(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

非常に正しい現状認識

オシムへの「スポーツ報知」正月インタビュー。2010年ワールドカップ、アジア地区予選突破についてネガティブなコメンツとのこと。

オシムのマスコミ(夕刊フジとか夕刊フジとか夕刊フジ)はどうせ「責任放棄だ」って書くと思うけど、非常に正しい認識ですよ。予選突破ですら次は難しい。指揮官として危機感を高めようと警告を発するのは当たり前。
この発言が正しいかどうか考える前に、逆のコメンツを発した場合を考えればいい。「予選? 余裕っしょ」「今の日本の相手じゃないよ。アジアは」って言った場合どうなるか。またそれを鵜呑みにしたマスコミが楽観ムードを醸成するに決まってる。昨年のW杯よ再びですよ。昨年のW杯もそうだし、次のW杯の予選だって簡単な戦いじゃねえですよ。
前回のW杯には日本・韓国・サウジアラビア・イラン・オーストラリアの5ヶ国が出場。実績通りにこの5ヶ国が上位に来たとしても、今回のアジア枠は4.5なので、このうち少なくても1ヶ国はプレーオフ行き。しかも他に中国・カタールバーレーン・UAEなんかもいますからね。また、シリアやイエメン、イラクだって侮れない相手ですよ。このメンバーで確実に上位に来る保証なんか全くない。フランスとかオランダだって予選落ちする。それがW杯。つい最近強くなっただけの新興強豪国に過ぎない日本が、日本より強豪としての歴史が長い中東勢に敗れるのは想定されうる結果。驚くに値しませんよ。
多分こういう認識の差って、「日本リーグ知ってるかどうか」「ダイヤモンドサッカー知ってるかどうか」だと思うんですよね。古いサッカーファンほど慎重。日本のサッカー界がひでえ時期を知っているだけに、楽観できんのですよ。現在でもこんな隆盛が信じられないですからね。今は海外リーグなんかもオンタイムで見れますけど、昔なんてW杯の試合を「ダイヤモンドサッカー」で1年間にわたって放映とかでしたから。今考えると悠長なもんですけど、世界の最先端のサッカーを見ることができる貴重な時間でしたからね。あとは「トヨタカップ」くらいのもので。ええ。
というわけでオシムの見解は非常に冷静であり、正鵠を得たものと考える次第。無用な楽観は何も得るものなし。危機感から新たなステージを得よ。

日体大の北村に最優秀コメンツ賞を

我ながらお金がかかってない予想はよく当たりますなあ。ま、まだ往路ですけど、1位順天堂大、2位東海大で今のところ12月28日付の予想通り。完璧じゃん。この予想、エントリー発表前にしてますからね。その時点でした予想の割には的確でしたな。以上、自画自賛
しかし今井正人には驚いた。「1分や2分の差なら十分逆転可能」って書いたくらい、最後の大逆転がありうることは織り込み済みでしたけど、まさか4分差をひっくり返すとは。5区スタート時点で1位の東海大からは4分9秒離されてましたからね。しかも5区スタート直後から日体大の北村と併走状態になり、ペースをかく乱される要因ができたので、さすがに1位までは無理だろうと思ってましたが……あんたスゲエよ。
日体大の北村ついでに書くと、北村の今井に対する「山の神」発言。あれ、今年一番のヒット。まだ2日だけど。聞いた直後は「それはさすがに言い過ぎだ」と思ったけど、終わってみれば本当に「山の神」。いいキャッチフレーズつけてもらったなあ、今井は。北村には一生感謝してもいいと思うよ。こういうキャッチフレーズって一生ものですからね。学年1つ下だけど、一生の恩人。そのくらい思って良し。素晴らしいコメンツだよ、北村。
あと気になったことを項目ごとにまとめるとこんな感じ。

最後に今井にはしてやられたものの、決して戦略的には間違ってませんよ。本来差がつかない1区で佐藤悠基を起用し、他校に4分もの差を一気につけ、2区の伊達でその差を開き、1区・2区で築いたリードを堅実に守りきるという戦略は一定の成功をおさめた感触。団子状態になることが多い1区で大量リードを築くというのは、今後流行する可能性アリ。本来差が付かない区間にあえて圧倒的な力を持つ選手を投入、一気に差をつけるという戦略は悪くないですよ。
ただ3区・5区が悪すぎた。区間順位が3区18位、5区14位ではいかんとも。ここを1桁順位でしのげればねえ。
でもそれでも2位、それでも1分42秒差。2区間でブレーキがあってこの成績でまとめたところを評価したい。戦略的には大成功。これをネガティブに評価しちゃ監督・コーチがかわいそうだ。

非常にクレバーなレース振りが光ったのは実は東洋大。1区ではスタート直後に大西が佐藤悠基に続いて飛び出し、大集団にリードを築いて、結局その差を守りきり2位。2区では早稲田の竹澤の後ろにつき、スタミナを温存し、最後抜け出し2位キープ。3区でも早稲田と併走。早稲田に抜かれるも3位。4区でもまずまずの走りで早稲田を抜き返し2位。非常に抑制された走りで、素晴らしいレースを見せました。惜しむらくは5区のブレーキ。あれさえなければ、というレース。でも力以上のレースをしたと思いますよ。全体が必要以上に抑えた1区では、早めに前に行ったのが功を奏したし、佐藤に無理矢理ついて行かなかったから2位になれたし、2区では竹澤に抜かれても後ろで我慢したから後半の逆転につながった。3区・4区も同様で、監督の期待以上だったと思いますよ。東海大同様ここも責めちゃかわいそう。悪くないですよ。

  • 平均値戦略の不振

ゲストの徳本一善も言ってましたけど、今回はレースコンディションが良かったせいか、絶対的エースが絶対的な力を発揮することができたので、相対的に平均値で勝負する大学には流れが向きませんでしたね。そのいい例が駒澤大亜細亜大の不振。大駒がいる区間で大きく差をつけられ、その差を埋められないままゴールといった印象。復路に選手を残しているんで、ある程度は挽回するでしょうけどね。厳しいっす。

  • 中継のスイッチングに問題アリ

ここからはテレビ中継に関してなんですけど、例年になくスイッチングがナニでしたな。実況の受け渡し、画面の切り替えなど、全てにおいて微妙。珍しいね、こんなにズタボロなのは。画面が切り替わっているのに前の実況者がしゃべり続ける場面多し。やっぱり船越アナがいなくなった影響があったのかねえ。近年稀に見るひどさでした。

  • 意外といいぞ、徳本解説

そんなひどいテレビ中継の中で光ったのがゲストの徳本。物凄く理知的なしゃべり。もうそのままプロの解説者としてやっていけるんじゃねえかと思ったくらい。陸上がらみの解説でこんなに理知的な話を聞けるとは思わなんだ。「さん」付けで話したがる増田明美とか、微妙にもごもごしている金哲彦よりよっぽどいいよ。瀬古は時々ぶっちぎれるのが面白いから、今度は「まとも」担当の徳本とのダブル解説でひとつ。
で、最後に明日の展望。ハッキリ言って順大有利。東海大は持ち駒をフルに使った感があるけども、順大はまだ9区に長門が残っているなど、比較的余力がある。復路だけで考えれば東海大より順大の方が戦力が上。である以上は逆転は困難。タイム以上の差がある感じ。
逆転があるとすれば日体大・日大・駒大の3校。3校とも比較的余力があり、東海大よりは見込みがありそう。特に日体大は明日のエントリー変更が焦点。補欠にいい選手を残しているので、誰をどこに使うかが非常に楽しみ。復路優勝はこの3校の争いでは。
一方、7分以上差をつけられた亜細亜大はさすがに圏外。5分ならともかく、差が7分以上もあるとさすがに厳しい。上位陣にことごとくブレーキがない限りは上位進出は難しい。復路はブレーキがあったところをひとつひとつ抜いていく展開じゃないですかね。連覇は絶望でしょ。
しかしまあ今年も実に面白いレース展開。明日も早起き。正月の悦楽だなあ。