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俺はたばこ吸わないけど、吸わないからという理由で無関心じゃいられない。
というのも、この話には根本的な思想、哲学、方向性がまったくもって見当たらないから。非常に場当たり的で、思いつきで、恣意的で。
そのために、放っておくと自分が大切なものに飛び火する可能性がある。そういうリスクを見過ごすのは嫌。
基本的な論点については以前に書いているけども、たばこ税の税率云々を議論するにあたっては、たばこ税をどう考えるかという前提が必要。でもって、その前提に沿った目的を設定し、その目的を達成するための手段としての税率議論というのが筋のはず。
税収の極大化か、国民の健康か
端的にまとめれば、国として金が欲しいのか、国として国民の健康が欲しいのか。このどちらの目的があって、税率をどうするのかという話。
税収が最大になる税率は何%か?
たばこ税の税収は、売れたたばこ×税率で決まるわけだから、たくさん売れて、且つ高税率であれば最もホクホクなわけだけども、あまりにも税金が高くなれば、たばこを買う人が減り、結果的に売上も下がって、たばこ税収も減る。その逆もまたしかりで、たばこ税を下げたことで、売上が増えたとしても、あまりにも税率が低ければ税収が減る可能性もある。
でもってたばこ税の税収だけども、基本的には2兆円で安定。増税分と売上減で行って来い。
ただ、喫煙者は減る一方。たばこにお金を出すパイは減っている。
「昨年私は毎年100円ずつ上げようと(政府税制調査会で)提言した。いろいろなデータからすると(1箱当たり)700円台ぐらいまでは税収が減らないので、少なくともそこまではたどり着きたい」
http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2011090500491
こういう状態で、何を根拠に700円まで上げても大丈夫って言っているのか、ちょっとよくわからない。
単純に考えて税率を上げれば上げるほどたばこ離れは進む。で、今のところはそのたばこ離れが税収減につながるほどには目立ってないだけで、どこかでガクッと落ち込む可能性もある。まして喫煙者の割合が減っているわけで。
税収の最大化を目指すなら、もうちょっと数理的な検証が必要で、「700円までいけるっしょ」みたいなノリでやられては困る。ちゃんとした根拠出せやオラ、と。少なくても民間企業では、製品価格を決めるにあたり、そういうことを当たり前にしているわけでね。
たばこを滅ぼすつもりはありや?
いや、そうではないと。税収を増やしたいわけじゃないんですと。国民の健康が第一なんですと。だとしたら、たばこがまったく売れない状態が理想ということになる。たばこ売上ゼロ。よってたばこ税収もゼロ。これが理想。
だとすると「700円台ぐらいまでは税収が減らないので」というくだりと矛盾する。吸わせないことが目的なら、吸おうと思わない額に設定すりゃいい。
でもそうではないと。税収が減っては困ると。困るからじわじわ上げて、減らない上限の700円まで行ってみようと。
こういうところに底の浅さが透けて見えるんだよな。哲学の無さというか。「国民の健康が第一」という方面なのにそこそこは売れて欲しい。税収も欲しいと。でもたばこは体に悪いんです。なるべく吸わないでくださいね。
おかしい。
中途半端なんですよね。すべてに。税収が欲しいなら、税収を最大化できる価格はいくらか、ちょっとでも割り出す工夫をしてみろと。健康を守りたいなら、たばこを吸えない価格にまで引き上げてみろと。
そのどちらもできないところが嫌なわけですよ。場当たり主義なわけです。哲学の無さの表れなのです。
まして「禁煙推進議員連盟」の人が言っていることだもんな。理由や目的、思想があってたばこ税引き上げにつながったわけじゃなくて、単に禁煙を推進したい人の意見に思える。一般的に利益当事者の発言は割り引いて考えるのが普通。たばこ税の引き上げに賛意を求めるなら、もうちょっと客観的な説明が欲しいですね。禁煙推進が信条の人間の言葉を真に受けるわけに行かない。まして大臣ってところがちょっとタチが悪いよな。
というわけで、俺はたばこ税引き上げに反対。根拠のない増税は次の何かへの増税につながるだけ。