(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

一般人はそこまでネットを使わない

こうやってブログを書いたり、Twittermixiを使ったり、またははてなアンテナRSSリーダーで情報を集め、気に入った記事があればはてなブックマークに登録するなど、気ままにネットツールを利用していますが、こういうのを当たり前に使っていると、一般的な世界とは認識が離れていくもんです。使っている人にとっては当たり前のツールでも、知らない人・使わない人にとっては「なんじゃそりゃ」です。「自分の常識は、他人の非常識」であることは珍しくありません。
特にそれを痛感したのは学生との会話。5月はゼミのディベートの試合があったので、後輩を指導しておりました。そのため、学生と話す機会がもの凄く多かったわけですが、そこでの会話がまあ自分の認識のズレを気付かされるものでして。自分は普通、一般人と思っておりましたが、気付かないうちに奇妙な人種になっているものなんですね。

ブログは書くものではなくて読むもの

正直言って、ブログを書いてる学生は少ないです。ブログは人が書くものであって、自分はそれを読む側である。面白いブログを読めればいいというのが一般的なようです。
ブログをやっているのが珍しいわけなんで、彼らにとってはブログのために名刺をつくったり、ネタ集めをしたり、体を張ったりするオレみたいな人種はかなりの希少種に見えたことでしょう。珍しい生き物なんだから、もうちっと大切に扱え! >後輩

Twitter利用者はさらに希少

そういう状態なんで、Twitterともなると絶望的。マニアの世界。実際「Twitterやってる?」と聞いても反応なし。「……なんですか、それ」みたいな反応が中心。うちの後輩だけじゃなくて、他大学でもそうだった。いいとこ10人に1人くらいですかね、知ってるのは。
ま、当たり前の話だけど、ブログもやらんのに、ミニブログをやるわけないよねということ。ブログをやってるような人だと、こういうサービスに関心が高いから利用率が高いけど、そもそも手をつけない人には関心外。

mixiは携帯電話から使うもの

ま、これは一般的に知られつつありますが、mixiはパソコン上から使うものではなく、携帯電話から使うものってのが主流ですな。通学途中とか、だるい講義中に使うもの。ヒマな時間に、空いた時間にちょちょいと使うもの。
なので、彼らの情報源はmixiニュースだったりする。mixiから貼ってある情報にはスゲエ詳しい。情報源は新聞・テレビよりもmixiというのが今どきの現実。

RSSリーダーなんて使ってません

そんな感じなんで、RSSリーダーなんてのは絶望的よね。使ってない。そういうものがあることを知らないし、説明したところで、その意義もわからない。
彼らにとってネットは趣味で使うもの。興味があるものがあり、それに対する調べものをするときに使ったりするわけで、定期的な情報収集ツールには使ってない。定期的に巡回するところはあるけども、たかだか数件のものなので、ブラウザのブックマークで事足りる。なにもわざわざRSSなんて使わなくても……ねえ。

はてなブックマークも使わない

同じ理由ではてブも使いません。気になる記事はブラウザでブックマークすりゃいい。わざわざ他のツールを使う意味なんてありゃしないよと。そんな感じ。巡回先は決まってるんだから、記事ごとにクリップしなくても、トップページさえ抑えりゃいいわけだし。「パーマリンクってなんすか?」ってなもんですよ。

使うサービスは「ただ使えるもの」

彼らは使うサービスは「ただ使えるもの」が中心。YouTubeでありニコニコ動画であり2ちゃんねる。ダラダラ見れる。それでいてバリエーションが豊富だから飽きない。手軽だ。こういうROMできるサービスがいいわけですよ。必ずしも自分から発信する必要性を感じていないので、読めれば・見れれば・聞ければいいわけです。それで無問題。受け身のサービスでいいわけです。能動的なサービスである必要がない。
一般的にはこういう感覚が普通です。今、これを読んでいる人、特にRSSはてなアンテナはてなブックマーク経由で来られた方は異常です。非一般人です。そういうツールを使いこなすのは、世間的には珍しい人種です。あなたはレアな人間なのです。
では、そういうレアな世界に一般人を巻き込むにはどうするか。

機能を単純化する

こういうツールってのは使う人の自由度や使い勝手を高めるために、ある程度のカスタマイズの幅があるわけですが、こんなものは知らない人にとっては迷惑です。「……で、どうすればいいんですか?」です。なにがなにやらわからない。どこから手をつけたらいいかわからない。だからやらない。手をつけない。これが新規参入を阻む壁です。
ですので、そういう人向けにライトなバージョンがあるといい。初心者用モデルがあるといい。デザインは男用に5つ、女用に5つ。そのくらいで十分。難しい機能は慣れてからでいいわけで、まずは入口を通させないとどうにもなりませぬ。あれもこれも盛り込むよりも、機能を単純化したものを提供した方が参入障壁は下がることでしょう。

メリットを具体化する

何故こういうツールを使わないか。単純な理由のひとつが「メリットがわからないから」です。どんないいことがあるかわからない。だから使わない。非常にシンプルな論理がそこにはあります。
なので「こういうメリットがありますよ」というのをわかりやすく伝える方がいい。例えばRSSリーダーなら「あなたの気になる情報がすぐ手に入る」って部分をもっと強調した方がいい。好きな芸能人の名前を登録するとどうなるか。あるアイテムを登録するとどうなるか。こういう具体例があるとわかりやすい。

表現を平易に

インターフェイスの言葉がよくわからん。……インターフェイスって言葉ですら微妙なくらい。ネットの世界は微妙な横文字が多くて困ります。
例えばRSSリーダーとかだと「フィードの登録」とか「フィードの管理」とか言われてもわからない。「チェックしたいページのアドレスを入れてね」と書くだけでもだいぶ違う。キーワードの登録なら「気になる人の名前を入れてね」「欲しいものをここに書こう」とかさ。難しい表現を避けようよ。
横に具体的なパターンのヘルプを用意してもいいけどさ。このへんの工夫はもっとあってもいい。

そもそもRSSとかSBMって言葉がダメ

横文字ついでに言うと、そもそもRSSとかSBMって言葉がよくわからない。これをわかりやすく言い換えるだけで、だいぶいいと思うんだよな。「はてなアンテナ」ってのはわかりやすい方だけど。更新したかどうかを受信するサービスってなわけでね。一般的にもイメージしうる。
こういう発想で言い換えるといいな。「ソーシャルブックマークサービス」なんてダメ。単純に「みんなのブックマーク」とかでもいいくらいだよ。シンプルに機能を伝えるようにすれば、もっとこうしたツールが一般的になっていくはず。

とにかく使ってもらう

どんなものでも使ってもらわないとダメ。使ってもらう中でその機能や意義を理解していくもの。本当に便利なものはみんな使うようになるはずだけど、便利さを実感できない限りは使ってもらいようがない。
「新規利用者には○○贈呈」みたいなプレゼント作戦でもいいし、モニター募集とかでもいいし、使ってみての感想文募集とか(もちろんそれはブログで書いてもらう)、YouTubeとかで使い方をガイドするなど、あらゆることが考えられると思う。

ど素人目線になろう

最も欠けているのがこの視点。横文字にしても機能にしても、ある程度「わかっている人」向けなんだよな。「わかってない人」向けになってない。
もちろんそこは「ググレカス」なんだけど、ググるのも面倒という人もいるわけだし、それでスパっと疑問が解決されるとは限らない。検索力の問題も絡んできますしね。
それに単純な話、市場として大きいのはどっちかって点もある。世の中には「わかっている人」と「わかってない人」のどちらが多いのかって話。「わかってない人」に焦点をあてたほうが、ビジネスとしては大きくなると思うんだよな。mixiはまさにそれでひとやま当てたわけだし。
もちろん「わかっている人」向けの視点も大事で、それを忘れるとコアユーザーを失うことになるから、その手当ては忘れちゃいかんけど、現状は「わかってない人」向けの視点がなさすぎるので、そっちに注力してもいい。今あるものに手を入れるんじゃなくて、初心者用の画面・ツールを別につくればいい。手間も少ないと思うんだよな。既にあるものの機能を上げるわけじゃなくて、逆に下げるわけだから。システム負荷も少ないし、コストも少ないはず。機能制限バージョンでいいわけだから。……ま、実際にやるとなると大変なんだろうけど。このあたり素人の気楽さで書いております。
ま、いずれにしても学生と話していると「わかっている人」と「わかっていない人」の間の川の深さに気付かされてしまう。現状のサービスは「わかっている人」目線でつくられているし、運営されている。そのために非一般的な世界になっているんだなあと思う次第。オレみたいな非ITの普通のネットユーザーですら、一般的には異常であるってことが何よりそれを示してると思いますよ。もっとうまくいく方法はあると思うんだよな。こんな楽しい便利なツールがあるんだから、みんな使えばいいし、使いやすいようになって欲しいなあと思う今日この頃でした。