一言で表現すれば「つるかめ算」。
正規雇用を増やした分の人件費増が導く当たり前の結論というか、ええ。
ツルとカメがあわせて8匹、足の数があわせて26本であるとき、ツルとカメは何匹(何羽)いるか。ただしツルの足は2本、カメの足は4本である。
鶴亀算 - Wikipedia
この例題をさ、
正規雇用と非正規雇用が合わせて10人、月々の給与が170万円であるとき、正規雇用と非正規雇用はそれぞれ何人いるか。ただし正規雇用の月給は20万円、非正規雇用の給与は15万円である。
こう変えて、「適正な配置人数は何人か?」を計算すれば自動的に出る話だわさ。
結局のところ人件費を増やすには、売上を増やすか、人件費以外の費用を減らして、それを人件費にあてるかのどちらかしかない。でもって、
ゆうパックだけで毎年1千億円規模の赤字が出る
http://www.asahi.com/business/update/0211/TKY201102110289.html
売上が上がるどころか、売上が減り、赤字見込みになったと。そうなると、
経営改善策で人件費の削減を掲げていた。
http://www.asahi.com/business/update/0211/TKY201102110289.html
となるわけで。ごくごく自然な成り行き。
あとは価値判断の問題で、
非正規社員約6500人を正社員に登用した。
http://www.asahi.com/business/update/0211/TKY201102110289.html
という待遇の改善と、
「数千人規模になる可能性もある」
http://www.asahi.com/business/update/0211/TKY201102110289.html
という雇い止め。この両者を天秤にかけて、どっちが得で、どっちが損か、という話でしかない。山を高くすることと引き替えに谷ができた。どっちがいいんだろうね。「誰にとって」という視点はまた別の話ではあるけど。
正規雇用の推進か、ワークシェアリングか
ある意味でこの選択肢をつきつける話。
正規雇用に舵を切れば、正規雇用の方が非正規雇用より人件費が高い以上、雇える人数は減る。ある程度の人数をより幸せにする一方で、ある程度の人数は職を失う。一方、広く薄く職をという考え方でワークシェアリングすれば、正規雇用の人数は減るが、ひとりあたりの人件費が減る分、人数は多く雇える。
ある企業、ある組織体が使える予算に限度がある以上は、結局はどちらかを選ぶしかない。結局は人件費という費用配分方法の問題だから。
ウルトラCを考えるとすれば、人件費という費用に特別な仕掛けを施すしかない。暴論覚悟で書くと、こういう方法がある。
人件費の損金算入優遇
ぶっちゃけですよ、中小企業の社長さんって、毎年の決算で利益を出そうと考えてませんよ。「利益にゃ税金がかかる。そんなのバカらしい」って考え方をする人が結構多い。オーナー社長だと特にそう。会社の財産イコール自分の財産みたいなもんですから。
戦後まもなくの時代こそ、赤字申告の法人(欠損法人)の割合は3割程度ですけど、今や7割。
昔と違い、人口減の社会ですから、企業を成長させることは難しいわけで、企業の成長のためのお金を社内に残すよりは、毎年現状維持でおkで、個人の手元にお金を移す方がよっぽどマシとなっているわけですな。
だとするならば、よりお金を使ってもらえるようにする方が利口なんじゃないかと思うわけです。社長さんがもっと人件費にお金を使いたくなるようにすればいいと思うわけです。
例えば、支払った給与額の1.1倍を経費として申告してもよいことにしてはどうでしょう。20万円を給与として払った場合は、22万円が経費になる。
「他のお金の使い道より、人件費に使う方が得じゃん!」
社長さんがこう考えてくれればしめたもの。人件費が増えれば雇用も増えるし、待遇も上がりやすくなる。
もちろんデメリットはあります。
法人税収が減る
経費を多目に認めるわけですから、税収は減りますわね。これ、デメリット。
ただ、法人のお金を個人に移すわけなので、所得税収は増えますし、消費税収も増えるかもしれません。トータルでは税収減になることでしょうが、他の面で回収できるので、マイナスだけにはならんでしょう。
まあしかし本格的に雇用を増やしたいなら、このあたりに手をつけるしかないと思うよ。国内の経済的パイは小さくなる一方なわけで、商売がやりづらくなる一方。その中であえて雇用をしたいと思わせるには、雇用をした方が得だと思える仕掛けをしないと無理。
ま、暴論だし裏付けは何もありませんけど。でも、このままだと雇用を増やせる状況にはならないし、何かしないとね。もっといい案があれば誰か教えてください。
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