(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

理をもって攻める人には、理を持って攻めよ

理をもって中止すると言っている相手には、理をもって中止するなと主張しないとね。

賛否両論ある話は特に。

民主党の5つの約束
1 ムダづかい
国の総予算207兆円を全面組み替え。
税金のムダづかいと天下りを根絶します。
議員の世襲と企業団体献金は禁止し、衆院定数を80削減します。

http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/txt/manifesto2009.txt

○川辺川ダム、八ツ場ダムは中止。時代に合わない国の大型直轄事業は全面的に見直す。

http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/pdf/manifesto_2009.pdf

八ツ場ダムは民主党マニフェストで打ち出したムダづかい対策のひとつ。
ということは単純な話、ムダでなければ必要であるということ。ムダづかいにならない公共事業は中止にならないわけだ。

前原国交相は(中略)首都圏の水需要の減少などを指摘し、「治水、利水の面で計画策定時と状況が変わった。ダムに頼らない河川管理を追求したい」と理解を求めた。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009092402000091.html

前原国交相もそういう立場で中止しようとしていると。治水、利水の面で八ツ場ダムは不必要になった。だからムダである。ムダだから建設を中止する。こういう論理。
である以上は、こういう反論ってのは効果が薄い。

茂木町長は「住民が先祖伝来の田畑や家屋を手放したのは『流域の治水、利水のため』という大義があったからだ。住民の気持ちをこのままにできない」とし、建設継続を訴えた。

http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009092301000201.html

その「流域の治水、利水のため」という大義がなくなった。つまりダムを建設する目的が失われた。である以上は、この大義をもって建設継続を求めてもしょうがないんです。まして結果的に民主党が支持され、選挙で大勝してしまった現状を考えるとね。
なので、建設継続を求めるならば、別の方法を考えなければならない。

「治水、利水の面で計画策定時と状況が変わった。ダムに頼らない河川管理を追求したい」

この前原国交相の発言を逆手にとるとかね。

  • 治水・利水で状況変わる→ダムに頼らない

これの対偶はこうなる。

  • ダムに頼る→治水・利水で状況変わらず

計画当時と治水・利水で状況が変わってなければ、ダムに頼った河川管理を追及してもいいということになる。治水や利水の効果や必要性がないからダムは不必要でムダだとなり、中止するということになっているわけだから、その中止を撤回させるのは、治水・利水で効果があり、ダムは必要でムダではないという話をした方がいい。民主党も前原国交相も、ムダや治水・利水効果の有無を建設中止の理由に挙げているのだから、その理由を覆すのが最も効果的。
治水・利水効果があって、ムダどころか有益であると証明されれば、さすがに建設を中止しないだろうし。それが論理的な話の帰結というもので。そういう証明がありながら中止を強行しようとすれば、それこそ国の横暴。鳩山政権の暴走という話になってくる。自分が示した中止のルールを破るわけだからね。
住民感情とかの問題はあるし、現に国に翻弄されてきたことは事実だけど、少なくても理をもって中止しようとしている以上、理をもって中止に反対しないと話し合いにならない。少なくても中止するかどうかの判断基準は「ムダ」「治水・利水」と示されているわけで、その流れの主張をする方がいいんじゃないかなあ。
例えば、今後は都市部の人口集中がさらに進む、流域人口がさらに増加することで利水の意義があるとか。あるいは将来的な世界的な水資源の枯渇に備え、今のうちにダム建設を推進すべきであるとか。そういう論点を用意した方が建設中止撤回を求めるにあたり、説得力が出ると思う。少なくても民主党は全国的に選挙で勝利したわけだから、全国の有権者に対してもそういう話をした方が受け入れやすいし。「そういう理由ならダムもいるよね」と。
またそういう話にならないと、民主党政権としてはダム建設中止の旗を下げにくい。ムダづかいの象徴として八ツ場ダムを名指ししたわけだから、ちゃんと建設中止しないと公約違反になる。ただ、「ムダづかい」をやめるのが目的なのだから、ムダでないことがわかれば、建設中止を撤回しなくても公約違反にはならない。目的あっての手段だから、手段が目的達成につながらないのであれば、手段を変えてもいい。ま、じゃなんでその手段を言い出したのよという責任は問われるけど、目的を変えるわけではないから、まだ許される。
そういう都合のいい口実というのかな、そういうのがないとさすがに鳩山内閣も政策を動かしづらいよね。目的があって手段がある。理由あって行動がある。覆すにはどこかをひっくり返さないと。それを住民の方に求めるのは酷なことだけど、ただ反対を言うよりは効果的で先につながると思う。
理をもって攻める人には、理を持って攻めよ。
交渉ごとはロジカルに。ロジカルな相手だからこそ、ロジカルな攻撃には弱いこともあるのだから。

追記(2009/09/24 15:50)

こういう情報に反論した上で、尚且つ新しい論点を用意してメリットを主張できないと苦しいよね。