潮時だったわな。
M-1。
個人的にはいい区切りだと思うし、下手に続けるより、ここでスッキリ終わったほうが、イベントとしての晩節を汚さなくていい。ひどくなったものを見せられるよりは、良い印象のまま終わってくれるほうがありがたい。
いや、別に今回のを見るまでは「来年も見たいなあー。残念だなー」とぼんやり思っていたんだけども、見て考えを変えたというか。「続いて欲しい」から「終わってよかった」に転向したというか。
その理由は、勝ったのが笑い飯だからなのよね。はっきりいって最終決戦でのあれはなあ。「鳥人」の焼き直しって。予選と同じパターンって。いや、おもしろいよ。おもしろいですよ。でもなあ。スリムクラブよりおもしろいか? って言われるとねえ。
少なくても俺はあの最終決戦において、スリムクラブが一番おもしろかった。だからスリムクラブがチャンピオンになって欲しかったし、そうならなかったことが意外。テレビから伝わる反応も、スリムクラブのが一番だったような気がしますしね。俺と会場の総意はあんまりずれていないように思うんだ。
それに「笑い飯が一番おもしろかった!」という積極的な声があんまりないような気がするし。笑い飯がスリムクラブよりチャンピオンにふさわしい理由にあげられているものって、笑い飯にとってのポジティブ要因ではなくて、スリムクラブのネガティブ要因ばかりな気がするのね。
「あれは漫才なのか?」
それの一番いい例がこれなんだけどさ。笑い飯のは漫才で、スリムクラブのは漫才ではないと。だから笑い飯がチャンピオンにふさわしいとかなんとか。
でもさー、こんなこと言っちゃうとさ、おもしろいものもおもしろくねえよな。「漫才とは何か」という定義話かよって話で。そんなの誰が決めたんだよと。エンタツ・アチャコが決めたわけでもなかろうに。ダイマル・ラケットが何か言い残したのかい? おもしろけりゃいいじゃん、おもしろけりゃ。お笑いってそういう単純なものだと思うんだけどな。「笑」って感情なんだから。
「M-1向きじゃない」
こうなるともっと狭い。「M-1」なるものを勝手に定義して、その中で行われるものはこういうものが望ましく、スリムクラブはそうではないと。
いわゆる「早口」とか「手数」とかの話がこちらなんだろうけど、そういうのっておもしろかったものの検証に使われるためのデータなのよね。ボケをふんだんに盛りこんでも、ダメなものはダメなわけだし。「おもしろい漫才は、結果的に笑いどころも多かった」っていうだけのこと。
それにさ、あれだけ無口なスリムクラブが、今回メチャクチャおもしろかったわけだからさ、別に手数が少なきゃダメってわけじゃないと反証されたわけだし。