(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

できない良い人が最も困る

この記事を見て人事担当者だったときのことをふと思い出した。

彼は決して悪人ではありませんでした。むしろ私も含めて「猛獣」だらけだった社内では、癒し系ですらありました。彼は私が入社する前に降格人事を受けていたのですが、それを恨むわけでもなく、きちんと出社して仕事をやっていました。
いや、出社しすぎていて、にも関わらず仕事が完了しなかったのです。

このタイプが最も切りづらいんだよねえ。切りづらいが、実は問題。
「できる人・できない人」「良い人・悪い人」で分類すると、この4分類になる。

  • できる良い人
  • できない良い人
  • できる悪い人
  • できない悪い人

「できない悪い人」は切りやすい。切っても他の従業員に反対されることはないし、良心も痛まない。「切るにふさわしい」と人格にかこつけて、クビを正当化できる。自分も周囲も納得しやすい。
「できる悪い人」も意外と切りやすい。人格の良し悪しは数値化できないので曖昧。で、曖昧だからこそそれを強調できる。目に見えないけど、業務に悪影響というように結びつけやすい。切りたい場合の口実として使いやすいしね。理由後付けで処理できる。悪い人だから、良心の呵責もないしね。
問題は「できない良い人」。できないことはわかっている。でも良い人。この場合、辞めた後のこととか、余計なことまで考えちゃうんだよね。良い人だから。切ることにためらいが出る。そこが良い人たるところ。必要以上におもんばかってしまう。
ところが、この「おもんばかる」行為こそ不利益の源。本人の能力不足のために、周りの力が必要になる。

あのプロジェクトは、結局A君に片付けてもらった。このプロジェクトは、私がやった。

こういうことになる。周りが助けちゃうんだよね。良い人だから。悪い人なら放っておくのに。で、そのうちできないことがばれる。そうなりゃ退職を余儀なくされる。でも良い人は助けてしまう。助けてしまうから、ダメなことがバレづらい。だから自然淘汰が起きない。フォローしちゃうんだよ、ついつい。

善人で仕事ができない先輩。正直引導を渡すのが最も鬱になる相手です。だからこそ、今まで辞めずにクビにならずに残っていた。だからこそけじめをつけなければならない。

そうなのよ。こういうタイプこそ引導を早めに渡さなくてはならない。良い人だからこそ、組織としては始末が悪い。切りにくいからこそ、切らなくてはならない。こういう面倒くせえ選択の日々を思い出したのでございますよ。悪い人を相手にするほうが、ビジネス上はよっぽど気が楽。良い人の方が困るという話。「仕事のできる悪いヤツ」が大好きなオレは間違ってますか?