねえ。ボイラー室で水と混合し、42度前後に調節して流すと。そういうシステムが必要なので、薄めるタイプにはボイラー設備が付き物なのよ。
さらに言うと、温泉の入浴時間が限られていると完全確定。何で夜はお風呂に入れないか。電気代・燃料代がかかるから、ボイラーは夜は止めたいのですよ。で、ボイラーを止めるから、お湯が冷たくなるからなのですな。そういう理由。
ついでに言えば、朝より夕方の方がお湯はキレイ。その理由。チェックアウト後に清掃を入れるので、清掃後の午後2時・3時はもっとも新しいお湯が入っている時間なのです。お湯を抜いて清掃をかけるとしたら、このお掃除タイム。お湯を全部入れ替えないまでも、もっとも新しいお湯を継ぎ足すので、キレイ好きな人は夕方推奨。
逆に朝は昨晩のお湯を循環させて温めるだけなので、お湯の鮮度としては低い。また塩素濃度がもっとも高かったりします。昨晩放置されたお湯には菌が繁殖するので、朝イチで次亜塩素酸ナトリウムを投入し、消毒するのですよ。レジオネラ菌が怖いですから。塩素スメルがするのもこれのせい。肌が弱い人は「朝は肌がピリピリするね」と言うのはこれが理由。すまん。そりゃ次亜塩素酸ナトリウムのせいだ。
ちなみに濁った・濁ってないは一切判別の基準になりまへん。あんなの簡単だから。濁らそうと思ったら、いくらでも濁らせるんで。またニオイも同様。硫黄臭をつけるのもまた簡単。参考になりませぬ。こういうものより、実は口コミの方がよっぽど参考になりますよ。いい温泉は、やっぱいい。造成温泉とはいえ、箱根はオススメ。冷え性の方にはいいと思いますですよ。こういうニュースが出ると空くので、天邪鬼にはいいタイミング。是非箱根へどうぞ。大涌谷で黒玉子も忘れずに。