(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

おにぎりの国

日常的である故に、その価値に気付かない。こういうことは結構あるもんですが、先日の北京・香港行きでハッと気付いたことがあるんですよ。それは「手渡し文化」。日本には「手から手へ」の文化があるんですよ、奥さん。
何でそう思ったかというと、支払いのとき、お釣りをもらうときがありますな。で、日本人の習性で手を差し出す。こうなれば日本ではほぼ100%その手にお釣りを手渡しでくれます。コンビニなんかでもそうで、手を差し出しているのに、テーブルにお金を置くなんてないですよね。「拾え」って言われているみたいで、なんか感じが悪い。
ところが香港とかだと、まさにその「拾え」なわけです。手を出していても、その手を無視してテーブルにバーン。とはいえあちらも失礼なことをしてる感覚がない。そもそもそこで手を差し出す文化がない。手を差し出す文化がないから、その手にお釣りを返す文化もない。つまりこうしたやり取りで手渡しの文化がないのですよ。コンビニとかローカルな食堂とか全般そう。テーブルにバーン、それを持ってくというやり取りが普通。はなっから手も差し出さんし。感覚の違いとか言いようがない。
そう考えていくと、日本人には「手のぬくもり」という情緒的な価値観があるような気がしますな。別に特段の価値はないんだけど、何となくそこにありがたみを感じてしまう。おにぎりの良さっていうのもそういうところだしなあ。寿司もそう。職人が手で握ったものを手づかみで食べる。ネタの鮮度としては冷え性の方がいいんだろうけど。
改めて日本は「おにぎりの国」であり「寿司の国」なんだなあと、コンビニの会計のたびに考えてしまうのでした。手渡してくれねえことはわかっているのに、でもついつい手を出すのは日本人の悲しい性よね。