(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

プロジェクトあるある

プロジェクトの人工(にんく)計算でありがちなこと。そしてそこからのありがちなストーリー。タンナイツでも話したんだけど、おもしろかったのでまとめてみた。ITの世界に限らない、会社内あるある。

人工の基準が計画者本人

「10人が5時間かけてやるから、50時間」とか「60時間のものを1人6時間やればいいから、10人」みたいな掛け算・割り算をするのだけど、大体においてその基準が本人だったりする。自分を基準においちゃってる。自分が10人いりゃ、そりゃできるだろうけど、自分は分裂しませんぜ、旦那。

しかも計画者本人は作業しない

管理者ですからね。マネージャーですからね。指導・監督するお仕事なわけです。でも、自分を基準に計算しといたのに、自分以外でやるから、どうしても結果はずれるんだよね。誤差が出る。当たり前だよな。

企画者本人しかプロジェクトの全貌を知らない

まあ、呼び寄せたメンバーが奇跡的に全員企画者本人と同様の能力だとしても、何をやるのかが伝わらなければ、処理しようがない。作業の中身、段取り、必要な準備、譲れない一線、理想到達地……。これらの情報が事前に共有されていませんとねえ。プロジェクトを企画した本人以外わかる由もない。

スタートダッシュが効かないことが計算に入ってない

というわけで、最初はこうした情報を説明しながらになるし、細かくチェックしながらになるし、見切りで発車すれば、ミスを見つけてはやり直すことになる。いちいち確認しなければならない。
つまり最初のうちは当初の計画より進みが遅くなるのが当たり前で、時間の経過とともにやるべきことが明確化され、同時に作業の習熟度が上がることで効率が上がる。作業がはかどる。この過程でやっと当初計画の1人工の動きになるんだけど、最初から1人工で掛け算・割り算しちゃうので、当初の遅れ分がどうしても後半押せ押せの原因になる。「1人工未満の作業×時間」分が後半押し寄せる。

人数が多ければ多いほど始動が遅い

掛け算の場合、数値を入れ替えても答えは一緒になるので、「10人×5時間=50時間」と「5人×10時間=50時間」は同じように見えるわけですが、どうしても人数が多くなると、効率が悪くなる。それは情報の共有とか伝達に人数分の手間がかかったり、チェック作業や雑務が重なるからで、どうしてもロスが出やすい。
同じ時間が答えに出るとしても、かける人数を少なくした方が誤差は出ないんだけど、納期を短縮しようと焦るあまり人手をかける計算に傾く。そして出だしにつまづく。計算した本人には予想外なんだろうけど、人数をかけた以上は実は当たり前。

やっぱり計画者本人は作業しない

このあたり、現場で作業している側の感覚というのはリアルで、「人工見積もりがおかしくね?」と感じ始めるのは早いわけですが、その見積もりをした本人は「オレの計算どおりできないお前ら、おかしくね?」となっているので、ここで齟齬が生まれる。

  • オレがやれば出来たはず。
  • オレが10人いれば出来たはず。

しかし、そのオレとやらは作業をしないし、10人もいない。「出来たはず」かも知れないが、それが実現しない以上は確かめる余地もない。

「じゃ、お前やれよ!」

最終的に現場のベテラン的な人がこうブチ切れる。担当者orz。現場はそのベテランを中心に猛烈にまとまり、何とかプロジェクトを仕上げるも、担当者の面目丸つぶれ。立場なし、居場所なし。

手柄横取り

しかしプロジェクトが終わってみれば、結果的にその計画を立てたヤツの手柄になる。現場が猛烈に頑張ったし、その担当者は現場を管理できず、現場の自己努力で仕上げただけなんだが、評価されるのは現場ではなくて担当者。
「やるじゃないか。キミもたいしたものだ」
的なエライ人のお言葉。現場orz。

ダメな人が残り、できる人が去っていく

この展開の場合、ダメなのは計画担当者で、できるのは現場を仕切った現場なんだけど、社内での評価は逆なので、段々と現場に不満がたまり、辞める理由になる。
ダメな人は評価が上がり、お墨付きを得る形になるので、ますます自分の人工計算に自信を持つが、そもそもその計算は何とかした現場がいなければあぼーんなので、現場はまたもやムリしなければいけない。ムリしてやってやっても、手柄はまわってこない。やってらんね。こういう流れが起きる。
下手すると、その担当者が業界内とかで有名になってしまい、「最近の若い者は」的なことを言い始めたりする。「昔はできたのに、最近は……」とか。勘違いなんですがねえ。
そうすると、何とかしてきた人は外に行く。会社辞める。で、見ている人は見ているし、わかる人はわかるので、よそで活躍。元会社orzの展開。どうもお疲れ様でした。
……これ、全部フィクションの話だけど、スゲエリアルになっちゃったなあ。意外とありがちな展開で、書いてみて怖い。人工計算は慎重にね!