(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

優しさは老化の敵

森光子が「放浪記」のでんぐり返しを封印するらしい。

単純にこういう話は不安。「ケガしないように」という優しさベースの配慮なんだろうけど、えてして、一度でんぐり返しをやめると、二度とできなくなってしまうんだよね。お年を召してくると「体力がなくなる」というより、「体力がつかなくなる」ものなので。森光子の驚異的な若さは、女優として現役であることで保たれている面があるので、こういう「楽に、楽に」の悪影響が心配でござるよ。
で、こういう優しさって、えてして寝たきりの原因なってますわね。例えば足が悪いというわけで、車椅子を使わせる。そうなると、外出すると人の手が必要となるので、外出が億劫になる。そうなると運動量が減ってますます外に出なくなる。こういう負のスパイラルが始まる。優しいお年寄りほど、この「優しさスパイラル」にはまるんだよね。優しさという好意は受け取る反面、相手に対して迷惑をかけたくないという優しさも持っているので。
実は「お年寄りをほっとく」とか「手をかけさせることを気にしない」という非優しさの方が元気でいられる現実がありますよ。でんぐり返しをやり続けた彼女に、でんぐり返しをやめろというのは、優しさのようで優しさではないなあと。「放浪記の主演失格」を言い渡すようなもんでないかい? 「でんぐり返しをしても心配されないように、もっとトレーニングしてください」と突き放すのがプロに対する敬意だし、優しさだと思いますがねえ。