毎日放送「ちちんぷいぷい」からはじまった3,500円カツカレー騒動。
- ちちんぷいぷい 月曜〜金曜13:55〜17:50 | MBS公式
- ちちんぷいぷい (テレビ番組) - Wikipedia
- MBS「ちちんぷいぷい」は3500円のカツカレーをもって安倍氏を「庶民感覚がない」と批判したのか? - Togetter
TwitterやらFacebookやら、後追いの報道やら、個々人・企業のあれそれなどなど、各方面に波及。元々は火も煙もない話だったのが、どういうわけか巻き添えであちこちの木造家屋が延焼し、結果的に後から本当になるという「嘘から出た真」になったりしていて非常に興味深く、細かな部分を追うと「やれやれだぜ」という感が否めないので、全般的にまとめておこうかなあと。
きっかけ
そもそものはじまりは、「ちちんぷいぷい」9月26日の放送。
自民党総裁選に触れた際、安倍陣営の出陣式でカツカレーが出たという四方山話になった。その際に、そのカツカレーの値段の話になった。
その部分のやり取りを文字起こししたのがこちら。
山中アナウンサー●「投票の前に各陣営、お昼ごはんを食べながら、出陣式をしていたんですが、その時の様子はやっぱり安倍陣営が実は一番勢いがありました。安倍陣営に集まった(議員の)数が50人くらいいましたし、またそこでは「候補者は、暗いより、このご時世明るいほうが良いんだ」と、暗に演説の時にあんまり明るくない石破陣営を責めるような、皮肉るようなことも言って、笑いが起きるというようなことになっていまして、勢いは一番安倍陣営がありましたね。」
山中アナウンサー●「カツカレーを高級ホテルで食べておりまして、ちょっと写真を撮らせてもらったんですが」
(安倍総裁が麻生元首相の隣でカツカレーを食べている画像が映し出される)
山中アナウンサー●「値段がいくらくらいすると思いますか?」
スタジオ○「え?」「カツカレー?」「カツカレー高いでしょ」「ええとこやし」「1,500円くらいかな」「2,000円とか」「2,500円」「3,000円ぐらいとか」
(カツカレーの画像が映し出される)
山中アナウンサー●「皆さん庶民ですねえ」
スタジオ○「え!?」
山中アナウンサー●「3,500円以上するそうです」
スタジオ○「え?」「はい?」「3,500円?」
(沈黙)
スタジオ○「いくら?」
山中アナウンサー●「3,500円が普通のカレーだそうで、カツを乗っけると特別オーダーで、もっと高くなるっていう。ただ、値段は今日は隠しているんですっていう風にボーイさんが言っていましたね」
スタジオ○「誰が払うのや」「ほんまや」「こんな情報伝えてる番組は他にあんまないでしょうな」「うまそうやな、しかし」「おいしそうやね」「食べたいなあ」
読んでみてもらえばわかるし、元々の映像を見ていただければよりわかるけども(自分で探すと吉)、関西の情報番組特有の「気になったから、調べてみました」というだけのこと。拡散の過程で、3,500円という価格がいかにも批判されていたようになっているけども、オリジナルの映像を見る限りそんなことはない。
「3,500円です」「へー」
というやりとりの範疇。それが良いか悪いかの価値判断は含まれておらず、批判的な要素は帯びていない。
ちなみに安倍さんが昼に食べたホテルニューオータニの高級カツカレー、特別メニューでお値段3500円以上するとか! http://p.twipple.jp/z4q9W
山中真 on Twitter: "ちなみに安倍さんが昼に食べたホテルニューオータニの高級カツカレー、特別メニューでお値段3500円以上するとか! http://t.co/RRyKnJ7M"
山中アナウンサーのTwitterでも、「高い!」という驚きは前提にしていることはうかがえるが、高いからといって、それが良いとか悪いとかの話にはなっていない。
カレーについて誤解もあるようなのであえて。僕は一言も批判してません。何人かの言う通り、立場ある人、しかも験担ぎの時なので、というのも一理あるでしょう。僕はただ、カツカレーという庶民的メニューも高級ホテルで食べるとそんな値段になるんだ、ということに驚いただけです(^^;;
山中真 on Twitter: "カレーについて誤解もあるようなのであえて。僕は一言も批判してません。何人かの言う通り、立場ある人、しかも験担ぎの時なので、というのも一理あるでしょう。僕はただ、カツカレーという庶民的メニューも高級ホテルで食べるとそんな値段になるんだ、ということに驚いただけです(^^;;"
それは、後日あらためてのこちらのツイートでも伺える。
伝言ゲームでおかしな方向へ
「ちちんぷいぷい」の時点では含まれていなかった価値判断や批判性が、何故か2ちゃんねるあたりでは帯びてくる。
- MBS「安倍の今日のお昼は3500円のカツカレー!庶民感覚がない!」 なお鳩山の連日豪華ディナーはスルー
- MBS「安倍の今日のお昼は3500円のカツカレー!庶民感覚がない!」 なお鳩山の連日豪華ディナーはスルー
- 新総裁が昼食に3500円のカツカレーを食べると叩かれる国、日本
オリジナルにない「庶民感覚がない!」という文句はこのあたりから。流れを追えば、「庶民感覚がない」は「ちちんぷいぷい」が行った批判ではなく、2ちゃんねるでの批判文句であることがわかる。
2ちゃんねるでこうなると、それをまとめるサイトでも当然おかしな方向へ。
- 痛いニュース(ノ∀`) : MBS「安倍の今日のお昼は3500円のカツカレー!庶民感覚がない!」 なお鳩山の連日豪華ディナーはスルー - ライブドアブログ
- 新総裁が昼食に3500円のカツカレーを食べると叩かれる国、日本 - VIPPER速報 | 2ちゃんねるまとめブログ
- http://blog.livedoor.jp/newskorea/archives/1722547.html
- http://alfalfalfa.com/archives/5944439.html
- http://www.tokuteishimasuta.com/archives/6634278.html
- http://www.news30over.com/archives/6634143.html
スレのタイトルからして「庶民感覚がない」というオリジナルにない言葉を用いている以上、それをまとめる記事のタイトルも同じ言葉が並び、むしろそれを強調することで、より釣り機能を強化。
かくして、いつしか毎日放送はカツカレーの値段をもって安倍叩きを行ったことにされ、それを前提にしたマスコミ批判が行われることになった。伝言ゲームの完成である。
延焼その1 日刊スポーツ
2ちゃんねるでもまとめサイトでも、「庶民感覚がないを批判文句に、安倍を早速いじめるマスコミどうなのよ」であり、安倍擁護・マスコミ批判というのが基本姿勢のように見受けられるのだけども、その状態に颯爽と現れたのが日刊スポーツ。
安倍新総裁、高級カツカレーにネット非難
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20120928-1024232.html
26日の自民党総裁選直前、都内のホテルで決起集会を行った安倍晋三総裁(58)が、昼食に高級カツカレーを食べていたと一部の情報番組で報道され27日までに、インターネット上で“カツカレー騒動”が勃発している。ツイッターなどでは「(値段が)高すぎる」「既に庶民感覚を失っている」などと安倍氏への非難が出ている。
「安倍氏への非難が出ている」と断定。えええええええええ。
もちろんネットで「(値段が)高すぎる」「既に庶民感覚を失っている」と非難した人はいるだろうけども、それ以上にこれを安倍非難につなげるマスコミの姿勢が批判されているのであって(元々こうした姿勢自体がなかったんだけどな)、いきなり「悪いのは安倍(キリッ」とまとめた日刊スポーツの豪腕さが光る。
DINNER|朝日新聞社店
その結果、日刊スポーツの親会社である朝日新聞社屋内のレストランに、3,500円のカツカレーより高いカレーがあることが判明。「『安倍氏への非難が出ている』という間違った報道に対する非難が出ている」という非難出ている二重構造が確立。親会社の朝日新聞まで巻き添えを食らう。
極上、黒毛和牛のスペシャルカレー&ライス 5,040円
LUNCH|パレスサイド店
ちなみに毎日新聞では5,000円超え。
特別料理コース 6,300円
LUNCH|本店
オードヴル
ビーフカツカレー 又は ハッシュドビーフオムライス
プチサラダ
アイスクリーム
コーヒー又は紅茶
大阪朝日新聞ともなりますと、コースで6,300円であります。凄いな。
このあたりの結論としては、「なんで朝日も毎日もレストランアラスカなんだ」「レストランアラスカのカレーは高い」あたりでありましょうか。違うな。
延焼その2 みのもんた
不用意な発言でいろいろ賑わしてくれるみのもんた氏でありますが、今回もありがとうございます。9月28日の「朝ズバッ」にて「カツカレー食べてるとこじゃないと思うんですけどねぇ」と発言。
続いて、アカデミー賞の必勝祈願として、ボイル監督のために日本のカツカレーを用意。みのさんは「これを食べれば、間違いなくアカデミー賞、取れます!」と3回断言(しかも3回目はかなり大きな声で言ってました)。ボイル監督は、フォトセッションそっちのけで、本気でうまそうに頬張っていました。ちなみにこのカレーは、「朝ズバッ!」によるとみのさんいわく「3万円もする特注のカツカレー」とのことで。さあ効果はいかに?
『スラムドッグ$ミリオネア』オスカー候補ダニー・ボイル監督うきうき会見 (シネマガブログ)
日本全国の戦士たちからなるブーメラン捜索隊により、早くも投げ放たれたブーメランが特定。
「自分はいいのかよ」
見事であり、なんとも。……3万か、凄いな。
日刊スポーツ、みのもんた氏の他にも、潰瘍性大腸炎をめぐる揶揄とか、失言とか、それにまつわるあれこれとかでワオ!
と、このあたりが大まかな流れ。ま、ザッとしたところで。
政界カレーライスの父・池田勇人
今回の騒動まとめはこれまでとして、ここからは「じゃ、なんで安倍陣営はカツカレー食べたのよ」という話を。カレーに絡む四方山話をば。
まず話の大前提として、政界、とりわけ自民党においてカレーライスは昼食の定番であるということ。定番中の定番。派閥の勉強会などがある木曜日には、どこの派閥もカレーライスをみんなで食べる。
何故そうなったかという理由には諸説あるけども、基本的にはスプーン一本で食べれるその手軽さと、食事にかかる時間が少ないこと。お弁当よりもサッと食べれる。
みのもんたは「カツカレー食べてるとこじゃないと思うんですけどねぇ」と批判したけども、「カレーくらいしか食べるヒマがない」が現実。せめてもの縁起担ぎでカツを乗せてカツカレーにしているという涙ぐましい話がその真相。
で、そのきっかけ作りに寄与したのが、故池田勇人首相。かなりのカレーライス好き。誰かと会食となるとカレーライス。
社会党の浅沼委員長と江田書記長は二十七日午前、首相官邸で池田首相と会い、八月十日までに臨時国会を開いて国会を解散するように申し入れたが、この申し入れに対して池田首相は「ご趣旨は了承しますが検討させて下さい。それより時々ライスカレーでも食べながら話し合おうじゃありませんか」と答えたそうだ。ところで、この「ライスカレー懇談」という話はさきに自民党総裁就任直後の三党首会談の際にも、池田総裁から切り出しているので、浅沼氏としてはこの日二度目の招待を受けたわけ。まだ最初の招待の約束も果たしていないのに、首相が再び話を持ち出したのにはびっくりした。大平官房長官、横合いから「あまりライスカレーの話はしないで下さい」とあわてて首相に忠告したが、これを聞いた社会党の面々「首相がメシの話をすると、例の麦飯失言(※「貧乏人は麦を食え」のこと)を思い出させることになるので、大平長官が途中で首相の発言をとめたのだろう」と皮肉っていた。
(「朝日新聞」1960-07-28 2面より)
党内融和に心を痛めている池田首相が考え出した「党員と接する機会をつくるため総裁公邸をつくる」という“思いつき”は三日の幹部会で「その必要なし」とあっさり否決され、四日朝小泉副幹事長が、この旨首相に報告したところ、首相から「火、金の閣議のあと党本部につめ、カレーでも食べながら党員とヒザつきあわせて話し合いたい」と提案があった。さきに三党首会談でも「カレー懇談」を持ち出した首相が、またこれを党内にも持ち出したわけだが、小泉副幹事長は「首相はほんとにカレーが好きなのかしら。それとも党内を甘く見ないということか」と首をかしげていた。
(「読売新聞」1960-08-05 2面より)
なお、この会合のカレーは永田町にあったホテルニュージャパンから運ばせたそうで(※現在プルデンシャルタワーがある場所にあった。国会から近い)、好評だったらしい*1。少なくとも自民党においてホテルのカレーは50年来の歴史があるってわけです。
そして1年後にもなると、池田首相のカレー好きは相当認知されたらしく、1961年にアメリカのディーン・ラスク国務長官を招いた昼食の件ではこのように報じられている。
昼食は畳の上で首相得意のチキンカレーという献立
(「読売新聞」1961-11-03 2面より)
「得意」って。
ちなみにこの昼食の際、池田首相に随行していたのが故宮澤喜一氏。先の大平氏もそうだけども、池田派からはじまる宏池会の領袖をつとめる人物であり、後の首相なわけで。
恩師しのびカレーライス
首相官邸の新しい主となった大平首相は、八日、食堂で昼食をとったが、これがなんとカレーライス。カレーライスといえば、師である故池田勇人首相の好物で、よく相伴したことのある首相。「池田さんをしのんで食べたが、あの時よりずっとうまくなっている」と感無量の様子。
(「読売新聞」1978-12-09 2面より)
宮沢首相は、自民党内若手議員と意思疎通を図るため、十日から五回に分けて、衆院当選一ー三回生議員と昼食をともにしながらの懇談会を開くことになった。首相の政界の恩師である故池田首相が庶民性をアピールするため、自民党内実力者とカレーライスを食べながら意見交換したのにならったもので、宮沢内閣としては初の試み。
(「読売新聞」1992-04-08 2面より)
……そりゃどうしたってカレーは受け継がれますわな。2つ目のエピソードにしたって、登場する「小泉副幹事長」って故小泉純也氏のことだし。小泉純一郎元首相の父上ね。
野党とカレー
自民党以外の政党はどうしていたか。もちろん食べておりました。食べておりましたが、そこは野党のきついところ。予算の関係というものがありまして、ええ。
社会党は、この日の中執委で社公中軸に踏み切る最終方針を決めたが、この新路線の熱心な推進役の一人だった上田局長は終始ごきげん。会見では、いきなり「ご期待の銀河鉄道は、いよいよ脱線することもなく発車することになりました。ご同慶の至りで、おめでとうございます」。続けて「コーヒーが出るのさえ珍しいのに、カレーまで出たんですよ」
(「読売新聞」1980-01-11 2面より)
見出しの「カレーライスで前祝い」といい、なんだか「やったねパパ!明日はホームランだ!」と言いたくなる。
野党になった自民党ですら、カレーの出ない時期があったわけで。
自民党事務局が内々に調査したところ、所属議員の事務所スタッフは平均3割減ったという。党本部での幹部の会合でも、定番だったカレーライスやサンドイッチは出なくなった。党職員の給料は25%カット。一時はリストラ案まで飛び出した。
(『スカンピン自民党が辿る「旧社会党への道」』「週刊ポスト」2011-09-30号より)
野党になるってカレーが出なくなることなんだ。
あと変わったところでは、土井たか子氏がテレビでカレーを作っていたり。1990年の1月8日に日本テレビ系の「ごちそうさま」に出演。
日本テレビ系「ごちそうさま」(月−金後0:55)は、二十周年を記念、来年一月八日からの一週間をスペシャル・ウイークとして豪華ゲストで放送する。
初日の八日は土井たか子・社会党委員長が、忙しい合間に作って冷凍しておくという“おたかさんカレー”を披露する。
(「読売新聞」1989-12-22 夕刊9面より)
なんというマドンナ旋風。
他の政党も似たような感じ。
Q.ではどんな食生活ですか?
http://www.edano.gr.jp/archive/accele/accele10.html
A.朝はほとんど毎日国会内売店のサンドイッチです。昼は時間が取れないことが多く、院内の食堂で一番早いカレーライスを食べることか多いですね。夜は、党本部で会議をしながら出前のチャーハン等を食べるか、夕食を取りながら情報交換というパターンです。国会周辺で落ち着いて話が出来、しかも私でも払える安い値段の食事となると、どうしても店が限定されてしまいます。いずれにしろ、あまり褒められた食生活ではないので、カロリーが変に偏って、太りすぎを心配しています。
枝野幸男氏もさきがけ時代から昼はカレー。「昼は時間が取れないことが多く、院内の食堂で一番早いカレーライスを食べることか多いですね」というカレーのメリットが語られております。
民主党も与党になってからは自民党化が進んでいるようで。
民主党内の各グループで組織固めを図る動きが強まっている。9月の代表選で「数の力」が首相の座に直結する現実を目の当たりにし、野党時代のような緩やかな結束では不十分との認識が広がっているようだ。
民主党では従来、野田財務相グループが自民党の派閥同様に木曜日の昼に定例会合を開いていたが、今月に入って前原外相、鳩山前首相の両グループが不定期で開いていた会合を木曜昼に定例化した。今月本格始動した樽床伸二衆院国家基本政策委員長のグループも木曜昼に会合を開いている。
前原グループが21日昼、参院議員会館で開いた会合では、約40人がカレーを食べながら、自民党の派閥も行なっている幹事長室や国会対策委員会の報告などを行った。
(「読売新聞」2010-10-22 4面より)
行き着く先は同じなのだなあ、と。
一方、最後の晩餐に使われることも。新進党の最後の晩餐。
新進の実験は失敗 最後の晩餐カレー 首相「論評は失礼」
15:00 党本部での五役会議を終えた中野寛成国会対策委員長。「(五役会議は)みんなでカレーを食べて最後の晩餐を。華麗なる晩餐をカレーで」と記者団に。
(「読売新聞」1997-12-28 5面)
シャレてる場合か。
験担ぎとしてのカツカレー
「カツ」は「勝」に通じ、縁起が良いことで勝負前によく食べられたりしますし、競馬場とか競艇場なんかのギャンブル場フードとして人気があります。
政治の世界でも、選挙という日常的な戦いごとがあるため、とかく縁起担ぎをしますし、そういうのを大事にします。
有名なところではこちらのお酒。當選。そりゃ当選したいわけですからね。
同じようにカツカレーもそういう勝負フードとして使われてます。
こちらは1991年の福岡県知事選。
現職の奥田八二は北九州市内を駆け回り、「早いもんだね。もう終盤の感じ」「(共闘関係の変化で)気遣いがあるだろうって? いやボクはどうでもないけど、周囲が気を使っててねぇ」。夕食にカツカレーをパクついて意気軒昂。
(「読売新聞」1991-03-29 西部版26面より)
北でも。2011年北海道知事選。
高橋氏(※高橋はるみ氏のこと)は午前中、道庁から近くの選対事務所に移動して結団式。続いて北海道神宮で必勝祈願し、昼は験担ぎのカツカレーを遊説隊のスタッフとともに食べた。
(「読売新聞」2011-03-24 道社B28面より)
南北関係なくカツカレー。
12時30分、赤坂プリンスホテルでの「候補者送り出し式」に出席。ここでは、カツカレーの昼食。
http://www.kenshirou.com/diary/diary.cgi?mode=show_diary&date=070925
あんまり縁起とか担がなそうな福田元首相もカツカレー。
もちろん今回の総裁選だって、カツカレー。
ところで、「カツ」効果に期待したのは安倍氏だけではない。
実は、決戦で安倍氏に敗れた石破茂氏も最終日に同じホテルでカツカレーを食べていた。町村信孝氏も自民党本部の食堂のカツカレーで、事務所は「『華麗に勝つ』という意味です」。石原伸晃氏も出陣式でカツカレー。林芳正氏だけは同じ「カツ」でもカツ丼を最終日に食べた。
(「朝日新聞」2012-09-29 3面より)
みんな食べてる。
事務局です。
昼食はカツカレーでした。: 石破茂(いしばしげる)ブログ
本日の昼食はゲンを担いでカツカレーを頂きました。
自民党総裁選。石破茂候補必勝決起大会。候補者挨拶。食事はカツカレー。 pic.twitter.com/p4VmNey5
平将明 on Twitter: "自民党総裁選。石破茂候補必勝決起大会。候補者挨拶。食事はカツカレー。 http://t.co/p4VmNey5"
ゲルちゃんは2回食べてるけどな。
林芳正選対会議での昼食は、げんをかついでカツ丼。選挙期間の12日間の炭水化物抜きダイエットを宣言したのでご飯は残す。いきなり試練です。
平井卓也(ひらいたくや) on Twitter: "林芳正選対会議での昼食は、げんをかついでカツ丼。選挙期間の12日間の炭水化物抜きダイエットを宣言したのでご飯は残す。いきなり試練です。 #総裁選 #林"
【投票前のかつ丼】党本部で1時から総裁選投票。直前に林芳正選対の結団式。どの陣営も、昼食は勝つ丼が一般的。
猪口邦子 Kuniko INOGUCHI on Twitter: "【投票前のかつ丼】党本部で1時から総裁選投票。直前に林芳正選対の結団式。どの陣営も、昼食は勝つ丼が一般的。地方票の集計結果が刻一刻入ってくる。新人が勝つことはないとしても、この選挙戦で、全国行脚する新しい自民党の政策カリスマが誕生した。さわやかな総裁選であった。猪口邦子"
なお、林芳正陣営もカツ丼2回の模様。但しダイエット中のため、ご飯は食べず。
参院自民で一大ブームとなっているのは「糖質制限ダイエット」。食事の量は変えず、甘いものや、糖質が多く含まれる炭水化物などを控える方式だ。
http://www.wa-dan.com/article/2012/07/post-890.php
自他ともに認める「成功例」は林芳正政調会長代理(51)。防衛相や経済財政相を歴任した政策通で、なんと13キロもやせた。
昨年7月ごろに始め、月に1〜2キロくらいのペースで落ちました。白米や甘いもの、ビールを一切絶つわけではなく、時々は食べてもいい。量を制限するわけでもないので、ストレスなくやせられました」(林氏)
安倍晋三とカレー
さて、見事総裁となった安倍晋三氏。験担ぎでカツカレーを食べたせいかどうかはわかりませんが、一応縁を探すと、実は父上の故安倍晋太郎氏がカレー好きだったようで。1987年の総裁選に出馬したおり、「好みの食生活と大好物」についてこう書かれております。
和食。カレーライス、焼き魚、ぶり大根
(「読売新聞」1987-10-08 夕刊2面より)
「和食」と言っておきながら、いきなりのカレーライス。そしてそのネタ振りを忘れたかのような、焼き魚、ぶり大根という波状攻撃。そこはカレーをオチにしないと。三段落ちだろ。
で、その息子である晋三氏。今でこそカツカレーを食べることができるようになっているわけですが、首相在任時には持病の潰瘍性大腸炎の影響もあって、カレーも食べれなかったそうな。
安倍首相は8月19日〜25日にインドネシア、インド、マレーシアを訪問したが、3か国歴訪で「ひどい食あたり」(周辺)になった。
安倍はもともと胃腸が弱く、以前からカレーなど香辛料の多いものは避けていたが、訪問中は和食に切り替えた。帰国後もおかゆ中心の食事が続き、体重は落ちる一方だった。毎夜のように首相公邸で医者の診察を受け、時には点滴を打った。
(「読売新聞」2007-09-13 3面より)
まあよく回復したもんだ。是非治し方を教えて欲しい。多分それが今んところ最も国益にかなう。
あのカツカレーは何故3,500円もするのか
さて、最後は私の専門である飲食視点のお話。
ネットではSATSUKIのカツカレーだと思ってた方が多いみたいね。
しかしながら、実際は違ったようで。
話題の高級カレーはどんな味なのか。
同ホテル(※ホテルニューオータニのこと)によると、決起集会で供した宴会用のカレーは、ホテル内のレストランで出している品とは調理場もシェフも異なるメニューという。料金は、「宴会の時期や人数、予算により異なり、宴会場と込みの値段で提示している」(広報担当者)。カツカレー1人前の値段も「お答えしかねます」とのことだった。
(「朝日新聞」2012-09-29 3面より)
レストラン部門ではなく、バンケット部門が調理したということなのかな。わかりやすくいうと、結婚式とか、パーティーとかの宴会担当部門。
なので、一人あたりの予算という概念はあるけども、「このカレーは一人前いくら」というものはないと。何故なら場所貸しも込みだからと。便宜上総予算を人数で割れば、なんとなーく一人あたりの値段が出るし、カレーのお値段もわかるけど、そこは結婚式の料理と同じ話でありまして、ええ。そんなの、主催者だけが知っていればいい話。
「ちちんぷいぷい」で「3,500円が普通のカレーだそうで、カツを乗っけると特別オーダーで、もっと高くなるっていう。ただ、値段は今日は隠しているんですっていう風にボーイさんが言っていましたね」と言ってたのも、スタッフは当然カレーがいくらくらいか知ってはいるが、部屋代込みの値段になるため、正確な金額は教えられないよと。そういうことと思われ。
それに、あの格のホテルとなると、部屋を借りるというだけでも結構な額になる。国会のある永田町から近く、ある程度の人数が入れ、マスコミのシャットアウトなどの対応にも慣れていて、それでいて相応の格があり……という条件を満たす場所ってそんなにないもので。
で、またあそこはカレーで3,500円とれるから、あの格なんだよなってのもあるわけで。値付けによって客層が決まる部分ってありましてな。
従いまして、3,500円ってお値段は高いが、高いからこそ、あそこを出陣式に使えるという。もっと安い会場、安い食事を用意できるんだろうけど、それだとあれやこれやに問題があり。
そういうあれこれを考えると、高いけど、リーズナブルって考え方もできるかなあと。高いからいいんだよ。安けりゃいいってもんでもないし、安さという価値観より大事なものがあの値段にあるということなんだな。
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ということで、大作になりましたが今回のカツカレーの一件はこんなもので。
*1:「読売新聞」1960-08-10 2面