(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

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中国の今後を占う

時事的な話ということで、ご好評をいただいております、中国・チベット関連記事。

今回は第三弾。今後の展開を予測してみたいと思います。

暴動は激化する?

しません。中国全土にうすーく広がる可能性はありますが、次第に散発的になるかと思われます。
まず暴動が起こったチベット・ラサですが、どうやら鎮圧したような雰囲気です。今以上に激化することはないでしょう。「暴動を制するには勢力の逐次投入ではなく、一斉投入」という鎮圧のイロハに従って騒ぎを治めています。散発的な小競り合いはあっても、大きな暴動に再度発展するのは難しいかと思われます。当局も遠慮仮借なく暴力をふるっておりますし。1989年当時よりさらに容赦がない感じです。圧倒的な暴力により、対抗する意欲をなくさせる。それに成功した印象を受けます。
暴動を企図している者には徹底的な弾圧を加え、当局になびくものには限定的な自由を与える。そういう小さなアメと厳しすぎるムチという戦術で今後も対応するはずで、それに対抗する術、資金、武器、頭数を持たないチベット側はどうにもならんことでしょう。
ましてこのやり方は、現在の国家主席である胡錦濤方式と言えるやり方。現在のCEOが磨き上げた方法論。部下である書記以下の共産党員たちは、疑いなくこのやり方を踏襲するはず。それが国家主席に対する忠誠心を示すことになりますし、中国共産党の利益にかなうことなので。
懸念があるとすれば、うすーく各地に広がる可能性。四川省などの近隣の省でも騒ぎが広がっていますし、チベット自治区の北にあるウイグル自治区も黙っていない。また西側ばかり話題になりますが、他の地区だって危うい。北のモンゴル自治区、東の黒竜江省あたりはその候補。特に黒竜江省はハルピンなどの都市もありますし、遼寧省なども含めた工業地域。騒ぎが起きた場合のインパクトが違うし、都市なので外国人居住者・観光客も多く、チベットみたいに流入制限はできないし、情報統制もきかない。
ただ、それにしても当局の制圧力に対してはあまりにも無力なので、渋々ながらも雲散霧消するかと思われます。時間の問題。

オリンピックをボイコットする国は出る?

出ません。ボイコットできる国がない。
ボイコットの可能性が議論されていますが、ありえません。何故なら、モスクワやロサンゼルスのときと社会背景が違いすぎる。モスクワオリンピックで日本を含む西側諸国がボイコットできたのは、ソ連と付き合ってないから、ダメージがないからなのですよ。東側諸国とそもそもお付き合いがないので、ソ連と縁を切っても問題なかった。当時の経済といえば西側諸国の間にだけあったわけで、そのつながりさえ大事にしていればいい。
天安門事件のときもまだ良かった。当時はまだあまり日本企業も進出してなかったし、そもそも中国がまだまだ閉鎖的で、発展していなかった。だから、国際的な制裁を決めても日本はのれたし、世界も困らなかった。
しかし今は違う。ボイコットをして、中国を敵にまわしてもいいと思える国はない。世界的に影響が大きすぎるし、中国に進出している企業が山とある以上、失う利益は天文学的。
例えば日本の場合、食料を海外に頼っている。中国からも食料を輸入している。そうした状態でボイコットできるのか。「じゃ、食べ物いらないね」と輸出を止められて困らないか。「ボイコットしなければ、今までと同じお付き合いできますけどね」とツンデレを発動された場合、ツンを選択できるのか。
アメリカだってそう。今やIBMのPCはレノボだしなあ。DELLも大連とかに工場とかサポートセンターがある。あるいはウォルマートで売っている商品、例えば靴やバッグなどは広州でつくり、香港から船で輸送している。この流れが止められると脅されて、あるいは脅されずとも、そうなることが目に見えているのにボイコットが選択できる国はどれだけあるんだろうね。
まして、中国はボイコットした国に容赦のない行動をとることは目に見えている。ボイコットは中国に対する敵対行為と受け取る。そうした場合、中国に進出している企業が迫害を受けることは間違いない。同時に、中国からボイコット国にモノが輸出されることはない。売らない、買わない。一切の付き合いお断り。そういう展開は火を見るより明らか。
もうひとつ、特にアメリカがボイコットできない理由。中国はアメリカの財産をかなり持っている。アメリカの国債を持っているし、ドルもたっぷり持っている。中国は今や世界最大の外貨準備高を誇っている国ですからね。そういう国を敵にまわすとどうなるか。まして今はドルが不安定。そうした場面でドル建て資産を売り浴びせられたら……こう考えればアメリカは動けない。動けるはずがない。
昔と違って中国は世界経済の中で欠かせないプレイヤー。である以上は敵にまわせないし、敵にまわすようなボイコットはできない。そういうことになるかと思われます。

オリンピックは無事開催される?

されます。運営上の面白問題は色々あるにしても、オリンピックは滞りなく行われます。
世間では不安を煽ってますし、「大丈夫か?」ってムードをつくろうとしてますが、結局は大丈夫です。中国はそういうところは力づくでやる国です。国益にかなうものは、どんなに金を使おうと、人力を使おうと、犠牲が出ようと、住民に迷惑がかかろうと、ヤツはやり遂げます。絶対やります。少々のことは人海戦術と金と暴力で解決します。あそこはそういう国です。そういう考え方をする国です。
ですから、気がつくと「……無事終わったね」みたいな感じになるかと思います。終わってみたらあっけないねと。そんな感じ。水面下では色々あっても、表面上、そういうのは見えないように押さえつけることでしょう。であれば見えないわけだし、見えないものはわからない。である以上は滞りなくオリンピックは終わる。そんな感じかと思います。
暴動は激化しないし、ボイコットする国は出ないし、オリンピックは無事開催されます。これがタケルンバの予測です。ま、個人的に参加辞退する人は出るだろうけどね。でも個人どまりだろうなあ。もう世界経済が入り組んでいすぎて、誰も中国にはケンカ売れないよ。中東とアフリカとか仲がいいし、ガッチリだしさ。
以上であります。