(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

カードを見せない外交術

我らが福田首相が相変わらず叩かれておりますなあ。

元記事はこれ。

「中国が努力している最中に、参加するとかしないとか言うべきではない」

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080403k0000m010136000c.html

この発言が叩かれる原因のようですが、そんな問題かねえ。わしゃ福田は好きじゃないし、媚中的な雰囲気は好きじゃないけども、これは外交戦略上普通ですよ。常識的な対応じゃないかなあ。
同じ趣旨の発言を先月もしてます。

「(中国政府を)声高に批判し、五輪と関連させることが今の段階で適当かどうか、よく考えなければいけない」

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008032900299

一貫して慎重な姿勢なわけですが、これでいいんですよ。立場を鮮明にしないのも外交。手持ちのカードを見せないのも外交ですよ。
まあ、フランスのように断固とした姿勢を示すというのはわかりやすいし、あれも外交なわけですが、明言を避けるのも立派な外交。「事態の推移を見守る」と言えば「ちゃんと見てますからね」ということになる。「関心ありますよ」「興味ありますよ」という婉曲な意思表示だし、聞く人が聞けば「ちゃんと情報収集してますよ」なわけです。参加する・しないを言わずとも、無言のプレッシャーはかけられる。
今回の福田の発言にしても、聞く人が聞けば「中国が努力している最中に、参加するとかしないとか言うべきではない」は「努力しなければ……わかってますよね?」なんですよ。同じく「(中国政府を)声高に批判し、五輪と関連させることが今の段階で適当かどうか、よく考えなければいけない」も「五輪と関連せざるを得ないことになったら……わかってますよね?」なんです。これも立派な圧力なんですよ。わかりにくいけど。ただ、わかりにくいからいいんです。ノーガードで殴りあうのがいい外交とは限らない。こっそりと背後で刃を構えるのも外交なんですよ。これはこれでアリ。
それに皇族を利用されるのを防ぐべく、皇族の開会式不参加は既に決めてますしね。

皇族は出席しないことで、もう既に抗議の意思は表明したも同然。あとは首相が行くかどうかなわけで、それはこれからの中国次第だよと。何かあったら首相も行かないよと。日本からは皇族も首相も行かないよ。寂しい貴賓席になっちゃうね。そういう圧力になっているんですよ。なので、立場不鮮明だからって叩きすぎるのはどうかと。これは深謀遠慮だと思うねえ。ま、こやつはデフォルトがそうだから、考えがあってのことかどうかはわからんが。
それより何より、首相より外相だよ。こっちの方が問題あるぞ。

中国・チベット自治区の騒乱事件を理由に日本が今夏の北京五輪をボイコットする可能性について「ない。北京五輪は成功裏にやってもらいたいと日本政府は考えている」と否定した。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/080318/plc0803181108009-n1.htm

外交のトップが早々とボイコット否定というこの外交センスの欠如ぶり。福田より問題があると思うんだけどねえ。どうなのよ、これ。ボイコットするとは言わないまでも、する可能性を言外に残すのが大人の対処でしょうよ。「平和の祭典だけに、憂慮しております」とかさあ。それを「ない」って言いきっちゃうセンス。ステキすぎて二の句がつげませぬ。
……でも、福田の方が叩かれるんだよね。キャラがわかりやすいから。世の中そんなもんだよな。外務省乙。