(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

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料理の足し算発想・かけ算発想

散々「料理はシンプルに」を繰り返し書いているわけですが、それでも尚、複雑すぎて残念な料理に出会うことがありまして。

料理って言うのは単純な計算だと思うわけです。例えばうまい肉をうまい塩で焼けばうまいに決まっているわけです。肉のうまみ+塩のうまみという足し算になるわけで。これが一番シンプルな考え方。

なんだかんだで塩ふって焼くのが一番うまい - (旧姓)タケルンバ卿日記

料理はシンプルでOK。特別な工夫をしなくても十分おいしくなるもんだ。中でも調味料をちゃんと使えば大体うまくなる。

シンプル料理術 - (旧姓)タケルンバ卿日記

いい塩で味をつけて、焼くなり煮るなり炒めれば、大体はうまくなるもんなんですよ。

塩に金かけろ - (旧姓)タケルンバ卿日記

シンプルでいい。いや、シンプルがいい。余計なことはしなくていいんです。

足し算発想で行こう

どういうものをうまいと思います? うまい料理をつくる一番簡単な方法は、うまいと思う要素を足す。自分がうまいと思う条件をひたすら合わせていけば、仕上がりもうまくなりますよ。

塩味

塩味がついたものはうまいですよね。しょっぱいとうまい。逆にしょっぱくないものはうまくない。
ならば塩をかけましょう。適量かけましょう。塩をかけすぎると、しょっぱすぎてうまくないことも知ってますよね。なので加減は慎重に。味見をして、うまいと思う範囲内に塩加減をすればOKです。

加熱

うまいものって大体火が入ってますよね。生のものより、加熱したものが多い。焼く・煮る・揚げる・蒸す。方法は色々ありますが、ともかく食材を加熱している。であれば、あなたもそれと同じ加熱処理をしましょう。
焼き物が好きな人はとりあえず焼きましょう。揚げ物好きはとりあえず揚げる。自分が好きな加熱方法で処理するのです。間違いなくうまいに近づきます。

香り

香りがついてるとうまいですよね。においも大事なうまいの要素。であれば香りもつけましょう。
焼く・揚げるならきっちり焦げ目をつける。少々の焦げは香ばしさになります。但し焦げすぎには注意。塩加減と一緒で、やりすぎはまずくなります。なにせ「焦げ茶」という色があるくらいです。焦げは茶色まで。黒はアウトです。
あるいはスパイスやハーブ、柑橘類、調味料、香味野菜などでも対応できます。シナモンの香りをちょっとつけると、肉なんかはうまくなりますしね。鍋にゆず胡椒、親子丼に三つ葉、唐揚げにレモンとか。
但しこちらも加減は注意。あくまでも香りなので、こういうもので味までつけないほうがよろしいかと。指でひとつまみ、パラリで十分。液体であれば、小さじでほんのちょっと。味付けではなく香り付け。ちょっとでいいです。ほんのちょっとね。

温かいものは温かく、冷たいものは冷たく

アツアツがうまいものはアツアツで食べたいもの。加熱調理するものは、大体においてアツアツがうまいのです。であれば、アツアツを食べられるようにしたほうがいい。
逆に冷たいものは冷たく。サラダとかは冷たいほうがいいし、元々が冷たい料理は、やっぱり冷たく出したほうがいい。
別に特別なことはしなくていいです。何品かを同時に完成させる技、仕上がりタイミングを揃える技術がないなら、食べる直前にレンジでチンしてもいいし、食べる直前まで冷蔵庫に放置で結構。方法よりも、よりうまく食べようという心意気が大事。結構いいとこの店でも、最後はレンチンだったりするし、お客様が来るまで刺身は冷蔵庫待機だったりしますからね。表面がカピカピになるので、霧吹きで水をかけてから出したり。
プロでもそんなもんです。気兼ねなくレンジ・冷蔵庫をご活用ください。
このあたりの足し算発想ができるなら、料理の計算術の第一段階はOK。次はかけ算へ。

かけ算発想で行こう

料理は最終的にかけ算でもあります。複雑に絡まりあった要素をかけ合わせる。その結果、味という答えが出ます。
大きな数字のものをかければ、完成品は足し算のものよりうまくなる。その一方、小数点以下のものをかければ、うまさはどんどん小さくなっていきます。マイナス要素をかければマイナスです。予想以上にうまくなったりまずくなるのは、この料理のかけ算性が理由です。

金をかけよう

ズバリ言って金をかければうまくなります。世知辛い話ですね。
でもこれは事実。高い食材を、高い調理器具で調理し、高い調味料で味をつければうまいのです。残念ながらこれが真実。料理というかけ算のかなり大事な要素です。
ま、この中では調味料、特に塩は比較的安価なので、塩で対応するのがオススメ。食材は青天井なのでね。

時間をかけよう

時間をかければ大体うまくなるんですよ。そういうもんなんです。急いではいかんのです。
肉とか魚なんていうのは、寝かしたほうがうまくなりますしね。タンパク質がアミノ酸に分解されると、うま味成分になる。干物がうまいのはそういう理由。塩かけてほっとくだけでうまくなる。
あるいは煮物なんかもそうですわね。安いスジ肉でも、長い時間こっとりことこと煮ていれば、やがて柔らかくトロトロのうまうまになる。タンシチューなんかもそうですし、角煮もそう。ただ煮る。長時間ほっとく。これで大体うまくなるもんです。かけた時間の分だけうまくなります。

手をかけよう

面倒くさいことも手をかける。そうするとやっぱり違うんです。結果が違う。
例えばモヤシのヒゲとり。あれは面倒くさい。ひと山いくらのモヤシにそこまで時間をかけてられん。ただそれをするからうまいのです。確かに面倒くさい。やりたくない。しかしその分はちゃんと結果に反映されます。地味な作業があとで効いてくる。
肉のスジ切り、下味つけ、魚の霜降り、下茹で、塩もみ、アクとり……。これをやるとやっぱり違う。そしてこの手間賃は無料。面倒くさいが、やればいい。お金をかけない分、手をかけることでカバーできます。安い材料でも時間とか手をかけることで、同じ結果に導ける。

気をかけよう

最後はこうした要素すべてに気をかけられるか。塩加減はどうだ。温度はどうだ。もっと時間をかけたほうがいいんではないか。もっと手をかけたほうがうまくなるんではないか。今まで挙げた要素すべてに気をかければ、当然に最終結果も良くなります。
何せかけ算です。かける数字全部が答えに影響しますのでね。ひとつでも少数が混じっていれば、答えは小さくなる。マイナスがあれば答えもマイナス。たったひとつもおろそかにしない。それがかけ算料理最大のポイント。
特に人に対して料理をつくるときには大事なところ。人の好みに気をかける。人の体調に気をかける。こうした余裕が良い答えにつながりますよ。
料理が苦手な人はまず足し算発想で。うまいと思うことを単純に足していってください。そして次はかけ算。できるだけかけてください。金か時間か手をかける。そして気をかければ必ずうまくなります。皆さんの料理生活に栄光あれ。