(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

おせち料理は大丈夫なんでしょうか

宿泊と飲食の関係者ことタケルンバです、こんばんは。
なんか底なしになってきたメニュー表示問題ですが、懸念している問題がひとつ。それはおせち料理
この時期はおせち商戦真っ盛りなんですが、このおせちというのがまた厄介なもので。ことメニュー表示という観点において地雷原としか言いようがない。
特に微妙なのが魚卵。
結局ね、大きな形のないものって偽装しやすいんですよ。お肉で言えばひき肉。ひき肉にしちゃえばどこのどんな肉かわかんない。あちこちの端肉をひき肉にする。それを固める。成型肉にする。それを焼いてステーキと言う。
これ、実質はハンバーグです。つなぎなしのハンバーグと考えた方が実質的には近い。一枚肉を焼いたステーキとは全然違う代物。なので最近は加工肉と表示するようになっている。
で、魚卵。魚卵も一粒単位にしちゃえば何が何だかわかるよしもない。魚の種類が似ていれば、卵の種類も似る。形や歯ごたえなども似るので、一粒単位にしちゃえばわからん。
例えば数の子。ニシンの卵。ひと腹単位であれば見た目でわかる。サイズ的にも。色、形的にも。
しかし一粒単位にして、そこにカペリンの卵を入れればわからん。いわゆるシシャモ。カラフトシシャモ。いわゆる子持ちシシャモの卵。
松前漬けとかには数の子が入っておりますが、バラバラのはカペリンを使い、賑やかしというか、「きちんと数の子も入ってますよ」的なアリバイとして、まとまった形の数の子をちょっと入れる。上のところに大きめの数の子があれば、中にもその数の子が入っていると思うじゃないですか。こういうケースがままあります(良心的な商品であれば原材料のところにちゃんと書いてある)。
あとはいくらであるとか、鯛子であるとか。たらこもそうですよね。こういうのはごまかせる。いくらは鮭の卵。鱒は鮭の仲間。見た目は? こういう話はごまんとある。
そこでおせちなんですが、良心的なところはきちんとお品書きを出すんですよ。

これ、なだ万の。

黒豆、千代呂木(紅・白)、紅白蒲鉾、伊達巻、田作り、紅白なます、栗金団、鰈西京焼、帆立生姜煮、紅鮭昆布巻、貝柱雲丹和え、数の子鼈甲漬、海老芝煮、ずわい蟹生姜煮、いくら醤油漬、椎茸旨煮、ローストビーフ・タレ、結び昆布

http://www.nadaman.co.jp/chubow/osechi/ro150.htm

こんな感じで。

加賀屋はこんな感じ。楽天でのおせちはどこもお品書きが詳しい。
ただね、この「詳しい」というのが曲者であり、リスクなわけで。端的に言って、詳しく書けば書くほど偽装になりかねない。詳しく書くのは善意だし、素晴らしいんだけど、書けば書くほど突っ込まれ要因が増える。
今回のメニュー偽装でもありましたが、エビなんかはまさにその代表格で、「エビ」と書いておけばどんなエビでも問題ないわけです。ところが「芝海老」と書くから芝海老以外はアウトになる。パナメイエビだってブラックタイガーだってうまいんだけど、芝海老と書いてあるところで、パナメイエビを使っちゃまずいですわな。伊勢海老って書いてあるのにロブスターもまた同様。
鴨と合鴨と家鴨の違いとかね。合鴨ローストみたいなのありますけど、あれだって表記次第でアウト。他にもスパークリングワインにおけるシャンパンのような、より狭い意味合いに使われ、より高級品を示す言葉っていろいろありますからね。
恐らくどこもメニュー表記の点検と、原材料の確認で忙しいところでありますけども、回転寿司的な代用品を使っちゃっている場合、大幅なメニュー変更があったり、場合によってはおせち販売の中止に追い込まれるところもあるかもなあ。
「からすみ」ってお品書きに書いて唐千寿使っているところ、息してるか?

この、スギヨの唐千寿は原料であるサメの卵にタラの卵を混合ブレンドしたもので、からすみとよく似たもったり感と、独特の風味があり、他の追従を許しません!

http://www.amazon.co.jp/%E9%A3%9F%E6%9D%90%E5%B8%82%E5%A0%B4-%E3%82%84%E3%81%BE%E3%82%82%E3%81%A8-%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%99%E3%81%BF%E9%A2%A8%E5%91%B3-%E5%94%90%E5%8D%83%E5%AF%BF-70%EF%BD%87/dp/B007WA51KK/ref=cm_cr_pr_product_top

唐千寿もうまいんだけど、少なくてもボラの卵ではないからな。サメ&タラ。からすみのようではあるが、からすみではない。からすみとお品書きにあったら……ま、アウトですわね。
鯛としてティラピアとか、ふぐとしてウマヅラハギとか、回転寿司ではよくある話ですが、回転寿司のように安価ではなく、逆に「よーし、新年だからお父さん奮発しちゃうぞー」となるおせちでそれがどこまで許されるというのか。まして縁起物ですからね。魚卵は子孫繁栄の願いを込めて食べるわけですし、鯛は文字通り「めでたい」だし、ふぐは「福」ですよね。
いっそのこと全部「風」をつけてごまかしちゃえば面倒なことはないんですけどね。「伊勢海老のテルミドール風」と書くから伊勢海老使わなきゃなんないわけで。「伊勢海老風のテルミドール」だったら伊勢海老っぽくあればおk。……んなわけねー。
なんか大変なことになりそうです。