(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

「ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。」→しますが何か?

きつかわゆきお氏の「ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。」に対する書評を見て、脊髄反射した。

なんだろう、この反発心。
題名を見た瞬間、「何が悪いの」と脊髄反射。いや、オレは別にドラマ見ないし、他人事なんだからいいんだけど、別に泣いてもいいじゃんねえ。

「ロックする思索者」によるものだけあって、確かにロックなメッセージがつまっています。
実は「きつかわゆきお」とは「橘川幸夫」であり、渋谷陽一らと「ロッキングオン」を創刊した人でもあります。そりゃ、ロックな訳だ。

きつかわゆきお「ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。」読了

ロックですか。ロックなのか。ロックなのかねえ。オレはこういうのはロックと思わないなあ。昔はこれがロックだったのかもしれない。こういう叫びこそロックだったのかもしれない。正しい言葉だ。言ってることはわかる。でも、なんというか普通の正論っぽくてイヤだ。常識的な感覚を大きな声で叫んでいるだけな気がして。そういう普通の価値観ってロックじゃないよねえ。反体制とか反常識こそがロックじゃないかね。

ドラマで泣いても意味がねえ!

普通。

ドラマで泣きやがれ!

実はこっちのほうが少数派。

「ドラマで泣いて、人生充実させないのか、おまえ。」

常識に挑戦するという意味では、今や、こっちのほうがロックな気がするなあ。「ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。」だと、もはや普通のオヤジの小言だもの。新しさを感じない。古さを感じる。共感どころか、何故か反発しちゃうな。……なんでだろ。
他の引用されている言葉も同様。

「あなたがどんな人間かは、あなたがどんな音楽を聴いていて、どんな服装をしているかでわかる。でも、そんなわかられ方って屈辱だろ?」

ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。 - 情報考学 Passion For The Future

いえ、そうでも。

人は失うことでしか、
大事なものを確かめられない。

エロゲで泣いて、人生充実するのか、おまえ: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

得てもわかる。確かめられる。

友だちの死は悲しいが、肉親の死は重たい。

きつかわゆきお「ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。」読了

肉親以上の付き合いをしている友人の死は、肉親以上に重たい。
そんなわけで、不思議としっくりこなかった。言っていることは正論だし、わかるんだけどなあ。反発心が上回る。
オレがこういう本を出すとしたら、こう書く。

  • まったく泣かずに、人生充実すると思うのか、おまえ。
  • あなたがどんな人間かは、あなたがどんな音楽を聴いていて、どんな服装をしているかでわかる。でも、そんなもんじゃないって思っているだろ?
  • 人は何かを得ることで、失ってはいけない大事なものがわかる。
  • 肉親の死は悲しいが、友だちの死はキツい。

……でも、ここまで反発してしまうってことは、作者の「心に刺さる」という狙いは達成されているわけか。むむむ。やられた。

ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。

ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。