(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

景気が良くなるとインターネット投資は停滞するという可能性

結論から書くと、「東京においてのインターネット投資は停滞するんじゃないか?」と思うようになった。特に宿泊業なんかのサービス業においては。

売り切れのものは売りようがない

その理由はこれ。
例えば宿泊業。部屋がある。それを1泊単位で売る。これが商売の基本。空き部屋があれば売り、すべて売れれば満室。売り切れ。もともとある建物の部屋数以上には部屋を売ることができない。
また部屋というのは、泊まりのお客さんがいなければ、一円の売上にもならない。というわけで、空き部屋が多い部屋は多少値段を下げてでも売りたいし、逆にどうしたって売れる日は値段を上げる。満室が予想される日に値下げする宿泊施設なんてない。可能な限りの上限の価格で売る。台風の時なんかはどこも満室だったし、空きがあったとしても定価だったろ?
で、オリンピックでありアベノミクスだ。宿泊業の業績は目に見えて良くなっている。

とまあこんな感じで足元は堅調。9月も54年ぶりに東京都開催になった国体とかの影響もあって、どこも悪くない。ちなみに来年はインターハイもある。2013年国体、2014年インターハイ、2020年オリンピック。しばらく東京はスポーツづくめで、観光客の切れ目がなさそう。競技施設などの設備投資の影響で作業員の宿泊ものぞめるし、当面は悪いニュースがない。
さて、こうなってくると「果たしてインターネット投資をしようと思うホテル・旅館が出るか?」という疑問が浮かんでくるわけだ。
ほっといても売れる。満室になる。安売りする環境にない。
この状態はインターネット投資をやるきっかけの真逆。
なんでホテル・旅館がインターネット投資をするか。基本的には部屋が売れないからであり、売れるようにしたいから。従来の販売方法だけではなく、いろんな方法で売ることによって顧客を掘り起こしたい。予約の利便性を確保して、他社よりも先んじたい。また海外向けに英語サイトなんかも用意して、海外からの観光客も呼びたい。
こういう意欲が全部失われる。部屋は売れている。というか、これ以上売りようがない。売りようがないから、一部屋あたりの売上を上げたい。であるなら、インターネット経由で安売りすることない。予約サイト運営会社に手数料を落とす必要ない。海外向けに特別何かする必要もなくて、どうしても部屋を予約したい人は、向こうからメールでも電話でもしてくるだろう。空き部屋があればそこで対応すればいいし、定価販売でいいじゃないか。
まあ、これは殿様商売であるし、先々のためにはこれじゃまずいんじゃないの? という危惧はあるものの、インターネット投資を後回しにする理由としては十分な気がする。同じく飲食店なんかも席数という限度があるから、人気店は似たような状況になると思われる。
不便な状態でもモノが売れ、お金が入る状態であれば、利便性の向上にお金を使わなくなる。不便さは一時的に放置される。インターネットサービスにとって、今の景気の流れは逆に働くのではないか? というのが俺の予想。
「インターネットより人集めだ!」「ネットやってる場合じゃねえ!」っていう状況はいつ本格的に来るのか。当たるかどうかは知らん。ま、俺は次の景気後退局面のためにお金を貯めておいて、ドカンと後で設備投資できるようにしとけという考えです、はい。