(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

はてな狂言「ぶく」

※画像はあくまでもイメージですし、この物語はもちろんフィクションです。

主:「これは毒じゃ。『ぶく』という名の毒じゃ。決して使ってはならぬぞ」

太郎冠者:「承知いたしましてござる」

次郎冠者:「かしこまってござる」
主:「それでは留守居を頼んだぞ。わしは京都に行ってくるからのう」
太郎冠者・次郎冠者:「行ってらっしゃいませ」
太郎冠者:「……ふう行ったか」
次郎冠者:「行きましたなあ」
太郎冠者:「さて、この『ぶく』というもの、どういうものであろうか」
次郎冠者:「これ、太郎冠者。主が使ってはならぬと申したではないか」
太郎冠者:「されど気になろう。この『ぶく』というものがどんなものか」
次郎冠者:「……見てみるか」
太郎冠者:「……見てみようか」
次郎冠者:「主が毒と言いしもの。毒の風が吹いてきては危ない。後ろからわしが風をおくろう」
太郎冠者:「うむ、それがよかろう。わしが先に進む。後ろから風を送ってくれよ」
次郎冠者:「承知つかまつった」
太郎冠者:「それではまいるぞ」
次郎冠者:「うむ」
太郎冠者:「煽れ、煽れ」
次郎冠者:「煽るぞ、煽るぞ」
太郎冠者:「煽れ、煽れ」
次郎冠者:「煽るぞ、煽るぞ」
太郎冠者:「そりゃ!」
次郎冠者:「何とした!」
太郎冠者:「燃えとった」
次郎冠者:「何と燃えてたと申したか」
太郎冠者:「大層炎上しておった。愉快そうであったぞ」
次郎冠者:「それは愉快愉快。ならばわしも見たいぞ」
太郎冠者:「ならば毒の風が吹いてきては危ない。後ろからわしが風をおくろう」
次郎冠者:「よろしくつかまつる」
太郎冠者:「なんのなんの」
次郎冠者:「煽れ、煽れ」
太郎冠者:「煽るぞ、煽るぞ」
次郎冠者:「煽れ、煽れ」
太郎冠者:「煽るぞ、煽るぞ」
次郎冠者:「そりゃ!」
太郎冠者:「何とした!」
次郎冠者:「爆発しておった」
太郎冠者:「何と爆発してたと申したか」
次郎冠者:「大層爆発しておった。愉快そうであったぞ」
太郎冠者:「しかし困った。主が禁じた『ぶく』を使ってしもうた」
次郎冠者:「おおそうじゃ。主が禁じた『ぶく』を使ってしもうた」
太郎冠者:「死んでお詫びをせねばなるまい」
次郎冠者:「死んでお詫びをせねばなるまい」
太郎冠者:「らいぶどあに行こう」
次郎冠者:「ぐーに行こう」
主:「さて、京都から帰ってきたぞ……なんと、太郎冠者も次郎冠者もおらん」
主:「おまけに炎上しているわ、爆発しているわ……なんとしたことじゃ!」
……めでたし、めでたし?
(おしまい)