アメリカの大統領選挙には「ネガティブ・キャンペーン」がつきもの。「相手をクサしてなんぼ」みたいなところがあるのだけれど、早くもそれがスタート。ターゲットは民主党のバラック・オバマ。黒人初の大統領誕生か?と話題になっている人物。その彼がインドネシアで過ごした少年時代に、イスラム過激派の学校に通学していたと「インサイト」という雑誌が報道。ところがところが、これがガセということが判明。「あるある」どころじゃないでっち上げ敢行ですよ、奥さん。
とはいえ、この話は最初からみんな疑っていたのよね。何故なら出所がインサイトだから。この雑誌は「ワシントン・タイムズ」が発行しているんです。で、このワシントン・タイムズ。ま、いわくつきの新聞社でして、ええ。
何せ社名から微妙。「ワシントン・ポスト」と「ニューヨーク・タイムズ」という大メジャー紙のパクリ疑惑がついてやまない社名。日本で言えば「競馬エイト」における「競友セブン(現在は「競友」)」とか、「月の雫」における「月の宴」とか。喩えがいちいち適当じゃないね。
さらに言えば、このワシントン・タイムズはガチガチの共和党系。何せ共和党支持を公然と表明している新聞。そ、実は共和党が民主党を叩くというシンプルな構図。単なるライバル潰し。
しかしこれはかなり悪質。かなりエグい。「ヒラリー・クリントン上院議員(民主党)の関係者が行った調査の結果とされる」とあるように、わざわざネタ元を民主党のヒラリーに押し付けている部分なんかスゲエ。あからさまな離間の計。共和党としては「オバマ・ヒラリー」という組み合わせが一番怖い。黒人と女性というのはインパクトがありますからな。どちらが大統領でも副大統領でも「初」になるわけで。そうなると共和党が対抗するにはコンドリーサ・ライスしかなくなるもんな。相手が「黒人と女性」で来るなら、ライスは「黒人で女性」。ひとりでOKだ。
それはともあれ、こんなあれこれを考えるとオバマとヒラリーの仲を裂き、民主党の仲間割れを誘発させ、しかも共和党は何もしてないよというポーズをするという策略っぷりが明白になる。いやはや、アメリカの権力争いは凄いね。