(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

小さい約束が守れない者に、大きな約束が守れるわけがない

ちょっと前のニュースなんだけど、去年の今頃はまだ金属を扱ってた身なのでクリップしとく。鋼管の検査証明書偽造の話。

これJFEの話。水圧検査をしていない鋼管があるのに、それをさも検査したかの如く処理したと。でもって新日鉄子会社の「ニッタイ」でも同様の件が。

両者ともにベタ記事扱いで、最初はオレも見逃してたんだけど、これ、金属屋としてはかなり重大ニュース。信用問題。基本的に鉄でもアルミでもなんでも、鋼材をつくると「ミルシート」と呼ばれる検査証明書をつくるもんなんです。

で、鋼材には規格があって、化学成分比とか強度とかが全部決まってる。例えばアルミ合金の1050ならアルミ含有量が99.5%以上。1080なら99.8%以上。ミルシートはその規格どおりの製品ですよと証明するものなので、実は重要。製品品質に対する信用の柱。
今回の話は鋼管だから、製造した鋼材を一次製品と考えると、二次製品にあたる。規格どおりの鋼材を原料に鋼管をつくる。その鋼管のミルシートを偽造した。検査を省略して作成したという件にあたるわけだけど、日本ではともかく海外での影響があるやも。常識的にはこう考えるものなので。

鋼管で偽装してるなら、鋼材でも偽装してるよね。

「小さい約束が守れない者に、大きな約束が守れるわけがない」という論理。
まして今回話題になってるのがJFE新日鉄子会社。鋼材から鋼管にする過程で他人が介在しない(内部移動&グループ間取引)わけで、緊張感がない。「グルだろ」と疑われてしかるべきケース。
影響が心配されるとしたらドバイ向けだわな。開発ラッシュであらゆる鋼材・鋼管・建材を買い漁っているわけだけど、今、あそこは「安かろう悪かろう」をやっているわけじゃなくて、「高くていいものを」「世界一を」でやってる。合言葉は「ナンバルワン(No.1)」。実はここが中国とはおもむきが全然違うところ。驚くべきスピードで開発を進めているけども、決して量を追求しているわけじゃない。質を追求している。
なので金に糸目をつけず、いいとなったら日本製品を買う。安くても品質が落ちるならダメ。製品競争力勝負に持ち込めるので、中国よりよっぽどおいしい。利幅が大きい商品が売れる。
そのドバイとの取引に黄信号点滅。ちと心配。つけこまれる余地はできた感じ。心配だわな。スキありすぎ。ま、鋼管は住金が強い分野だから、日本製品が揃ってあぼーんにはならんからいいけどな。
船場吉兆ばっか話題になっちゃったけど、こっちも結構な問題だぜ。話題になってないのは……広告出稿の力だと思うがねえ。金あるところ、叩かれがたし。この問題、要チェック。