(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

昔の思い出小話

熱海関連の記事を書いていたら、熱海で働いていた当時のことが懐かしくなったので、ちょっと書く。

レバ刺しの厚さの限度

あの地域のスーパーは、東京のスーパーに慣れているとある種異常で、例えば鮮魚コーナーで言えば、パックの寿司が異様にうまかったり、生しらすや生桜海老が普通にあったり、しかも安かったりする。同様に精肉コーナーもアレで、店によっては妙なクオリティ。
当時近所にあった「ミートセンター石川」というスーパーなんかだと、業務用の販売なんかもやってたため、店頭でレバ刺しが普通に買えた。パックにゴマ油と塩同封で。しかもスライス済みとブロック状のと、両方あった。
ある時、あまりの生レバ好きさに、「レバーをかたまりのまま食ってみたらどうだろう」と思い、ブロックの生レバーを買ってみた。これにゴマ油をかけ、塩をふり、豪快にかぶりついてみようと思ったわけだ。死霊のはらわたを貪るが如く、ぶしゅるぶしゅると肝臓を食べる。しかも口の周りを血だらけにして。
で、嬉々として噛み付いてみたわけだが、思いのほかおいしくない。ハッキリ言って、通常のスライスの方がうまい。「かたまりで食べたい!」という欲のままに行動してみたわけだが、その願望はかなったものの、結果としてはイマイチ。
やはり噛み切れないことが問題なのかな。レバーのうまさを感じる厚さには限度があるってことなのかな。とにかくかたまり一気食いはうまくない。

恐らく、まるいのこの厚みが、レバーのうまさを最も感じられる限界なんだろうな。
「何事にも程度がある」
ということを思い知りました。口周りを血に染めて。

騙しのブーメラン

伊豆ならではなんなのか知らんけど、イルカとかマンボウとかも売ってたのよね。鮮魚コーナーで。刺身で。
食うつもりはなかったんだけど、同僚に「マンボウうまい」「グニグニ感がなんとも」「食わなきゃ損」とかずーっと言われていたので、ある日買ってみたわけよ。食べてみたわけよ。
結論から言うと自分には合わない味だったんだけども、実は同僚もそう思っていて、
「自分だけこんな微妙な経験をしているのが悔しかったから、何としてでも他のヤツに食わせてみたかった」
という。おい、騙したのかよ。
となると俺もかつぎたくなるわけじゃないですか。かついでこその人生じゃないですか(言い過ぎ)。
まずは職場全員に噂を流布しますよね。「とにかくうまい」と。で、同僚と鮮魚コーナーにいたとしたら、ふたりでマンボウが如何にうまいかを熱く語りますよね。聞こえるように、ええ。聞き耳を立てていたおばちゃんが、買い物かごにマンボウを入れたら大勝利ですよ、ええ。
で、そういうイタズラをしていたわけなんですか、しばらくするとよく行くスーパーの鮮魚コーナーにおけるマンボウ率が高まるわけですよ。昔は2、3パックしか置いておらず、珍味扱いだったのに、気がつくと扱いがよくなっている。シメ鯖とかを脅かす存在になっているわけですよ。そして周囲なんかでも「マンボウうめぇ」みたいな話が出てくるわけですよ。
そうなると何だか心配になってきますよね。
「あれ、もしかしてマンボウってうまいんじゃないか?」
「俺が気づかなかっただけじゃなかったのか?」
「……俺が……遅れているだと………」
で、あるとき確認のため、再び買ってみるわけです。食べてみるわけです。
合わない……。
騙そうとすると騙される。騙しのブーメラン直撃という話でした。