さて、夏が近づいてきました。そろそろ大学生の皆さんの中には、「海だ!」「山だ!」とリゾートバイトを探し出す人もいるでしょう。まして、今年大学1年生の皆さんはリゾートバイトデビュー。「BOYS BE」的な妄想もブリバリでしょう。……たとえが古い。
というわけで、今回は「リゾートバイト」について書いてみたいと思います。これを読んで華麗なリゾートバイトデビューをしてみてくださいな。バイト先の先輩とムヒョとか、バイト先に好きだったあの子が来てウヒョとか、お客さんとあーれーとかの妄想でワオ!
朝夜働くか、昼に働くか
リゾートバイトと言っても要するに「リゾートでのバイト」って言うだけで、その中身には大きな違いがありますが、単純にその働き方で分けることができます。
朝夜勤務
宿泊施設関連で働く場合は大体このパターンです。朝食と夕食。あるいはチェックアウトとチェックイン。お客様は夕方に来て朝に帰るので、昼間は休憩となります。朝に4時間、夜に4時間働き、その間は自由というパターンは結構あります。
また、この変形として「朝食の世話から部屋のセッティングまで」「部屋のセッティングから夕食の世話まで」などのシフト制を組み合わせている施設もあります。いずれにせよ、昼間に時間がとれるのがポイントです。
昼勤務
海の家やスキー場スタッフ、あるいは昼に営業するレストランなどで働くケースです。販売や施設保守なんかも含まれます。
この勤務パターンですと、昼間はガッツリ勤務です。お客様の日中の行動に合わせて勤務するので、昼間の休憩はありません。お遊びは夜に。夜景でも見に行くと吉。
朝夜と昼、どっちがいいの?
遊びたいなら朝夜勤務
「せっかくリゾートに行くんだから遊びたい!」と考えるなら、朝夜勤務の方がいいです。昼を遊びに使えます。朝の仕事を終えて海で遊ぶ、山で遊ぶ。そして夕方からまた働く。こういう行動が可能になります。仕事と遊びを両方楽しめます。
また、バイト仲間と仲良くなりやすいのもこのパターン。休憩時間中にどこか行こうみたいな展開になりやすい。
マジメに働くなら昼勤務
とはいえ、それだけ誘惑が多いのも確か。せっかく稼ぐつもりで来たのに、バイトが終わってみたらお金が残ってないというケースもあります。ま、それだけリア充だったわけで、それはそれでいいことなのですが、時間があると遊んでしまうのが人間のサガ。お金をガッツリ稼ぐ向きには昼勤務の方が無難かもしれません。
朝夜勤務は体力的にキツい
また朝夜勤務は体力的にキツいです。昼休憩があるということで、1日の活動時間が長くなりがち。働いて遊んで働いてをしようと思ってリゾートバイトをはじめますが、実際できるもんじゃありません。長続きしません。
ワタクシはこうしたリゾートバイトの人間を仕切る立場におりましたが、最初は元気で遊びまわっていたヤツも、1週間が経つと、昼間キッチリ休むようになります。昼寝しないと体がもたなくなってきます。そして一度このサイクルに入ると、昼寝をしない日がつらくなります。4時間働いて、昼寝をして、また4時間働く。こういう生活リズムが染み付いてしまうのです。
一長一短があるのでご自由に
ま、平凡な結論ですが、こういうことしか言えません。両方にメリット・デメリットがあります。体力に自信がある人は朝夜勤務の方が遊べますがねえ。お好みでどうぞ。
リゾートバイトをはじめるにあたっての心構え
ま、そんな大げさなことはないんですが、一応。
最初は仕事ができると思うな
「仕事頑張ろう!」と意気込んでバイト先に乗り込んで来るわけですが、基本的に新人が仕事できるわけがないのです。新人は仕事はできません。新人ができたらベテランはいらない。経験値がゼロである以上、人並みの仕事ができるわけがないのです。
これはリゾートバイトに限らず、一般のバイトでもそうなのですが、バイトをはじめる瞬間というのは、やろうという意気込みは最高なのですが、経験値はゼロというギャップがあります。そこが「仕事できねえ……」という落ち込みの原因となります。ましてリゾートバイトの場合、住み込みで、仕事場の環境で暮らすわけですから、その劣等感から抜け出す機会がない。
なので、最初は気張らないことです。頑張ろうという意気込みはいいのですが、本当に出来ると思わないこと。あまりに自分に期待をかけると、そのギャップに苦しみますので。
実力を吹くな
それに関連して。「オレ、何でもできますよ!」みたいに吹くのはやめましょう。できるわけねえ。そうやってハードルを高くして、いいことは何ひとつありません。自分が苦しむだけ。仕事に関しては最初は遠慮するくらいでOK。どうせできないのです。できないなら黙っていればよろしい。ムリにアピールする必要はありません。
あなたの実力はばれている
それに、あなたができるかどうかはバレてます。バレバレです。見る人が見ればモロわかりです。
ワタクシは200人以上をリゾートバイトの現場で見てきたし、使ってきましたが、見込みがはずれたことはほとんどありません。しかも、見込みよりできるヤツだったというケースはわずかに1人。200分の1にしかすぎませんでした。ほとんどは見込み通りだし、はずしたとして見込み以下です。
そしてこれはワタクシ特有の能力ではありません。そこそこ大き目のリゾートバイトの現場では、誰かしらこういう能力を身につけてます。その判断に応じて仕事を割り振る人間が少なからずいます。「オレ、何でもできますよ!」と言われれば「よし、やってみな」とは言いますが、できないことはもうわかっています。仕事を振りつつ、どうフォローするか。失敗を防ぐためのチェック体制とか、次へつなげる指導をどうするかに思いを巡らせている人間がどこにも1人はいるものです。毎年毎年リゾートバイトを雇う現場では、そういう千里眼を身につけるスタッフがいます。
できることを着実に
自分に過剰な期待をかけず、実力を吹かず、仕事を着実にやりましょう。それが一番です。
あなたができると判断すれば、自然とより難易度の高い仕事がまわってきます。実力と信頼に応じて、あなたの業務は変わってきます。それを見抜く大人は必ずいます。的確に判断できるスタッフが必ずいます。
……ま、ついでに言えば日本の社会の問題は、それができる人間が相応のポストにいるとは限らないということなんだけどね。大体エラそうな正社員にそういう能力がなくて、ベテランのバイトにそういう能力があったりする。パートのおばちゃんの判断がよっぽど的確だったりする。これは余談ですけどね。ううむ。
実力以上のことはしない
ケガする。実力以上のことはできません。そして実力以上のことやろうとして失敗すると、かえってまわりに迷惑がかかる。できないことはやらないことです。できることを。
油断しない
但し実力の範囲内でも、油断するとできません。これまたケガします。
大体においてケガは、実力以上のことをやろうとするときと、油断や手抜きをして本来の能力を出さなかったときに起きます。両手でやればできるのに、手抜きをして片手でやろうとするとケガしたりする。片手間でやる、しゃべりながら、よそ見しながら。これらはすべてケガのもと。失敗のタネ。
モノが壊れるか、自分がケガするかは運次第。自分をみすみす危ない目に逢わすことはありません。実力どおりにやりましょう。それが一番の早道です。
序盤は人間関係で多少ムリを
仕事ではムリしちゃいけませんが、人間関係ではムリした方がいいです。特に序盤は必須です。
なにせまわりには、自分と同じ期間働く人ばかり。まわりとうまくやっていくことが、これからのリゾートバイトを楽しくするかどうかを決定します。なので、人見知りだろうが内気だろうが、最初はがっついた方がいいです。最初が肝心。無理してでも輪に入って下さい。
なに、キツイのは最初だけです。輪ができてしまい、その中に入っていれば、あとは惰性でまわります。スタートダッシュに失敗して、後からその輪に入るほうがよっぽどキツイので、スタートダッシュは大事。積極的にまわりに話しかけましょう。
あいさつ必須
中でも挨拶は必須。挨拶ができないヤツはどうにもなりません。
「おはようございます」「お疲れ様でした」が言えないと、どうにもなりません。最低限のレベルの話。ここはきちんとしような。
リゾートでのホールスタッフ
続いて細かい業務について。ここではホールスタッフについて書いてみます。オレが管理してたのがこの部門なのでねえ。一番知っている分野というわけで。あとの業務については各自ググってちょうだいな。んな適当な。
トレンチを使いこなす
これ、トレンチ。「丸盆」とか「サービストレー」って言い方もしますけどね。これが基本道具。これにいろんなものを乗せて持って行ったり、下げ物をしたりする。これを使いこなせると作業がラク。
基本はこんな感じ。
- 利き手じゃない手で
右利きの人は左手で持つ。利き手は他の用途に空けておく。
- 手は開いて中央に
- 体とちょっと離す
遊びのスペースをキープしとくってことかな。手を伸ばしきった状態で持つと、たとえば誰かとぶつかったときなんかに、衝撃を吸収できない。少しひじをたたんで持っていると、そこでバランスをとれる。ブレーキでもなんでも、遊びがないといざというときに困る。
- 手前に重いもの、奥には軽いもの
これは簡単な力学。奥にものを置くと、余計に重く感じる。
- 手前に安定しないもの、奥に安定するもの
応用。手前の方がコントロールしやすいので、すわりの悪い食器は手前。ビンとかジョッキ、ワイングラスなど。
- 軽いものからトレンチから出す
サーブするときは軽いものから置く。重いものを先にとると、トレンチの重量バランスが崩れてキツい。また、軽い順ということは、トレンチの奥から出していくということ。コントロールのしにくい奥のものから処理することでラクになる。
- 右手が下がると左手も下がる
慣れてないとこれが怖い。左手のトレンチから右手でテーブルに食器を置こうとする。右手が下がる。となると人間の体は不思議なもので、右手が下がると左手も下がる。片手の動きに反応してつられる。
このとき、トレンチの上になにもなければいいが、まだ食器が残っていると、手が下がることによってトレンチが斜めになるから、当然食器も斜めになり倒れる。温かいスープとかだとモアデンジャラス。
なのでサーブするときは、トレンチを持つ手を上げる感覚でいるといい。片手を下げるときは、もう片手を上げる。そういう感覚でいると大丈夫。つられないよ。
モテる方法
それではお待たせしました。肝心要の情報を。リゾートバイトに来た人を長年見ているなかで、こういうヤツがモテるというのを書いてみます。
男は仕事ができるヤツがもてる
なんだかんだで男は仕事ができる順にモテます。顔より仕事です。ま、サービス業で仕事ができるということは、当然に人当たりも良くて、笑顔も良かったりするので、対人関係のスキルに優れるってわけなんですけどね。ある意味あたりまえ。
ただ、女性は地味な仕事を着実にしているヤツをしっかり見ているので、わかりやすい仕事のできるヤツである必要はありません。誰が見てもかわいいと思う女の子と、地味なことをコツコツやる冴えない男がくっつくケースはままあります。
男は仕事ができないとモテない
逆に言うと、仕事ができないヤツはモテません。非モテ街道まっしぐら。特に仕事を投げ出すヤツは嫌われます。仕事を投げ出すくせにグチるヤツは最低です。
また、不思議とおばちゃんにモテるヤツは、若い女の子にもモテます。ま、同性だから、これまたあたりまえですけどね。
女は仕事ができなくてもモテる
一方、女性は仕事の出来・不出来があんまりモテに影響しません。仕草とか愛嬌とかの方が相関関係が高い。中でも笑顔ですな。いつでもニコニコ笑っているタイプは自然と人気になります。かわいい・ブサよりも、笑顔があるかどうかの方が重要です。
女は仕事ができすぎるとモテない
とはいえ、仕事ができすぎるとモテません。男は仕事ができすぎる女性を敬遠する傾向があります。特に同年代同士だと露骨。プライドがあるんでしょうかねえ。嫌がりますよね、指示されるのを。
なのであまりに頭が切れて、ああだこうだとまわりに指示するようになると、自然と男は離れていきます。残るのは同程度の能力がある同世代の男か年上。あるいは何もわかってない年下。こういうことになります。
……男って面倒くさいよねえ。
車があるとモテる
仕事が終わった後、遊びに行く足があるとメチャクチャ有利です。バイクでもOK。これがあると差がつきます。
「疲れたでしょ。甘いものでも食べにいこうよ」なんかの手が有効。別に高いものを食べに行くことはありません。ミニストップのソフトクリームとかでもいい。値段じゃないのです。こういうのを口実にマメに外に連れ出すヤツがモテるのです。
多趣味だとモテる
リゾートバイトというのは外界と隔絶された世界なので、それぞれがなんとなくの孤独感とか寂しさを持っています。なので、それを忘れさせる話ができる、例えば趣味の話ができると強い。映画や読書、音楽の好みが合う相手がいるかどうかでだいぶ違う。
なので多趣味だと有利。引き出しが多いほど有利。……ま、こりゃ一般生活でもそうか。
話を聞くヤツがモテる
リゾートバイトには不思議なことに自己主張が強いヤツが結構来るのですが、顔がよくても、そういうタイプはモテません。リゾートバイトでモテるのは話を聞くヤツ。狭い世界で暮らすので、少しずつ不満がたまっていくわけですが、それを聞く人、不満のはけ口になるヤツがモテます。適度に相槌が打てるヤツがモテます。
グチらないヤツがモテる
人のグチは聞くが、自分はグチらない。そういうタイプがモテます。人の悪口を言わないヤツ、不満を言わないヤツ、前向きなことを言うヤツがモテます。
顔より中身でモテる
夏でも長いと2ヶ月近くリゾートバイトのシーズンがあるわけですが、これだけ長いと顔の魅力じゃつなげません。飽きられます。バイトがはじまった当初は顔がいい順にモテるのですが、次第に仕事ができるやつとか、性格のいいヤツとか、多趣味なヤツとか、フットワークの軽いヤツがモテるようになります。長くいて疲れないタイプの人間に人気が集まります。
特に女性の好みは顕著です。大体2週間を境に変化します。顔で持つのは半月、2週間まで。それ以上になると、いくら顔が良くても堪えられない。次第にブサでも中身がいいヤツが台頭します。そうなるとダメなイケメンがますますクサり、さらにグチる。それをブサがフォローして、イケメンの人気低下、ブサの人気上昇という皮肉な現象が発生します。女性の好みは時系列で変化するので、見ていると面白い。
逆に男は堪えますな。不思議なことに。顔が良ければ大体のことは堪える。「おいおい、それはないだろ」まで堪えます。この過剰な甘やかしの結果、勘違いねーちゃんが出現することもよくあります。男のせいです。アホか。
うまくいくのはちゃんとしたヤツ
その結果、どうなるかと言うと、行き場のなくなったスッカラカンのイケメンはモテない。彼女ができるはずがない。
一方、ルックスのいいおねーちゃんは勘違いしちゃっているからこれまた彼氏ができない。まわりの男は眼中にないし、それ以外の男は、そんな勘違いしたおねーちゃんなど眼中にない。
となると意外と平凡に、まともな男とまともな女が付き合うことになる。「バイトが終わって離れ離れになっても、また会おうね」になるのは意外とブサ山くんだし、ブス山さん。幸せになって帰るのはきちんと仕事をしたマジメなヤツ。ちゃんとしてるヤツはうまくいきますよ、なんだかんだで。
そんなわけでルックスに不安があっても、きちんとしたヤツなら大丈夫。リゾートバイトで彼氏・彼女を手に入れよう。ひとり住み込みで働くことでいろんな経験できるしね。プチ独り立ちというのかな。結構貴重な経験。お金も稼げるしね。食費もかからんし。この夏はリゾートバイトは如何?