そうなんだよなあ、一票の格差を定数減で解決しようとするから難しいんだよねえ。
定数を削減すると「1票の格差」が拡大傾向
http://www.yomiuri.co.jp/job/biz/qapolitics/20130430-OYT8T00834.htm
何故か定数増という選択肢がないわけで。これ不思議。何で減らさなきゃならないんだろう。減らす以外の選択肢をとっちゃいけないの?
選挙区ごとの有権者数が違いすぎると。故に一票あたりの重みが違うために不平等が生じていると。ならばその解決方法は、選挙区あたりの有権者数を揃えること。揃えるにあたり選挙区数が多い方が、いち選挙区あたりの有権者が少なくなり、調節しやすくなるじゃないですか。
ちなみに実際のところどうなるか試算してみた。
総務省の公開データを拝借。都道府県ごとの有権者数を用いる。これにExcelのROUND関数を使う。四捨五入をする関数。これで10万・15万・20万……と5万ずつの数で割り、都道府県ごとに割り当てられるべき議席数を計算。この議席数で有権者数を割ると選挙区あたりの有権者数が出る。これで選挙区ごとの一票の格差を試算した。
例えば北海道の有権者数は4,588,284人。ここから計算していくと、こんな感じになる。
10万人 | 15万人 | 20万人 | 25万人 | 30万人 | 35万人 | 40万人 | 45万人 | 50万人 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
選挙区数 | 46 | 31 | 23 | 18 | 15 | 13 | 11 | 10 | 9 | |
選挙区あたり有権者数 | 99,745 | 148,009 | 199,491 | 254,905 | 305,886 | 352,945 | 417,117 | 458,828 | 509,809 |
これを47都道府県で計算してみたというわけ。
選挙区あたりの有権者数
それぞれの有権者数の場合、いくつの選挙区数が必要になるかを計算してみたのがこちら。
10万人 | 15万人 | 20万人 | 25万人 | 30万人 | 35万人 | 40万人 | 45万人 | 50万人 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
選挙区数 | 1,044 | 696 | 519 | 419 | 349 | 299 | 260 | 231 | 205 |
現在の選挙制度では、小選挙区での議席数は300。ということは、この計算上だと選挙区あたり35万人の有権者数に調整すると丁度よくなるというわけ。
実際、総務省の前掲の資料によると、選挙区ごとの選挙人名簿及び在外選挙人名簿登録者の全国平均は347,686人。しかしながら千葉4区のように497,350人もいる選挙区がある一方で、高知3区のように205,461人しかいない選挙区もある。
想定有権者数ごとの一票の格差
続いて割り出した選挙区の数から、都道府県ごとの選挙区あたりの有権者数を出し、最少と最大の選挙区の有権者数から一票の格差を計算してみたのがこれ。
10万人 | 15万人 | 20万人 | 25万人 | 30万人 | 35万人 | 40万人 | 45万人 | 50万人 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
最少有権者数 | 93,142 | 137,495 | 182,745 | 211,246 | 241,481 | 294,037 | 316,870 | 343,737 | 413,684 | |
最大有権者数 | 105,623 | 163,400 | 241,481 | 294,037 | 350,271 | 482,961 | 588,074 | 653,599 | 700,541 | |
一票の格差 | 1.13倍 | 1.19倍 | 1.32倍 | 1.39倍 | 1.45倍 | 1.64倍 | 1.86倍 | 1.90倍 | 1.69倍 |
あくまで計算上のもので、現実を顧みない数値ではあるけども、現状の選挙区数でも一票の格差は1.64倍程度には抑えられるというのがここからわかる。現実の一票の格差は2.42倍であり、こことの差である0.8倍分が運用面の不備であり、区割りがうまくいっていない部分と言える。
最大有権者数は、この試算(482,961人)と現実の千葉4区(497,350人)ではさほど大きな違いがない一方で、最少有権者数は試算(294,037人)と現実の高知3区(205,461人)が大きく乖離しており、現状の問題は制度的なものというより、区割りという運用の問題であり、中でも有権者が少ない地区の区割りがうまくいっていないということじゃないですかね。
一方で定数減が一票の格差拡大につながり、定数増が格差減少につながることもよくわかる。有権者数50万人で数値が好転しているけれども、これが母数が大きすぎて差がつきにくくなったという面と、鳥取県(482,961人)や島根県(588,074人)など、50万人前後の有権者数である都道府県があるため、公約数的に有利になっただけと思われる。