(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

「ググレカス」で終了する件

そのまんま東乙。宮崎県の位置がわかる高校生は42%とな。

高校生で東国原英夫知事で注目される宮崎県の位置が分かるのは42%

http://sankei.jp.msn.com/life/education/080319/edc0803192031011-n1.htm

このニュースを見て、真っ先に思い出したのは「バカ日本地図」

意外と自分が住んだことないところは、いい加減に覚えてるんだよね。東の人は西がわからんし、西の人は東がわからんもの。中国だって、上海の人に「重慶はどこ?」って聞いてもわからん人多いし、アメリカだってボストンの人に「シアトルはどこ?」って聞いても「知らん」って人がいる。どこの国もそんなもんですよ。関心のない、興味のない、自分に関係ない知識は身につかない。残念ながらそういうことよね。
ただこれはどうかなあ。

同学会では、国際社会で生きるために地理の履修こそ必要だとしている。

http://sankei.jp.msn.com/life/education/080319/edc0803192031011-n1.htm

オレはまったくそう思いませんな。オレはある意味、地理オタクで、高校時代に地理を履修してたし、英語・数学で学年ビリを独走する中、地理だけは良い成績だったのだけれど、そういう自分の経験に照らしても、地理を優先すべきと思わない。「地理を学んだほうがいい」というプラスの効果については認めるし、知っていると役立つのは確かだけど、他の教科を削ってまで優先することだと思わない。他の教科だって役立つわけだしねえ。他の教科より、地理が大事であるという根拠に欠けるよ。
それにこの問題に関する答えは一言で完結するしさ。

ググレカス

これに尽きるっしょ。
大体こういう話で疑問なのは、マイナスところばっか強調するところ。あれができないこれはできない。あれを知らないこれを知らない。あれがわからないこれがわからない。そんな話ばっか。でも、実際はそういうもんじゃないよね。昔より劣る部分は確かにある。でも、昔より優れた部分もある。そういうプラスのところに目を背けすぎじゃねえかと。短所を強調するあまり、長所が見逃されているよね。
それに、そもそもの話。今の学生と昔の学生。そんなに変わるわけないんですよ。同じ生き物なんだしさ。16歳の学生であれば、今も昔もその歳になるのに費やされてきた時間は一緒。ということは、細部に差はあれど、積み上げたきた経験値は似たようなもの。スキルポイントの合計値は変わらない。ただ、そのスキルポイントの配分が違うというだけなんですよ。

  • 自分たちは地理にポイントを配分してきた
  • だから宮崎県の位置を知っている
  • だけど今の学生は知らない
  • あいつらバカか?

こういう考え方なんだろうけども、彼らは地理にポイントを配分しなかっただけ。その時間を他にあてていただけなんですよ。「ファイナルファンタジー10」だってスフィア盤の進み方によっては、全く違うキャラになるじゃないすか。あるいは「ファイナルファンタジー12」だってライセンスのとり方によって違ってくるでしょ。単にそういうことだと思うんですよ。自分と違うキャラの育て方だからってバカにするのはおかしいよね。
それにもうひとつ。16歳だとしたら、今も昔もかかる時間は一緒。であればスキルポイントの獲得値は一緒で、身につけたスキルの合計も一緒になる。だから今も昔も学生のレベルは変わらないんだけど、今後の難易度は変わりうるんだよね。そして今の学生の方が、実は今後の難易度を低くプレイできる可能性が高い。
例えば「ファイナルファンタジー12」のライセンス盤。いくらポイントがあるからって、ガンビットスロットばっかり増やしてもしょうがないわけですよ。また、手に入れてない武器とか防具のライセンスを身につけてもしょうがない。そういうのを先にとるよりは「行動時間短縮」みたいなものを先にとると、後の方まで楽なのですよ。最後まで有効だし、汎用性があるから。もちろん「行動時間短縮」は奥にあったりするのでとりづらいし、手間がかかるんだけど、先にとるとその後の戦いが楽になる。敵を倒すのにかかる時間が短くなる。そうするとレベル上げ・ポイント集めの時間が早くなるので、遠回りのように見えて、結局最終的には時間短縮になると。そういう「急がば回れ」効果がある。
翻って地理の有用性について考えると、それを高校生という早めの段階で習得する意義がないんだよね。汎用性があると思えない。あれば使えるし、楽なんだけども、それが無ければ不利かと聞かれると疑問。地理なんて大抵の知識は「ググレカス」で解決するからね。Googleで調べればいい。
それより何より、個人的には「ググれる」スキルの方が大事だと思いますな。ググればわかるものが多く存在するのであれば、先にググることを教える。そっちの方が先じゃね? 宮崎県の位置なんて地図見ればわかるんだし、大した問題じゃないでしょ。検索できればいいんだから。検索することを教えれば、後はどうにでもなるっしょ。
そして実は検索に関しては今の学生は問題ないんだよね。「ググレカス」って言葉があるのがいい証拠。「ググれ」ってことはGoogleで調べることが当たり前ってこと。もはや常識であり、誰でもできる。今の学生はパソコンも扱えるし、携帯電話も扱える。ネットに抵抗ないし、ADSLや光でストレスフリーのアクセス環境もある。であるならば、後はどうにでもなる。放っておいてもそのうち身につけることでしょ。心配ないよ。調べる術はあるんだから。
そう考えると、実は今「バーカ」って言われてるヤツらの方が、前の世代より上に行く可能性すらある。いや、その可能性は高い。ものを調べる環境は昔よりはるかに整っているからねえ。GoogleだけじゃなくてWikipediaもあるし。自宅でも十分勉強できる。
昔はこうはいかなかったからねえ。親に聞くか、先生に聞くか、近所のおじいちゃん・おばあちゃんに聞くか。いずれにしても人にあたらなくてはならなかった。そうなると対人関係なんで恥ずかしい。「聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥」ってのはまさにこういうことがあっての格言。ところがGoogleにはこういう気恥ずかしさなんてないからね。対人関係がないので、自分の無知がばれない。知らないことを堂々と調べられる。
ま、本当は無知をGoogleには知られるんだけどね。でも、世の中の人が調べているものってこんなもんだし。

こりゃexciteだけど、Googleも似たようなもんですよ。こうしてオレが見ている間にも「緊縛」「エロ」「長谷川京子 裸」なんかで調べているヤツがいますよ。それに比べて「宮崎県」の何が恥ずかしいって話で。調べるにあたっての壁なんてなきに等しいです。ガンガン調べられるよ、恥ずかしげもなく、遠慮もなく。しかもコストフリーで。
そうなると、先にGoogleを手に入れた分、彼らは効率よく調べ物ができる。16歳くらいまでならそう変わらなくても、30歳になったとき、50歳になったときどうなるか。「なんだ、あいつら俺たちがガキのときに『バーカ』って言ってたけど、大したことねえなあ」となるのでは。まして知識は一定量に達すると一気に伸びるし、化学反応が起きますからねえ。

バカにできるのは今のうちだけかもしれんよ。「いまどきの若い者は」が言えるうちが華。
ただ、ひとつだけ懸念があるな。

実は今「バーカ」って言われてるヤツらの方が、前の世代より上に行く可能性すらある。

こう書いたけど、本当は上に行ってもらわないと困るんだよね。それだけ社会が発展してるんだから。本来は上に行くのが当たり前。ないものがある。不便なものが便利になっている。環境は良くなっているわけで、上になるのが当たり前。
こういう環境面が整備されることで、昔より楽に今までの英知を手に入れることができる。だから、今までの人間のレベルになるのはそんなに難しくないんだけど、社会の発展とか、科学の発展をそういうことに使って欲しくないし、そこで満足して欲しくない。
社会の発展の意義は「今までより楽に同じレベルになれる」じゃなくて、「今までと同じようにすれば、今より上のレベルになれる」だと思うのね。同じ時間を使っても、効率が良くなっている分だけ、果実は大きいと。田んぼの広さは一緒でも、土壌が良くなった分、お米はたくさんとれますよと。そういうことだと思っているのですよ。「田んぼを狭くしても、同じ分のお米がとれる」と勘違いして欲しくない。
だから地理の話でも、知らなくていいって話ではない。優先して覚えろってことじゃないんだけども、きちんといつの日か身につけて下さいねと。ちゃんと調べてくださいねと。そうすれば地理のことで揶揄されることはないし、前の世代よりITスキルがあるだけ有利だと。そういう風に前向きにしていただきたいなあと。くれぐれも「知らなくていい」「地理なんかどうでもいい」と思って欲しくない。

ググレカス

自分で調べて、身につけて。やがて過去の世代を超える世代になるといいね。