(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

Perfume好きをカミングアウトしてみる

ニコ動での「幾三マッスアップ祭り」での副産物がある。

オレ、Perfume好きだわ。

今更気付いた。本筋とは関係ないところで気付いた。
正確にはPerfumeの音楽が好き。Perfumeの音楽を受け入れて、心地よいと思っている自分の存在に気が付いた。いいじゃん、Perfume
Perfumeがいい」って話は随分前から聞いてたんだよね。やっぱりそこそこ話題になってたし。ただ、そんなにいいとは思わなかった。腰すえて聞かなかったせいもあって。ハッキリ言って歌うまくないし、ボイス加工も好みじゃない。上辺だけで判断すれば、これまでのオレの好みに合わない音楽性だったので、スルーしてた。
ところがマッスアップブームのおかげでよくよく聞いてみると、トータルなバランスがオレ好みだった。ひとつひとつの音は機械的で(そらテクノだからなあ)、平坦で、目立つものはないんだけど、それが重なることで複雑になって奥行きが出る。無個性のものを重ねることで出る個性というのかな。個性や特徴がないことで織り成す味。
そう考えると、歌がうまくないというのは、かえってOK。歌に特徴がないからこそ、Perfumeとしてのトータルバランスが良くなる。aiko吉田美和宇多田ヒカルのように、わざと音をはずしたり、ビブラートを効かせたりするタイプじゃ困る。歌い手に味があると迷惑なのだ。ボーカルも曲の音のなかの一部であって、それは無個性であるべき。
ボイス加工はそのための作業。歌声を他の音と同じく扱う。単なる音にするという音の均質化が必要だったわけだ。楽曲でのメインであるはずの歌を、曲を構成する単なる音にする。あえて個性をなくし、機械的にすることで、曲としての個性を際立たせる。
そういうひとつひとつの狙いが、何回か聞いていることで耳に馴染み、心地よさになった。「……あ、オレ、これ好きかも」みたいな感覚。わかりやすい良さじゃないんだけどね。例えるなら化学調味料の入ってないラーメンというのかな。わかりやすいガツンとくる旨みはないんだけど、じんわり旨みがわかってくる感じ。
なので、Perfumeに関しては「歌がヘタ」というのは意味のない批判なのかも。歌がうまい・ヘタの価値観で構成されている音楽性じゃない。歌は音なので、うまくなくてもいい。無個性であることの方がはるかに重要。特徴があると困るのだ。うますぎたり、ヘタすぎたりして、曲に余計な味を足さなければそれで良し。目立つ要素ないことが個性。
そういう意味で言うと、数ある女性ユニットの中で、最も卒業・メンバー交代に向いているユニットなのかも。純正Perfumeファンには申し訳ないけども、Perfumeの音楽は無個性である誰かの声であれば成立する。特定の誰かの歌が必要な曲じゃないのだ。そういう意味で強い。プロットが出来上がっている気がする。なんだかんだで個人の魅力に依存せざるを得ないハロプロ勢とは一線を画してますねえ。
障害があるとすると、やっぱり偏見とかイメージなのかな。オレは自分で偏見なく音楽に接しているつもりだったけど、Perfumeに対して偏見を持っていたことは否定できんもの。今、いいなあと思うようになって、前は偏見持ってたなあと気付いたくらいで。偏見を持っているときは、それが偏見であると気付かない。

  • 「ケッ、アイドルぶりやがって」
  • 「歌ヘタなんだよ」
  • 「何がテクノだ」
  • 「ボイス加工しやがって」
  • 「好きなの、オタクだけだろ?」

こういう偏見を除去して、如何にみんなに聞いてもらうか。偏見フィルターを取り除いてもらうか。良さに気付いてもらうか。ここにかかっている。
オレの場合、今回のマッスアップ祭りは、偏見をショートカットして聞くいい機会だったなあと。大げさに言えば、Perfumeの良さに気付かないまま死んでいく可能性もあったわけでねえ。偶然の出会いの不思議と言いますかねえ。
また他の音楽に関しても同様。偏見が阻んでいるものって意外に大きい気がする。今回、オレはオサーンとしてPerfumeの良さに気付いたけど、逆に若手が吉幾三の良さに気付いたかも知れない。オレがPerfumeの曲を聞きだしたと同様に、「雪国」とか「酒よ」とかを聞き出しているかも知れない。そういう再評価のいい機会に今回のマッスアップ祭りはなった気がするなあ。
そしてここに音楽界へのヒントがある。ヒットにするには、まず聞いてもらうこと。聞いてもらわないと評価されようがない。売れようがない。マスコミの露出もそうだし、店頭やネットでの試聴もそうだし、ニコ動やYouTubeでの対応もそうなのかも。削除祭りにするより、利用するほうが得策だし、利用してもらうことで果実を得るほうがいい。
実際、Perfumeの「GAME」も売れてる由。こういうアプローチを本気で考えてみるべきかなあと。なんだかんだでみんな偏見あるからねえ。偏見を少しでも取り除くために、もっと色々な方法を模索すべきですよ。
以上、未だにメンバーの名前がよくわかってない、にわかPerfume好きのカミングアウトでした。