(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

幸せのツマミ食い

直撃世代のオレがやってきましたよ。

心の傷ですか。そうねえ。傷なんだろうねえ。確かに就職氷河期だったねえ。世は不況不況言われていたし、拓銀やら山一證券やらがバシバシ潰れてた。ゼミの後輩を見ていても、最近の就職事情は恵まれている気がしますよ。単純な比較ならね。
ただ、必ずしもこの世代が不利で、今の世代が有利とは言えんのよ。だって世の中はもっと複雑でしょ。確かに今の方が就職事情はいいかもわからんけども、トータルで見ていいかどうかわからん。例えば就職活動を始める時期。これ、ハッキリ言って今の方が早い。最近は3年の秋口でも遅いくらいで、夏あたりには準備開始という話は少なくない。我々の時代はマスコミなんかの早い業種でも秋。年末スタートでも普通。となれば今の世代の方が学生生活を犠牲にしているわけですよ。約半年間を。この半年間を考慮に入れないで「就職決まっていいなあ」という結果だけうらやましがるというのはどうなんでしょね。
それに、そもそもの話。いくら我々世代が就職氷河期だ不況だなんだ言っても、就職できているヤツは就職できているわけですよ。成功しているヤツは成功している。自分の手柄だろうが、他人の手柄だろうが、うまくいってる人間はそこそこいる。そういう人間になりたいのであれば、そうなるようにがんばれやと。それしか言えんのよね。少なくても自分がまず動けと。この期に及んで助けを待ってるんじゃねえ。人をあてにするんじゃねえ。冷たいかもしれんけど、この世代の人間だからこそ逆にそう思うのよね。そういう時代を潜り抜けて今まで生きてきたのはお前だけじゃねえと思うので。
実際オレなんかも典型的なこの世代の住人ですからね。新卒内定とれませんでしたし、ええ。ま、まともに就職活動してなかったせいでもあるけど。でも何とか生き抜いてきておるわけですよ。新卒で就職できなくても、いくつかの仕事を渡り歩いて今日に至るなわけですよ。時に就職誌で仕事を探し、時に自分から売り込み、時に個人で仕事をこなし、時にヘッドハンティングされる。そんなこんなで生きているわけですよ。

企業は新卒を採用するので、最初のタイミングで躓いた人はもう就職の希望はほぼ途絶える。

これは正しくない。新卒で就職しようがしまいが、躓こうか躓くまいが、就職できるヤツは就職できるし、転職できるヤツは転職できる。

  • 就職しようとする意思
  • 就職するためのスキル(情報収集・面接力・自分の売り込み)
  • 就職後に活用できるスキル(業務能力)

この3つがあるかどうか。能力があっても就職しようとしなければ就職できないし、意思あるし仕事はできても、就職活動のスキルがないと就職できない。ここ意外と重要。仕事のスキルと就職活動のスキルは別。ここで躓いて自信をなくすケースが多いんじゃないかねえ。全く別の素養だと思うんだが。まいずれにしても、就職の問題は基本は本人の問題。世代とか時代とかの理由じゃねえです。本人が悪いのよ。運不運はどんなときにもあるわけで、そこは平等。差がつくのはあくまで本人。

他の世代が受けられた社会的恩恵よりも、ずっと低い生活を覚悟すれば、仕事は無いわけではありません。しかし、上の世代と比べても、下の世代と比べても、同程度のレベルの人が正社員で暖かい家庭やマイホームを築けていても、同じぐらい、いや、それ以上に努力しても、この世代の人たちにはそんな仕事はなかった。派遣で日雇い労働して狭い部屋で独りで暮らすか、実家の親に養ってもらうか、そういう選択だったのです。

こら随分また極論だなあ。ただこれが真実。

他の世代が受けられた社会的恩恵よりも、ずっと低い生活を覚悟すれば、仕事は無いわけではありません。

そ、あるんですよ。仕事は常にある。仕事はあるけど、周りと比べる。周りと比べるから不満に思う。それだけのことでしょ。「隣の芝生は青い」以外のナニモノでもない。メリットだけが気になり、デメリットが考慮されない。メリットだけが欲しい。そういうワガママなような気がしてねえ。

程度の低い暮らしをしていると、他の世代からは、その程度の人間だったのだなと見られます。

程度って何でしょうね。どういう暮らしがいいんでしょ。結局自分が無さ過ぎる。どうしたいのかという基準がない。あるのは「みんなと一緒」。他の世代と同じような就職をし、収入を得る。人並みの家庭をもって円満に。そういう幻想。ただこれは幸せのツマミ食いなわけですよ。そうそううまくいくもんじゃない。またうまくいくためには犠牲が出る。健康を損なう人もいれば家庭を犠牲にする人もいる。逆に家庭を守るために仕事を犠牲にする人もいる。それは全て個人の選択の話。
自分が望んで就職しないなら、それはそれで幸せじゃないですか。引きこもり大いに結構。程度の低い暮らしも大アリ。誰にとやかく言われても気にしなければいい。堂々と生きていればいい。他人の目線が気になるのは「このままじゃダメだ」という現状に対する疑問があるから。ダメだと思っているから、ダメだという目線が痛い。現状を幸せに思っていれば他人の視線なんて気になりませんよ。自分自身に対する不満を他人の目線に投影しているだけでさあ。

同世代に就職に失敗した人が多いと、ちゃんと就職できた人が居ても、同窓会も盛り上がりません。

盛り上がらないのは、あなたが盛り上げないから。受け身だから何事もそうなる。同窓会を盛り上げたいなら、あなたが盛り上げればいい。あなたが何もしないから、盛り上がらない理由をよそに求めることになる。
逆に30にもなって就職云々で同窓会の盛り上がりが決まるって気持ち悪い。どれだけ執念深いんよ。いい加減忘れろよ。この分だと40になっても同じこと言ってるヤツがいる気がする。
「おじさんの若い頃はなあ、就職氷河期って言われてて、全然仕事がなかったんだ」
若いヤツに「だから何?」って言われるのがオチ。過去より未来に、他人より自分に重心を移しては如何? 他人の目線を気にしなければ、世の中はかなり生きやすいと思いますがねえ。
(追記)2008/02/27 19:00
そんなわけで、わたしゃ就職活動で内定ってのをとったことねえです。転職はあるけど、新卒採用失敗組なので。
なので後輩に「内定ってどうすりゃとれますか?」と聞かれると難儀する。すまん、オレも知らんのだ。内定をとらないまま30になっちまったもんで。辞表の書き方とか、失業手当のもらい方とか、求人票の読み解き方は詳しいんだがなあ。仕事辞めたくなったらおいで。