(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

参院選セレナーデ

選挙後の自民党のドタバタぶりを見ていると、実に浅ましくていいですなあ。人間の欲というか、思惑というか、本音がよくわかる。ここまで露骨に動くもんですかねえ。人間観察的に実に面白いし、たった1回の選挙が及ぼす影響の大きさに驚く次第。
今回の参院選でこんなことがわかりましたな。

組織票は死んだ

医師会支援の武見敬三が落ちるなど、団体系候補の得票数減少は物凄いわけで。地方でもかつての自民党組織力はないし、組織票は死んだと同然、「右向け右」で投票行動が決まる時代は終わった感じ。
ただ、これは民主党の時代が来たわけでも、無党派の時代でもないんだよね。そこを勘違いすると本質を見誤る。あくまで組織投票がなくなったってだけなんですよ。自民党が否定されたわけでも、民主党が肯定されたわけでもないのね。投票の主体が個人になって、是々非々で選択する時代になった。会社が何と言おうが、親が何と言おうが、地域が何と言おうが、投票先は自分で決める。そういう世の中になったってだけですよ。有権者の自立です。
で、これはインターネット論に通ずる話だと思うんですよね。個人が情報を集め分析し、ものを考えることが可能になった。そしてそれをブログとかで表現できる時代になった。そうした流れの延長線上で、個人がそれぞれ投票行動で表現しているだけなんじゃねえかと。そう思うわけです。
である以上は今後の選挙は、組織の推薦なんかは意味はなくて、如何にそうした個人個人の支持を集めるかということが焦点。全ての主体は組織から個人に移ったという認識が必要じゃないですかね。そういう意味でドブ板を徹底した小沢は正しいですな。実体のなくなった組織より、目の前の個人の方が大事ですよ。

参議院は死んだ

自民党は37議席に終わった。121議席のうち3分の1止まり。ということは政権与党としては大惨敗なわけですよ。現実に民主党は60議席、約半分獲ったわけで。
で、これだけの大敗で安倍は辞めない。ということは、今後の参院選でも結果はどうあれ総裁は辞めなくてもよし、という先例を作っちまったわけです。特に安倍は後年、誰かが参院選で負けた場合に「責任とって辞めろ」とは言えなくなるわけですな。てめーが辞めなかった以上は、人に言う資格はねえわけですから。
ということは、今後、自民党政権であるうちは参院選の結果は不問となるわけですよ。ということは、国政選挙の意義がなくなるし、ひいては参議院の意味がなくなる。参院選がどうなろうと政権が変わらないんなら、衆院選だけでいいじゃんと。そうなるのでは。実際、あと3年間は参議院の勢力図はかわらんから、国政の混乱は続くわけでねえ。ならば一院制の一発勝負の方がシステムとしてわかりいいわけで。こういう問題提起はこれまでもあったし、今回の安倍の辞任回避でますます出てくるのでは。
結果的に辞任しなかったことで、参議院をダメにした気がしますな。

政権交代の有効性が証明された

一方、これだけ自民党が大混乱していることで、選挙の重要性が浮き彫りになりましたな。ここまで自民党は浮き足立つのかと。あれほど鷹揚に構えていた連中に、急に緊張感が出てきた。批判の声が表に出てきたし、色々な意見が随所に見られる様になった。で、ここでひとつの連想が生まれるわけです。参議院でこれなら、衆議院ではもっとスゲエことになるのでは?
でも、それこそ政権交代の効用なわけですよ。政権から追われる、選挙で負けるという恐怖感があった方がいいんです。そういう恐怖感があるから頑張るんです。そういうのがないと真面目に働かんでしょ。何事もそういうもんですよ。そのために政権交代があった方がいいんです。
そしてこの話は自民党が悪い、民主党が良いという話じゃねえんです。政権交代があった方が良いというだけの話。「自民党政権が続いているから替えよう」というだけで、決して民主党が良いわけじゃねえのね。ここ重要。なので、民主党政権が続いて緊張感がなくなったら替える必要が出てくる。そういう話。ビックカメラに行って「これ、ヤマダさんは5万だったよ」と言うと安くなるじゃないですか。こういう競い合いを政治の場でさせるわけですよ。緊張感を持たせて政治を担当させる。そのことで国民はよりよい政治にあずかれると。そういうわけです。
というわけなんで、とりあえずでも、乱暴でも政権交代させるべきだという自分の思いを再確認した次第。頼りないヤツでも、一か八かで期待したいと思っております。いい加減なヤツよりはマシですから。