最近のエコとか環境を巡る話で、どうにも腑に落ちない話がある。それは石油を消費するのは環境に悪いので、代わりに電気を使いましょうという流れ。ガソリン車から電気自動車がその典型。
……それって本当に環境にいいの?
細かいことは文系なのでよくわからん。ただ、単純な話として、どうも腑に落ちない話なのだ。石油もガソリンも同じエネルギー。である以上は、石油より電気の方がクリーンという論理には、この矛盾が発生する。
エネルギー保存の法則に反しない?
同じ1km動くためのエネルギーであれば、石油の方が電気より効率的なエネルギーのはずなんだがねえ。
電気は三次生産品
ここで基本的にエネルギーの流れを整理すると、ほとんどのエネルギーは化石燃料からつくられる。基本は原油。これを一次生産品とする。そしてその原油を精製してつくられるのがガソリンや軽油や重油。これらが二次生産品。じゃ電気はというと、重油を使った火力発電の場合、原油から精製した重油を燃やして発電するわけだから、事実上の三次生産品にあたる。
まとめるとこう。
こういう構図のはず。
であるならば、実は最もエネルギー効率がいいのは原油。何故かと言うと、原油から精製する過程において、必ずロスや歩留まりが出るから。これをゼロに近づけることは技術革新によってできるけど、ゼロにはできない。
また、エネルギー保存の法則によって、1tの原油を精製した場合、それによって生み出されたエネルギーが、元々の原油1tのエネルギーを上回ることはない。
原油1tのエネルギー = 精製されたエネルギー + ロス
こういう形になる。
また電気として発電した場合、送電する際のロスが発生する。送電ロスは高圧で送ることで減らせるが、これまたゼロにはできない。
つまり、間に問屋とか商社を挟めば挟むほど、商品の値段は上がるように、エネルギーだって手をかければかけるほど、ロスが増え、歩留まりが増え、効率が悪くなるはず。
ということは、こと重油を利用した火力発電に関しては効率が悪いということになる。わざわざ余計な手間とコストをかけて、エネルギーをロスしていることになる。これって効率が悪いのでは? と思うに至ったわけですな。
となると、火力発電が主となっている日本の現状では、電気自動車はエコとは言えない。本当にエコにするためには、こういう車の方がよろしいのでは。
走る精製プラント
原油を精製する過程でロスが出る以上、最も原油のエネルギーを効率的に使うのは、原油を原油として使う。ダイレクトに燃料として使うことなわけですよ。であれば、原油の二次生産物であるガソリンとか軽油を燃料にして走る車という発想をやめて、精製前の、掘りたての原油で走ってしまう車を考えたほうが効率的だと思うわけです。手間もかからんしな。
もっと理想を言えば、原油を燃焼する過程で出るものを貯められるシステムが車に付くといいわけです。例えばナフサとかね。燃焼にともなう副産物をも同時につくるプラント機構を備えたエンジン。
こうなると走りながら原油を精製できるので一石二鳥。エネルギー効率はいいし、ナフサなんかも生産できる。ガソリンスタンドで、できた精製物を売れるシステムがあるといいですな。ガソリンスタンドは原油を買うだけじゃなくて、精製物を売る場所になる。
石油会社が電力会社に
こういう方向性もあっていいんだと思いますよ。原油から精製したものを原料に電気をつくるんじゃなくて、原油からいきなり電気をつくる。電気を二次生産品にすることで、ロスが出る手順をちょっと減らす。
その母体になるのは電力会社より石油会社の方がいいでしょうな。原油を精製して何かをつくるって発想から、原油を使って発電して、ついでに何かを得るという発想の転換。ちょっとしたショートカットの発想。できるかどうかは知らんがな。適当だなあ。
ま、基本的に素人考えなので、実現性もへったくれもないわけですが、素人考えにしても、電気自動車がエコという話は腑に落ちないところ。どうも理解しがたい。結局はエネルギーを使うわけでねえ。電気が環境に優しいなんて論理はおかしいと思うんだけど。電気が環境に優しいかどうかは、電気をどういう形で生み出すかによって決まるはず。化石燃料で発電してれば、化石燃料をエネルギーに車を動かすのと一緒のはずなんだよなあ。勘定としてはさ。
以上、ちょっとした疑問を書いてみました。こういう話は難しいな。たまに理系チックなことを考えると難儀する。……熱出てきた。休む。
追記(2008/06/20 21:15)
わかりやすいお答えをいただきました。
精製された物質によって燃焼温度が違うってのは知ってましたが、それが意外と大きなロスとなるんですねえ。いやあ、勉強になりました。感謝、感謝。