(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

怒るのって難しい

怒るって難しい。どうしても相手とか対象があるものなので、その加減とかタイミングとか、また方向性が大事だったりする。「怒り」というある種コントロールできない感情であっても、ある程度コントロールできないと困る。やたらめったら怒るのはおかしい。かといってせっかく怒っているのに、感情をコントロールしすぎて、「それじゃ全然怒ってないよ」というのもマズイ。怒る時は怒らなくてはならない。怒りが必要なタイミングはある。そういうタイミングでは、きちんと怒らないとマズイ。
怒ることで注意をうながしたい時のように、意図的に怒る場合は、如何にマジギレしてるように装うかに神経を使う。本当はそこまで怒っていないが、せっかく怒るならば、怒ることの効果を最大限にしたい。費用対効果を高めたい。怒る方も怒られる方も、お互いに不愉快な思いをするのだから、一発で効果があるものにしたい。となると、実際の怒りエネルギーは少なくても、表面上はフルパワーにしなくてはならない。誰が見てもブチキレているようにしなくてはならない。フルブッチを冷静にやる。「オマエは劇団四季か」「宝塚か」というくらい過剰にやる。本当に切れて、暴走していると思われるくらいで丁度いい。演技でやっていることがばれてはいけない。全力で怒らなくてはいけない。これは結構面倒くさいし、カロリーを使う。ムリヤリ怒りエネルギーを高めるので、その上昇分がどっとくる。疲れる。
逆に本当に切れているときは、如何に冷静な心をキープできるかに気を使う。暴走してるからこそ、どこかにブレーキがないとまずい。オレは意外と短気なので、ほっとけば頭が真っ白になる。暴走する。その暴走をどこで止めるかが難しい。どこかに第三者的視点を持っておかないとマズイ。「これはやりすぎ」「ここまでだ」「これで十分だ」という歯止めがないと、心を落ち着けるタイミングがなくなる。本当に切れているときは、外に怒りの感情を出す必要はない。如何に表に出ないよう、遠くにバイパスして怒りエネルギーを逃がしてやるか。それが焦点になる。
怒るのって、どっちもなかなか難しい。怒る相手がいて、その相手に思いがあれば、尚更難しい。
その一方で、いやらしーい怒りの使い方もある。怒りのかぶせ技というんですかね。「怒っている人がいたら、それを上回るパワーで怒る」裏技。
これはサービス業の現場なんかだと、最後の手段的な技なのですが、何かミスをしてお客様を怒らせたと。カンカンであると。そういう場合に、その店の一番偉い人が、程よい責任者をお客様の前で、お客様の怒りよりも高いボルテージで怒る。すると、お客様が引いて「まあまあまあ」みたいなことになるのですよ。不思議なもので、どんだけお客様は怒っていても、目の前にもっと怒っている人がいると、大概の人は止めに入るものでして。「まあまあまあ」と。それがさっきまで自分が怒っていた相手であってもね。

  • 「てめえは大事なお客様に対してなんちゅうことをしてくれたんだああああああっっ!」
  • 「ボケエエエエッッ!」
  • 「死んでお詫びせえええええっっ! このアホンダラがあああああっ!!!」

みたいな。
それでその罵倒される責任者とともに「すいませんすいません」と謝ると、お客様としては止める心境になってるし、何だか怒りのテンションも下がっちゃってるし、目の前の責任者が罵倒されたことで、なんとなくの満足感を得られているので、結構円満に片付くことがあります。ま、本当に最後の手段ですけどね。奥の手中の奥の手。
ま、これも演技であることがバレると効果がないし、むしろ「三文芝居をやりおって!」とお客様の更なる怒りを買うので、マジギレでやらなくてはなりません。それも責任者がマジで怯え、半泣きするくらいで丁度良い。「ああー、殺されるー」と思わせるくらい罵倒しなくてはなりません。演技だけど、マジでやらないと効果がありませんのでね。
ですんで、これをやるには、その責任者へのアフターケアもさることながら、信頼関係があることが大事です。「すまん。仕事のためだ。わかってくれ」という一言に「わかってます。あの場はあれがいいと自分も思ってました」くらいの関係がないと、この手は使えません。
あくまで最終奥義としてご利用下さい。頻繁にやってもダメだからな。それだと「怖い店長が店員を罵倒する怖い店」になるだけだからな。大事に使うべし。