(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

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続・被災地の今を訪ねる(2)

続・被災地の今を訪ねる(1) - (旧姓)タケルンバ卿日記 より続きです。
11月12日朝7時、JR山手線の大塚駅より車にて出発。


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昨年と同じく福島松川のスマートICから飯舘村などを経由し、南相馬市に出ます。
正直見る風景に違いはあまりありません。ただ、心なしか交通量が減っているなあというのがまず思ったところ。昨年より行き交うダンプが少ないなあと。
これは他の項でも書きますが、このダンプの交通量の差は、同時に地域差でもあります。ダンプの交通量の差は、即ち運ぶものがあるかどうかの差であり、どういう段階の工事が行われているかどうかの差であると。
福島県浜通りから中通りにかけて、ダンプで運ぶ必要のあるものは少なくなっている。瓦礫にしても土砂にしても、被災地から運ぶ必要があるものは減っている。ある程度は被災地で自己処理できるようになっているし、瓦礫処理の段階ではなくなっていると。そういうことなのでしょう。
また昨年そこかしこでやっていた測量風景を、ほとんど見かけることがありませんでした。これは被災地全般で見られることで、現段階は測量を必要とする準備段階ではなく、測量をもとにした施工の段階であり、それに着手するかどうかなのでしょう。

飯舘村放射線を計測する

昨年、車内で放射線を計測しながら走っていたうち、最も高い値だったのが飯舘村でした。


同じ場所は今、どうなっているのか。全く同じ地点である一の沢バス停で計測してみました。

道路沿いのところで1.61μSv/h。

草むらのところで1.93μSv/h。昨年よりは下がっているとはいえ、未だ高い数値。
普通の道路上と草むらでの数値の変化がなくなっているということは、時間が経過し、雨風もあった中で、いわゆるホットスポットというものが減少しているということなのかもしれない。極端に線量が高い地点という地点はなくて、より平均化していると。
しかしながら、未だ1.0μSv/hを超える数値が出るということは、除染はまだまだ進んでいないことを意味します。
ちなみにこの後向かう南相馬であるとか、より福島原発に近い浪江では、東京などとあまり変わらない0.10μSv/h近辺の数値であったため、福島原発から新たに放射線が出ているということはもうなくて、土地に滞留している放射線の有無の問題であり、除染活動の有無による差ではないかと。そこにあるものを除けたかどうかの差。
福島原発からある程度離れた飯舘村には未だ放射線の問題があり、除染活動が進んでいないことがわかる一方で、福島原発から程近い浪江町では、少なくても通行制限が解除された国道6号線の部分に関しては除染が進み、放射線の問題がなくなってきている。

福島原発を中心とする同心円状に放射線は広がっているのではなく、北西方向に指向性があるかのように広がっているのが、この地図でもよくわかる。そして福島原発からの距離の問題ではなく、方向の問題であるということも。
飯舘から南相馬に向かうルートでは、雨戸を閉めきった家屋が目立ちます。恐らく家を出たのでしょう。全てを閉めきり、もう戻るつもりもなく。準備万端で戸締まりをして。
北の被災地に未だ残る雨ざらしの家屋とは対照的な光景。「逃げる間もなく」「とるものもとりあえず」とはまた異なる被災地の姿でした。
(つづく) 続・被災地の今を訪ねる(3) - (旧姓)タケルンバ卿日記