(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

ヤジのない国会なんてね

昨日、所信表明演説がありましたね。渋谷の某ちゃんぽん屋にて、ラジオにて聞いてたわけなんですが、まあ野党・自民党のヤジが少ないこと少ないこと。「よーし」「そーだ」みたいな与党・民主党のヤジが目立つばかり。聞いててなんだか不思議な感じでありました。
で、これって寂しいんだよね。ヤジがないってのも。議事妨害とかは困るけど、基本的に首相の所信表明演説なんてのは、用意された原稿を読み上げるだけのセレモニーなわけで、「念仏」という業界用語があるくらい。演説それ自体はひどくつまらない。しかしそれが全国に中継され、かつ注目される新首相の初所信表明演説となると、もっとやりようがあると思うわけよ。だって政治だぜ。政治の舞台だぜ。国会という政治の最高の舞台を使ってこそじゃね? それこそヤジすらも利用してアピールくらいするのが普通じゃね?
まあそれもこれも小泉チルドレンが一掃され、新人議員もほとんどなく、今いるのがベテランばかりということで、ヤジのエネルギーがないせいなんですけどね。ヤジの飛ばし手がいない。元気な若手も減ってるし、声のでかいヤジ将軍もいない。具体的にはハマコーとか浜田幸一とか「国会の暴れん坊」と言われたあの人ね。全部同じ人だよ。
ハマコーの話ついでに言うと、ハマコーなんかは野党のヤジがないと、そのヤジのなさをヤジってたもんです。「こら、社会党! もっと声出さんか!」とか。もちろんヤジがあればヤジにヤジる人だったわけですけど、こういう人も今の自民党にいない。元気な若手もベテランもいない。
国会のヤジは必要なんですよ。

ヤジは政治的アピール

国会でのヤジは相手をけなすためにするわけでもないし、笑いをとるためにするわけじゃないの。もちろんけなすこともあるし、笑いをとることもあるけど、それは手段であって目的じゃない。
じゃ何が目的か。それは自らの政治的主張をアピールすることなんですよ。相手よりもこっちが正しいよ、相手は間違ってるよ、我々を支持してね。そういう誘導とか宣伝とかに使うものなんですよ。
例えば大声で威圧する。威圧されて演説がまごまごするようであれば、「首相大丈夫?」となる。あるいは問題点を指摘する。演説にタイミングを合わせて指摘することで、聞く人が「確かにヤジの通りだな」と思ってくれればしめたもの。笑いをとって余裕をしめし、大人であることをアピールしてもいい。
逆に守りのヤジもありうる。今回の民主党が正にそう。「そうだ!」「その通り!」という声を上げて、演説者を後押しする。身近な応援の声が聞こえれば、どんな人だって心強いし、演説にも余裕ができる。また「その通り!」の声が大きく上がることで、聞いてる人が「その通り」と釣られるかもしれない。
たかがヤジでも、こういう攻防が本来あるわけよ。所信表明演説のヤジは、何とかミスや失点を引き出そうとする野党と、それを防ごうと応援する与党。こんな構図があるはず。そして与党にしても野党にしても、自らがやろうとしている政治が正しいと思っているならば、それを全力で実現する努力をするはずで、「たかがヤジ」でも怠らないはず。ましてヤジも含めて全国に中継されるんだから、こういうところで何とかしてやろうと思うのが普通じゃないかね。野党は与党に反対する気はないんかね、と思っちゃうわけよ。
あげくの果てにこんなレベルだし。

鳩山首相所信表明演説。青森に遊説に行った際、息子が職に就けず自殺した年配の女性が、絶望の中で握手した手を離さなかったという話をされたのですが、自民党の議員から「そんなものどこにでもいるよ!」というヤジ。あまりに酷い。

http://twitter.com/GOGOdai5/status/5168433583

民主党参議院議員の話だから、多少は割り引く必要はあるけども、しかしそれにしてもひどいヤジ。こういうヤジは逆効果。自らの立場を良くするためにヤジるわけで、悪くするなら意味がない。

衆院本会議場は3分の2近くが民主党議員で埋められ、議場前方に座った初当選議員を中心に大きな拍手が度々あがった。
演説直前、民主党国会対策委員会幹部が演説を盛り上げるよう指示したためだ。時折あがる自民党など野党からのヤジは300超の民主党議席の存在感にかき消された。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091026-OYT1T01060.htm

こんなんじゃ困るんだけどな。あらゆる場面を利用してアピールするところから政治なのに。野党もうちっとガンガレ。特に自民党ガンガレ。つい最近まで与党として応援ヤジのありがたみと、攻撃ヤジの厳しさを味わったはずなのに、野党になった途端これではちょっとね。
もっとヤジれよ、自民党