何事にも相性があるもんなのです。恋愛でも仕事でもそうだけども、食事をするときにも相性があります。「こいつとメシ食うと気分がいい」というヤツもいれば、「なんでこいつと食うとマズく感じるんだろ」みたいなヤツもいる。メシをうまく食うには、メシをうまく食ってくれる人でないといかんわけですよ。メシをマズくしてくれるタイプの人間は、結構いるもんなんです。
店の人にエラそう
高圧的な物言いをする人がおります。店の人は自分より下。お金を払う方がエライ。客である自分は神様。そんな考え方をしている人。
そういう人とメシを食うと気分が悪いのです。落ち着かない。ヤツは言いたいことを言っているだけなので、なんの不都合も感じていないわけですが、こっちはしっかり気分が悪い。気分が悪いので、味に集中できない。うまく感じない。
まして、来ているお店が自分のお気に入りだったら最悪。自分とその店が築いてきた関係を一気に壊される気がして、かなり気分が悪うございます。そういう振る舞いの人間を連れてきてしまったことが恥ずかしいし。こういう人種は自分のとっておきの店には連れて行けません。特に年輩。若い子ならば「坊やだからさ」で済むが、年輩でこういうタイプが最も始末に終えまへん。
味付けクラッシャー
なんでも醤油をかけるヤツがいるのです。マヨネーズを欲しがるヤツがいる。胡椒をかけないと気がすまないヤツがいる。オレがうまいと思って連れて行ってるのだから、とりあえず一口目くらいはそのままで食ってみりゃいいと思うわけですが、まずかけてみる。味を変えてみる。自分好みの味にしないとダメなんですねえ。
こういう輩を連れて行くと、これはこれで「変なの連れてきてごめんなさい」という気分になる。その店はその店の味付けにこだわりがあるもんだし、自信もあるはずなのに、それを確認もせずにいきなり味付けを変えに行くのはどうかなあと。「味付けクラッシャー」だし、場合によっては「味付けレイプ」。
「あ、しょっぺえ。醤油入れすぎた。……もういいわ、これ」
説教したい。
マズそうに食べる
「うまいうまい」と言って欲しいわけじゃないのよ。もちろん言ってくれた方が気分良く食えるけど。でもさ、マズそうに食うことはないでしょ。本当にマズいのならともかく、うまいものをマズそうに食わなくてもいいじゃんか。眉間にシワ寄せて。うつむいて。無表情で。無口で。
なにかあってもいいと思うんだけどなあ。なんかあるだろ、なんかは。
値段の話ばかり
いやさ、お金は大事だよ。アヒルに言われなくてもわかってるよ。でもさ、お金の話ばっかりすると楽しくないじゃんか。お金を忘れてうまいもの食べた方がいいときもあるんでねえの?
そりゃバカ高けりゃ気にするけど、カルビが700円で、上カルビが1,200円程度の話だったら気にしなくてもよくね? 500円高いけど、その分うまけりゃいいじゃん。そのくらいの贅沢はあってもよろしいんでねえか?
「生ビールが500円ってボッタクリだ。オレは原価知ってるんだぞ!」
じゃ家で飲め。家にサーバー置いとけ。
オレが頼んだものはオレのもの、オマエが頼んだものもオレのもの
グループで行ったときは、お互いの頼んだものをつまめばよろしいじゃないですか。また、それを前提として「グループとして」注文するものじゃありませんか。
ところがですよ。潔癖なのかなんなのか、自分で頼んだものは自分だけで食べようとする人がいるんですね。抱え込んじゃってさ。取らねえよ、別に。オマエだけ好き勝手やれよ、もう。
それでいてこっちでワイワイつまんでいるものは食べたいみたいなんですね。つまんでくるんですね。まさにジャイアニズム。「オレのものはオレのもの。オマエのものもオレのもの」発動。オマエは永遠にひとりで食べておれ。
「ここよりうまいの知ってるぜ」自慢
なんというか、オレより上だって言いたいんですかねえ。張り合おうとするヤツがたまにおります。なにかうまいものが出ると、「ここよりうまいの知ってるぜ」と。
で、まあこれは言い方の問題なわけですが、「あそこもうまいよ」と「も」の表現ならアリなんですよ。今食べているもの、味、店を否定していないから。「ここもうまいが、あそこもうまい」って話なので誰も傷つかない。でも「あそこの方が」と言っちゃうからダメなわけですね。比較しちゃうからダメなんですね。「あそこの方が」って言っちゃうと、「これでうまいと思っているキミたちはウンチョス」ってことになってしまうわけで。で、ウンチョスにはウンチョスのプライドがあるので、その場がうまくいかないのは自明の理であります。
……ちょっとした表現なんだけどな。なにかを褒めるのに、あるものをクサす必要なんてないんだけどな。
食事をみんなでうまく食べるなんて、ちょっとしたことなんですけどねえ。それができない困った人たちはあちこちにおります。そういう人を避け、楽しいグルメライフをお過ごしください。