この問題ってのは各人それそれ意見がありましてな。
俺個人としては、現在の議員待遇は低いと思っているので、もっと手厚い対応をしてやれと思う。ただ、その「手厚い待遇の仕方」に工夫が必要だと思っているのよね。
例えばさ、なんでこういう在職期間か、というからくりの話。
名古屋市議の平均通算在職期数は3.41期(1期は4年)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201003/2010032700263&rel=j&g=pol
“平均”の在職年数が13.6年
2010-03-28
これ、議員年金の受給資格に関係あるに決まってるのよね。
第161条 退職年金は、地方議会議員が在職12年以上で退職したときに、その者に給するものとする。
http://www.houko.com/00/01/S37/152.HTM
「参議院議員は2期辞める人が……」みたいな話で、ええ。
受給額:年額平均約95万円(都道府県議会議員約195万円、市議会議員103万円、町村議会議員68万円、いずれも2007年度平均)
議員年金 - Wikipedia
そりゃみんな欲しいでしょ。年金権利をゲットしてから辞めたいでしょ。
ここに「何が何でも3期」という動機付けが生まれるわけで。「インセンティブ」ってヤツだわな。3期勤めることにメリットがある。だからそれを目指す。12年クリアしてから辞めようと。3回目の当選に必死になったり、「次はキミに譲るから、今回は」という取引の材料になったり。そしてその3回目の当選に味をしめて、「4回目も目指す」と心変わりして分裂選挙になったり。元秘書が対抗馬で出てきたり、県連が割れるパターンというのは、結構こういうところが背景にあったりな。
で、このあたりの話というのは、大相撲の年寄株と似ておりまして、ええ。理事の選挙と構図は一緒。「次はオマエ」の順番が守られるかどうかと、その見通しがどれだけ確かなものかという要素が、権力抗争に微妙に影響しましてな。それが権力者の信用というか……ま、これは余談。
こういう年金制度が本当にいるのかねーと。厚生年金とか国民年金じゃ何でダメなのかねーと。年金の2階建てにする意味がイマイチわからんのよね。こういう高待遇はいるのかねえと。議員年金だけ別個にする意味がわからん。普通の会社員同様、収入に応じた年金額を払う厚生年金の考え方か、国民年金よろしく、毎月定額をそれぞれ支払っていただけばいいわけで。議員だからってその他の年金を用意する意義がわからんのよね。収入の範囲内で、各々勝手にやりなさいよ。
でもってこういう議員の待遇に関して意見が分かれるのは、議員の仕事への対価が誰もようわからんというところにある。適正な値付けができん。500万がいいのか、1,000万円がいいのか。どのあたりの額が適性かどうかの基準点がないから、高い・安いの議論が不毛になりがち。
同時に「何もしない議員」にとっては高待遇であるという事実がある。秘書を雇わない。事務所持たない。なるべく質問もしたくないし、本会議だけ出席して、大過なく任期を勤め上げ、できれば3期やって年金を、と考えるならいい商売なわけ。兼業もアリだしなあ。近所の○○屋(適当な商売を入れよ)のオヤジが、地元の顔役の支援で選挙に出て当選して、議員しつつ○○屋。こういうパターンの場合、収入は二毛作状態になるので、かなりおいしい。議員になったからって、支出が増えるわけじゃないしな。面倒なら辞任しちゃえ。
ところがマジメに活動するとキツイ。
個人的なことになるけど、自分が個人的に良く知る都議さんや埼玉の市議の皆さんがたって、結構金がなくてピーピー言っていたなあ…。
ネット時代の地方議会不要論、という感じの雑感: やまもといちろうBLOG(ブログ)
これはガチ。マジメに議員活動すると歳費だけじゃ足りない。国会議員なら3人まで秘書を国費でまかなえるけども、地方はそれもない。しかしマジメに政治活動をしようと思ったら、スケジュールの調整だの、連絡だの、雑務だのをやってくれる人員というのは絶対に必要で、ついでに言うとそういう人員が働く場所=事務所も必要。電話をとってくれる、メールチェックしてくれる人間がいないと、なんにもできんだろ。本人が全部できるかい?
そういう費用が出ない以上は、自分がもらっている歳費から雇い入れる人間の給料を出さねばならん。年収1,500万だろうがなんだろうが、500万の人をふたり雇ったら、残る額はいくら? という話になる。「いやいや、しかしそれでも多いじゃないか」という話もあるが、自分の収入を削らないと政治活動ができない議員というのはどうなのかねえと、そういう話になりはしませんかね。ま、このあたりは価値観だろうが。
まあ、本来は政務調査費って、こういう政治活動の経費面を補うものだったわけだけども、領収書なしというあまりにもひどい運用をされた結果、「それは特権だ!」ということになって使いづらい状況になったり、廃止するところが出てきたり、クソマジメな人間は「政務調査費をいただきません!」みたいな公約を出してしまい、自分の首を締めていたりする。マジメにやればやるほどババを引く。
つまり、「政治活動をしない」ことにインセンティブが働く現在の議員制度に問題がある。これはいかんと俺なんかは思うわけだ。河村たかしを支持するわけではないし、彼への判断は名古屋市民がよろしくすればいいわけだけど、問題提起としてはアリだと思ってる。
個人的に思うのは、「マジメに政治活動をするとお金が足りない」「マジメに政治活動をしないほうが得」を是正すりゃいいわけで、公費での活動費補助を手厚くするのが現実的じゃないかなあと。しかも月いくらで定額を払うのではなく、領収書などの裏付けを伴なう経費精算。月いくらまでの額の制限と、経費の費目に関する制限を設けた上で、その範囲内の費用を出したれよと。
そうするなら議員歳費を減らしてもいいと思う。今、問題なのは、マジメな議員は持ち出しをしないと政治活動をできない点にあるわけで、持ち出しをしないでも政治活動をできる環境を整え、議員歳費が本人の収入になるんであれば、誰もプアーにならんので、議員歳費を減らしても問題ねえと思う。額面がいくらあろうが、持ち出しが大きいあまりに、本人の手元に残らねえ現状が問題なわけでのう。
一方でこれは不マジメな議員に対する利益を減らすことになる。費用に対する補償なわけだから、何もしない議員の収入は減るわけで。手厚い待遇と言えど、何もしない人間にとっては手厚くならない。ここがポイントで、それをやるには経費主義しかないんじゃねえの? 「使い道は問わない」式の交付はダメだんべ。政党交付金とか、政務調査費はいかんよ。
と、思うわけなんですが、皆さんは如何お考えですかね。