(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

刺身を使いまわすとは

ぷぷぷ、凄いな船場吉兆。刺身を使いまわしかよ。

本店の料亭部門で客が残した刺し身やアユの塩焼きなどの料理をいったん回収し、別の客に提供していたことが2日、関係者の証言でわかった。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080502/crm0805021423026-n1.htm

スゲエ。こんなこと二流以下の料亭とか旅館でもやらんよ。……いや、二流、三流は関係ないな。普通やらんな。外食関係者口あんぐり。

使い回されていたのは、アユの塩焼き、ゴボウをうなぎで包んだ「八幡巻き」、エビに魚のすり身を塗って蒸した「えびきす」など。天ぷらは揚げ直して出すこともあった。さらに、手付かずで残った刺し身も提供していた。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080502/crm0805021423026-n2.htm

要するに、丸のまま残っていたら、そのまま使うってことね。八幡巻きがあるってことは、八寸とか炊き合わせで出すようなもの全般怪しいな。松風とか、昆布巻きとか。おせちに入っているものをイメージすると吉。ちょっとでもかじってたらアウトか。……わかりやすいな。
マジレスすると、使いまわし自体はよくある。よくあるんだけど、普通は口にするものは使いまわさない。使いまわすのは、下にひく笹の葉とか、ゆず釜*1とか、刺身の菊、南天とかのいわゆる添え物。直接食わないもの。飾り物。意外とこれらが高いのでね。徳島県上勝町とかで葉っぱビジネスが成り立っているくらいでして。

なので、どうせ食わないんだから、回収し、洗って使いまわすというのはある。結構ある。「安い価格でよりおいしいものを」という良心的な店ほどある。「添え物より食材にお金を」って職人心理は結構強いから。
でも、焼き物とか、蒸し物を使いまわすなんてありえない。刺身に至っては……理解不能。ストレートに口に入れるものを使いまわすって、職人的に許せないことだと思うんだよな。身内が証言するのは、こういう職人意識との葛藤の結果だと思うよ。感覚的に許せないもの。まして吉兆の人間ならねえ。
常識的には、下げたものはそのまま廃棄だし、捨てないにしても、小僧の味見用。捨てるもので味を覚えるというのは、職人の世界では普通なのでね。売り物に手をつけることは許されない。お客様の残り物だから許される。
あるいは丸残りだとしても、使うならまかないだよなあ。従業員用のメシ。しかしそれにしても刺身は使わない。何かあったらヤバイので、味噌汁にするとかして火を入れる。あるいは酢でしめる。これが常識的な感覚だと思うんだけどなあ。
あらゆる意味でありえない吉兆。凄すぎです。

*1:ゆずをくりぬいてつくった器