(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

意思・意欲・意図の価値

Twitterは「Tween」というソフトを使って発言を見てるのだけれど、そこではタブ機能を使い、リンクを貼ってある発言だけ別に分類している。「http」という文字列が入っているみんなの発言は、全部ひとつのタグに入るように設定している。
でだ。このタグが結構いいのだ。なかなかいい情報が集まるのだ。Twitterユーザーそれぞれが何か気になるものがあって呟く。その呟きの中にURLを書き込む。リンクを貼る。何かあったから呟くわけだし、リンクを貼る。このタグはそうした呟きの集合体になるわけだ。
はてなブックマークのお気に入りと比べても、最近は鮮度・質・量・多様性という意味でむしろ勝っているかも知れないと思うようになってきた。はてなブックマークでは、お気に入りに入れたユーザーがブックマークした情報が集まる。「はてなブックマーク」と言うくらいだから、ブックマーク専門のサービスで、専門性は当然に高いわけなんだが、それよりもTwitterの情報を加工したほうが便利かも、と思うようになってきた。

母数が大きい

自分がはてなブックマークでお気に入りに入れているのは、現時点で92ユーザー*1。92ユーザー分のブックマークがお気に入りで見れる。
一方、Twitterでフォローしているのは1,052ユーザー*2。実にはてなブックマークの10倍。基本的にブックマークするために使うはてなブックマークと違い、Twitterではユーザーが気になるリンクを貼るとは限らないので、単純な比較はできないものの、これだけ違えば情報の数は増えてもおかしくないやね。

リアルを知っているユーザーが多い

Twitterはコミュニケーションツールとして使っている面があるため、はてなブックマークのお気に入りより、Twitterのフォローの方が知り合い率が高い。また、Twitterを介して知り合った方が多いので、ネットで知り合った人は、はてなブックマークよりTwitterの利用率が高い。
なので、ある程度面識があったり、仲の良い人がフォローに多くなる。自然と興味分野が似ている人も多くなる。またTwitterのフォローってのは、発言を見たいなと思うからそうするわけなので、その人が貼るリンク先も興味深いものであることが多い。おもしろい人が見つけてくる情報もまたおもしろい。

「呟きたい」という意思がある

母数の問題はお気に入りユーザーを増やせばいいだけだし、好みの方向性、話題の問題に関しても、それに合ったユーザーを探せばいいだけのこと。こういうのは要は数の問題に集約されるので、いくらでも解決できる。
但し、意欲の面はでかい気がする。はてなブックマークはブックマークするためのツールだから、ブックマークしたいと思ったときに使う。一方、Twitterは1投稿140字以内の呟きをするツール。ブックマークするためのツールではないし、リンクを貼るためのツールでもない。
なので、Twitterでわざわざリンクを貼る場合、そこに何らかの意思とか意欲があることが多いような。「見て欲しい」とか「良かったら」とか。単純に「これおもしろかったよ」的な紹介の気持ちとか。そういうところがある。
「こういうサイトがあった」という記録ははてなブックマークをはじめ、Twitter以外でいくらでもできるし、そういう面に特化したサービスがいくらでもある。Twitterはそういう専門サービスじゃないからこそ、わざわざTwitterで呟く何かがあるような気がしている。質を担保している面があるような気がしている。実はこの点はかなり大きいんじゃないかなあ。

便利になると意思・意欲・意図が不必要になる

こういう面がありましてな。はてなブックマークなんかでブックマークしやすくなると、何でもかんでもブックマークするようになる。記録しておく。ブラウザでやってたことも、サービスでやる。
そうなるといちブックマークあたりの重要性が下がる。ブックマークするための費用が安くなればなるほど、手間がかからなければかからないほど、考えもなく行動できる。「とりあえず」ができる。意思・意欲・意図が必要がなくなる。
なので、ある程度までは「選りすぐりの」という感じで使っていたサービスが、ある点からは「選りすぐり度」が下がる。自分にしても他人にしても。なので、情報の量は爆発的に増えても、質は低下するし、薄まる。選りすぐりが集まっている場から、とりあえずのものが集まっている場になるので、玉石混交になるし、そこから重要な情報を見つけ出すスキルが必要にもなってくるし、その便利ツールとして検索機能が意味を持ってくる。
一方Twitterの場合、そもそもブックマーク的な活動に特化したサービスではないので、意思・意欲・意図がなければリンクを貼らない。代用するもの、専門性が高いものがあるからこそ、Twitterでわざわざそれをやる必要がないわけで、わざわざやるならば、それなりの何かがあるはず。その「何か」が今、自分が感じている便利さとか有益さにつながっているんじゃないかなあ。

新たな階層の必要性

インターネットの世界は広大になり、膨大な情報量だからこそのブックマークサービスとして、はてなブックマークが生まれた。しかし情報量が膨大になっていけば、はてなブックマークの情報量でさえも膨大になり、その入口というか道先案内人が必要になってくるんじゃないか。GoogleYahoo!の検索で追いきれなくなったからこそ、ブックマークサービスという小型の入口、情報の保存先が必要になったわけだけども、そのブックマークサービスが大型化したことで、もう一階層下のものが必要になってきているのではないか。

専門サービスの限界?

情報量の飽和点はどこかにある。「おもしろいものが見つけにくい」という不満が高まる点。そしてその不満を解消するために新たなサービスが生まれる。Yahoo!がそうであったように、そしてGoogleがそうであったように。はてなブックマークもそういう要求に応えるサービスであることは間違いない。
ただ、ある機能に特化した専門サービスだからこそ、大きくなりすぎることで限界を迎える。あるものを検索したり、抽出したり、抜き出すサービスであるから、全てを包含してしまうとその価値を落としてしまう。選び出していたものが全てを含む存在になってしまっては意義が薄まる。
となるとTwitterのように意思・意欲・意図が介在するものの方が、そこに障壁が存在するだけ意義を失いにくいのではないのかなあと。専門性が低いからこそ、専門サービスよりも不便だからこそ、ある機能だけに目を向ければ、優秀な点が残りやすいのかなあと。

不便な利便

便利な世の中であるからこそ、不便なものが利便を生む。価値を生み出す。
ソーシャルブックマークサービスの限界は、みんなが使わないから来るのではなくて、みんなが使いすぎるから来る。従来は「量を伴うと安くなる」という量の経済、規模の経済があったわけだけども、今後はそれが反転して、使われすぎないことによる経済性が注目されてもいいんじゃないか。

意思・意欲・意図

Twitterは自己発信型サービスだからこそ、この3つの価値を持つ。この価値が新たな世界を創造していくのかもしれない。

*1:2009年4月15日15:00現在

*2:2009年4月15日15:00現在