モルツあぼーん
これも業界再編の動きといっちゃ動き。アサヒがワタミに出資するそうで。
ワタミにはサントリーが出資してるんだよね。サントリーがチェーン展開していた「白札屋」をやってた縁もあって。
ワタミは同社に5％を出資するサントリーのビール系飲料のみを販売してきた
NIKKEI NET - アサヒ、ワタミに４％程度出資へ・外食向け販路拡大
そんなわけでワタミが扱っているビールは「モルツ」であったと。スーパードライも一番絞りもラガーもない。サントリーのモルツ。
ただ、これだとオッサンに弱いんだよね。「アサヒないの？」「スーパードライは？」ってオッサンはかなり多い。実際国内シェアの数字を見ればわかるけども、サントリーは１０％程度。アサヒ・キリンには大きく水をあけられている。
ここが非常に痛いところ。ビール飲みはサントリーをあまり選んでない。ということは、居酒屋でビールを飲もうとする人も、サントリー以外を飲みたいって人が多いんだよね。ま、ビールなら何でもいいっていう人も多いんだけど。
そんな中でアサヒの出資というのはワタミにとっては渡りに船。
4月から一部店舗でアサヒの商品に切り替える
NIKKEI NET - アサヒ、ワタミに４％程度出資へ・外食向け販路拡大
ここまでガラッと切り替えなくても、両方置いておくだけで意味がある。「ビールはアサヒとサントリーどちらになさいますか？」で十分意義深い。ラインナップとして揃えておくだけでいい。
そして後は客が選ぶだけの話。サントリーが売れようがアサヒが売れようが、ワタミには実害はあまりない。在庫管理がちょっと面倒になるくらい。瓶ビールを２種類冷やさなくてはならんと。在庫も余分に持ってなくてはならんと。バイトガンバレというところ。
ただ、これは時間が解決することで、しばらくすれば売上パターンがわかり、サントリー・アサヒをどういう割合で冷蔵庫に入れておくのがいいのかとか、どのタイミングで発注すりゃいいのかわかってくる。当初はあたふたするけども、ワタミには問題はない。
もちろんアサヒにも問題ない。売上ゼロだったワタミで売れるわけで、どういうことになっても売上は増える。プラスなことは間違いない。
サントリーは涙目。アサヒが売れる分、売上が落ちる。マイナスであることは間違いない。ま、創業からの経緯とか、カクテルなんかのリキュール、あるいはサワー用のシロップ・ホワイトリカーなんかがあるので、丸っきり付き合いがなくなることは今後もないだろうけど、これから年がら年中、相見積りをとられることになるんだろうねえ。
しかもアサヒと談合しようとすりゃ公取にやられるし。
これはニンテンドーＤＳの話だけど、類似事例になる可能性がある。最初はシャープだけで液晶パネルをつくっていて、後から日立が入ってきた。相見積り、相見積りで価格が下がってきたので、これはヤバイと談合しようとしたら価格カルテルであぼーん。シャープをサントリー、アサヒを日立に置き換えるとリアル。
こういうメーカーと居酒屋みたいな合従連衡、あるいは奪い合いってのは今後もあるはずなので、推移が気になるところ。キリンも黙ってなさそうだしなあ。サントリーも大変だ。草刈場にされるなよ。
