(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

塩素臭がした方が安全

レジオネラ菌が流行ってますな。発端はアパグループ

分譲型の温泉マンションでいよいよブレイクですよ、奥さん! と思いきや、保養所でも再ブレイク。

……あらあら、あちこち大変なことになってますな。
実は元職でこの関連業だったんですけど、レジオネラ菌に関するホテル業への締め付けって凄かったんですよ。もう保健所が強いのなんの。何かあったらホテル側が営業停止になるもんで、ホテル側もペコペコしなきゃならん。なかなか大変だったのです。
とはいえ、その指導の結果のせいで、一般的なホテル・旅館・保養所ではレジオネラ菌のリスクはほとんどなくなってたはずなのね。旅館業法上の施設はどこも保健所の規定を守るようになったんで。循環式の施設はガッツリ消毒強化キャンペーン導入。次亜塩素酸ナトリウム祭。プールのような臭いがする宿が増えたのはこれが原因ね。風呂もプールも、要は塩素消毒ですから。
あと特徴は屋外の打たせ湯・ジャグジーの撤去。レジオネラ菌というのは気泡内に生息しやすいんですよ。この気泡を「エアロゾル」と言います。で、お風呂の温度って、菌の成長にいい温度なのよね。またレジオネラ菌は自然界に存在する菌。というわけで、屋外のエアロゾルを発生させる風呂、つまり露天風呂なんかの打たせ湯は危険度三冠王ってなわけで、一斉停止、一斉撤去になった次第。「あれ? 打たせ湯なくなったんだ」みたいなとこは保健所の指導の結果なのですよ。
で、アパのマンション分譲のケースは保健所の管轄外。旅館業じゃないから公衆衛生なんちゃらを守る義務はないし、一般のビル・マンションなんかの飲料水タンクと扱いは一緒なので、各自うまくやれよという野放し状態。ま、遂に来たかという感覚ではある。
問題は蓼科山荘の方ね。まだこんな問題起こるんだというのが率直な印象。特にこの部分。

 風呂は循環式で、水質検査は年2回実施。1週間程度で水替えしており、検査当日は入れ替えたばかりだったという。

循環式・水質検査の実施・水替えに問題はないんだけど、水を替えた日に検出されたことが問題。そもそもの水にはレジオネラ菌はないはずなので、浴槽か循環設備のどこかにレジオネラ菌がいたということになる。ということは、何もこの日はじめてレジオネラさんがいらっしゃったわけじゃない。前々からいらっしゃり、この日たまたま検出されたのが正解。で、ほぼ100%設備メンテナンスの問題であり、次亜塩素酸ナトリウム濃度管理の話。ま、凡ミスですよ。
しかし凡ミスとはいえ、何かあったら死活問題になるわけで、面倒臭くてもきちんと取り組んでいたというのが最近の業界事情。「お風呂が塩素くさい」というクレームを甘んじて受けるのは、ある意味で「レジオネラ菌で死ぬよりマシじゃん」という危機管理なのよね。敢えて塩素をぶち込んでいるのです。ミスでやっちょるわけじゃないのよ。
あと、かけ流しだと天然温泉であり、安全という神話があるけど、ありゃ嘘。最近では管理された循環式の方が安全。かけ流しに見える循環式というシステムもあるし。ま、循環式は温泉とは言えないのは事実。源泉を10倍以上に希釈しとるところばかりだしな。東海地区のAとか、北関東のIみたいな有名な温泉地でもそう。あるいは関所とか駅伝で有名なHだって、人工温泉が幅をきかせていたりする。水を温泉地層にぶち込んで、蒸気なんかが混ざった水が温泉になるという。わかりやすく言うと「大涌谷の下」ね。丸わかりじゃんかよ!
ちなみにこういう原理。理解できる?