(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

東京が帰省先になる

今日あたり帰省先から帰京する方も多いことでしょうが、帰省ラッシュのニュースを見ながら、ふと思ったことがあります。

帰省ラッシュは今後もあるの?

お盆の、夏の風物詩でもある帰省ラッシュ。同時期に、一斉に首都圏から各地に帰る人がいるからこその現象なわけですが、果たして今後もあるのかねと。将来的には、幻の光景になるんじゃないのかなあと思ったわけなんです。
そもそも「帰省」ってわけですから、帰るべき場所があることを前提にしとりますよね。首都圏に出て来ている。元いた場所(実家など)がある。そこに帰るから、首都圏から各地への移動が発生するわけですよ。
しかしながら、帰る場所がなければ帰省もありませんよね。東京が実家で、東京に住んでいるならば、帰省イベントは発生しないわけですよ。逆に、首都圏の高齢化が進めば、帰省の向きが逆になることも考えられますよね。実家に帰るためのラッシュが、東京方面で発生する可能性すらありますよね。

そこでここからデータを引っ張ってみました。最新のが2009年。とりあえず首都圏を埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県の1都3県と定義し、数字をちょこちょこやってみましたよ。

(表1)日本と首都圏の人口推移

※単位は千人

1979年 1989年 1999年 2009年
全国 116,133 123,255 126,686 127,510
首都圏 28,332 31,496 33,130 35,079
首都圏率 24.4% 25.6% 26.2% 27.5%

まず話の前提として人口データを。基本的には首都圏人口は増加の一方で、首都圏の人口増加は、他の地域よりも大きくなっております。っていうことは、首都圏から帰省する人間の数は増えてそうな感じ。

(表2)首都圏の人口構成

1979年 1989年 1999年 2009年
0歳-19歳 31.9% 26.5% 19.6% 17.6%
20歳-59歳 58.3% 59.8% 60.7% 54.7%
60歳以上 9.8% 13.7% 19.7% 27.7%

ところが、じゃ帰省する人間が本当に増えているかというと、これがなかなか疑わしい。
19歳までを「帰省に連れていかれる人」、20歳から59歳までを「帰省する人」、60歳以上を「帰省される人」と考えると、日本の他の地域同様に首都圏でも若い世代が減り、相対的に高齢化が進んでいる。そのために、「帰省する人」と、「帰省に連れていかれる人」の割合が減って、本来「帰省される人」が首都圏に増えている。

(表3)60歳以上の人口と首都圏率

※単位は千人

1979年 1989年 1999年 2009年
全国 14,629 20,884 28,816 38,419
首都圏 2,766 4,319 6,534 9,732
首都圏率 18.9% 20.7% 22.7% 25.3%

2009年の段階で、60歳以上の方のうち、4分の1が首都圏に住んでいる。ということは、彼らの家族にとっては、帰省とは首都圏への移動もしくは首都圏内での移動となるわけですよ。帰るべき田舎はなく、帰るべき都会がある人が相対的に増えているわけですな。

求められるインフラのあり方が変わる?

っていうデータの傾向を見ていくと、今後も首都圏内で「帰省する人」が減り、「帰省される人」が増えていきそうな感じ。帰省の意義を「親に会いに行く」と考えるならば、親に会いに行くその行先は、今後ますます首都圏である可能性が高まっていくわけでねえ。
となるとお盆の混雑の傾向として、今後は下り方面だけではなく、上り方面も混雑するのかもね。「東京に帰省する」ようになるわけだから。ある程度、首都圏から地方への混雑が緩和され、地方から首都圏への混雑が見られるようになるのかも。
そうなると、今度は駅のあり方とか、高速道路におけるパーキングエリアの考え方も変わるのかな。混雑の向きが変われば、必要な対策も変わる。今まで必要性が薄かった場所が重要となる反面、逆に必要性が薄まる場所も出てくるはず。

お盆は東京で

当面すぐにはこういう感じにはならなくても、10年、20年というスパンで考えれば、自然とそういう感じになっていくんだろうなあ。東京は行くところではなく帰るところ。親に会いに東京へ。
逆「東京だよおっかさん」というべきか。お盆の風物詩はいつまで続くんでしょうね。