(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

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公訴時効なんていらない

個人的には刑事事件、ことに殺人のような重大事件に関しては、時効なんて必要ないと思っているんですがね。

さっさと廃止すべきだよ。刑事事件に関しては時効の意義がない。

前にもこんな記事を書いてみましたが、民事と違って刑事の時効の意義がわからないんだよね。同じことを書いてある毎日新聞の別ページに、こういう解説があった。

◇公訴時効
【ことば】公訴時効 犯罪から一定期間経過すると、刑事罰が消滅する制度。その後は起訴(公訴)されない。海外にいる期間は停止するが、指名手配中も発見されなければ成立する。制度の存在理由は、(1)時間経過で証拠が散逸する(2)長期捜査は納税者の負担になる(3)犯人は長期間、罪の意識にさいなまれている−−などとされ、刑事訴訟法で時効年数を規定。殺人罪は05年、15年から25年に延長された。米国など重要犯罪に時効がない国もある。

刑事事件は時効撤廃しては如何 - (旧姓)タケルンバ卿日記

時効の理由は次の3つであると。

  • (1)時間経過で証拠が散逸する
  • (2)長期捜査は納税者の負担になる
  • (3)犯人は長期間、罪の意識にさいなまれている

ただ、この3点が理由ならば、時効を維持する理由に乏しいよね。

  • 証拠が散逸するからといって、罪が許されるわけじゃない。
  • 長期の捜査にお金がかかるからといって、罪が許されるわけじゃない。
  • 長期間、罪の意識にさいなまされたからといって、罪が許されるわけじゃない

どれも時効を維持すべき合理的理由にはならない。特に3番目のはよくわからん。反省したからOK? 人を殺しても、レイプしても? 被害者は命を失っているのに、表現できないほどのトラウマを抱えているのに? 被害者は一生背負う傷なのに、加害者はウン年でOK? このアンバランスが理解できないんだよね。加害者に対して配慮する理由なんて何もないよ。逃げ回ってるヤツを特別扱いする合理性なんてまったくないな。
また、この論理が成立するなら、こうとらえてもいいはず。

  • 時間が経過しても、証拠が散逸しなければ時効はいらないよね?
  • 納税者の負担にならなければ時効はいらないよね?
  • 犯人が罪の意識にさいなまれなければ時効はいらないよね?

少なくても最近はDNA鑑定などの科学的捜査手法が生まれ、証拠が散逸どころか、新たに証拠が出てくることもある。また捜査にお金はかかるというけれども、時効をなくすことイコール捜査することじゃない。「犯人が見つかるまで捜せ!」ではなくて、「犯人が見つかったら捕まえろ!」が時効廃止の意図であるはず。必ずしも捜査しなくていい。たまたま犯人を見つけたとき、あるいは新たな証言や証拠が出てきたときに罪を問えるようにしておけということ。負担なんてかかんねえですよ。「罪を許すな!」と「捜査しろ!」は別概念なので。
あと残るは不遡及の問題ね。

「遡って法律を適用しない」ってのが法の不遡及。これは法の原則。昔、やっても大丈夫だったことが、ある日突然法律が変えられて、急に犯罪になって取り締まられる。こういうことはナシというのが不遡及。これがあるから、過去の行動は罪に問われない。過去の罪を問われるのは、その罪を行った当時に犯罪であったというケースだけ。
で、この考えでいくと、残念だが、現に時効が確定したものに関しては、時効を取り消すことはできない。時効確定ということは、罪がチャラになったということなんで、それは認めざるをえない。個人的にそんなことは認めなくないけれども、それが法のルール。今、既に時効になった。そういうルールがあった以上は、悪法であっても認めざるをえない。ここは仕方ない。
なので、基本的には時効が成立していない案件に関して、時効を認めないという方向にするのがベターでは。具体的には犯人が海外逃亡している場合と同様、時効を停止する。あるいは時効を停止すべき罪状をいくつか明確にして、その犯罪にかんしては時効の対象外とするとか。そういうやり方が考えられるのでは。刑事訴訟法の改正で対応できそう。
少なくても、いわゆる凶悪犯罪に関しては早く時効をなくして欲しいなあ。殺人・強盗・強姦・放火。この4つだけでいい。こういう罪は逃げ得を許さないという意味で、早く時効をなくした方がいいと思うよ。時効をなくしても損するのは犯罪者だけで、犯罪をしない人には損はない。
ワタクシ、公訴時効の廃止に賛成です。