タケルンバのオサーン相談室「若手のコミュニケーションが理解できません」

「最近の若い世代のことがよくわからん」
と、オサーンに泣きつかれ、相談されることがあります。何故、オレに。
オレだってオサーン分類される年であり、かれこれ高校を出たのが10ウン年前。若い連中の考えることなんてわかりゃしねえよ、と思っているわけですが、まあ、それでも知り合いのオサーン曰く「それでも、まだわかってるほうだろ」と。
……ま、そりゃ50過ぎのアナタよりはわかってますけどね。……あ、寿司おごってくれる？　喜んで相談のりますよ。で、どんなご用件で？

• 「最近の若いヤツはどうしてあんなに付き合いが希薄なんだ？」
• 「何かあるとメール。mixi。あと……なんだ、ブログって言うのか」
• 「でも、そういうことに熱心な割に、実際に会って飲みにいったりしないだろ。メシ食いに行ったり」
• 「奴等にはコミュニケーションをとろうという意識はないのか？」
• 「うちの娘を見てもそう思うよ。メールばっかりしてるわりに、誰かと遊びに行っているわけでもないし」
• 「大体オレの時代はだなあ……」

はいはい、落ち着いて。話はよくわかりました。若手とのコミュニケーションにお悩みなのですね。わかりましたよ。ご教授しますよ。すいません、コハダとアジ！

この4つの四角形。形は違いますよね。バラバラ。これ、コミュニケーションの手段とします。で、タテをコミュニケーションの深さ。ヨコをコミュニケーションのしやすさと考えましょう。
一番左は直接会うケースです。直接顔を顔を突き合せるので、コミュニケーションは深い。そのかわり面倒なので、しやすさは低い。なのでタテに長い形です。
一方、一番右は携帯メールです。文字だけのやりとりなので、コミュニケーションは浅い。そのかわり相手が今何してるかを気にせず送れるし、都合のいいときに見れるので、しやすさは高い。なのでヨコ長。真ん中の2つは手紙とか電話だと思って下さいな。
で、あなたはこのヨコ長が問題だと。付き合いが浅い。何でもっと深い付き合いをしねえんだ。もっとコミュニケーションをとらねえんだと思っているようですが、実はこの4つの四角形。面積は同じなんです。一緒。タテとヨコの長さが違うだけで、それをかけると同じ面積になる。
つまり付き合いとかコミュニケーションの変化はこういうことじゃないかと。昔も今も、付き合いとかコミュニケーションの総量は一緒なんですよ。ただ、方法が違う。手段が違う。そして現在の方が気軽にコミュニケーションをとれる。回数が多い。だから自然と1回あたりの深度は浅くなる。しょっちゅうメールしてれば、そんなに深いやりとりもない。
ところが、昔みたいに文通とかだと、たまにしか出さないから、あれもこれもと長くしたためたりする。気軽に会えないと、会ったときにめっちゃ話す。回数が少ない分、深度が深い。そういう違い。
なので、なんの心配もいらないですよ。会社の若手も、現在のやりかたでコミュニケーションをとってますし、娘さんもそうです。多分、毎晩ガッツリ彼氏とメールのやりとりしてますよ。「もう寝た」とか「今なにしてる？」とかそんな細々としたメールを。そういうやりとりをしょっちゅうしているから、そんなに会わなくても大丈夫なんですよ。直接会わなくても、通じ合えるツールがたくさんあるからなんですよ。今も昔もトータルでは変わってませんて。
もしかして、若手を飲みに誘って、毎回断られて悩んでたんでしょ。……図星？　ああ、気にしなくていいですよ。最近の若手はそんな酒飲みませんから。飲みたくないだけで、あなたが嫌いなわけじゃないですよ。
……え？　最近娘が冷たい？　彼氏は認めない？　……泣かなくてもいいじゃないですか。自分も今の娘さんの年齢のときは遊んでたんでしょ。……ほら、パパが15で付き合ってるなら、その子である娘さんだって彼氏がいてもいいでしょ。娘さん、もう17なんでしょ？　
え？　昔は一緒にお風呂に入ってくれた？　「パパと結婚する」って言ってくれた？　だったら娘さんにメールでもこまめに出してやってくださいよ。直接会うより、そのほうが気楽でいいと向こうも思ってますって。面と向かってだと言えないことも、メールならやりとりできますよ。それがライトないまどきの付き合いだし、その回数を増やすことでコミュニケーションの合計値を維持できるわけだし。
……あああ、そんなエグエグしないでくださいよ。ねえ。すみません、お勘定！
世のオサーンの悩みは深いねえ。