せっかく政権交代した直後なんだから、今のうちに全部膿を出し切ってしまえばいいのにねえ。手抜き除染問題の話。
福島第一原発周辺の手抜き除染問題で、石原伸晃環境相の動きが鈍い。5件の手抜きは認めたが、横行していたことは今なお認めていない。29日の定例記者会見では「過去の政権で行われたこと」と強調。自らに火の粉が降りかかるのを避ける姿勢がにじむ。
http://www.asahi.com/politics/update/0129/TKY201301290403.html
自らに火の粉が降りかかるのを避けるには、今、ここで全部を明らかにして、もうこれ以上はないことを明確にしたほうがいい。前任者の責任になるうちに、現任者は膿を出したほうがいい。
こういう前任者の問題が現任者に降りかかることってよくある。会社とか学校とか。引継ぎがあるものすべてに起こりうる話。自分が前任者のあれこれで悩まされることだってあるだろうし、逆に自分が現任者を苦しめることだってある。
だからこそこういうケースって「組織内でどう生きるか」というモデルケースになると思う。前任者時代に不祥事があった。そしてその不祥事は現在も継続している。そして現在の責任者は自分。どうする?
- 作者: コリン・パウエル,トニー・コルツ,井口耕二
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2012/09/28
- メディア: 単行本
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中隊が所有する物品はすべて、通常物品簿にインクで記録する。交代時は、新旧の指揮官が一緒に物品の確認を行う。
『リーダーを目指す人の心得』207ページより
新しい指揮官には、物品受領のサインをして着任したあと、不足などの食い違いをみつける猶予が30日間与えられる。この30日間に不足を発見した場合、前任者の責任とするか、あるいは、自分の責任ではないとする手続きがとれる
『リーダーを目指す人の心得』207ページより
これを我々は「30日過ぎればシーツは君のものだ」と表現した。31日目からあと、食い違いはすべて新任指揮官の責任になるのだ。
『リーダーを目指す人の心得』207ページより
アメリカ軍では30日過ぎれば全部現任者の責任。だから、引継ぎは厳密にやるし、引継ぎを終えて、30日を過ぎれば、すべては自分のこととして責任をとる。
安倍内閣が発足して約1ヶ月。今だからこそ前任者のせいにするチャンスなんじゃないのかなあと思う。これから時が経つほどに、悪い情報はますます出しづらくなる。隠すほうに利益が出る。表に出すほうに利益がある今のうちに処理すればいいのになあと思うのであります。
ちなみに前掲書にはこんな続きがある。
彼らは(「選挙で選ばれる政治家」のこと)、いつまでも前任者を非難できる。うまくいかないことがあるなら、それは自分たちの責任ではない。うまくいっていることは、受け継いだ惨状を自分たちがなんとかしたからだとする。
『リーダーを目指す人の心得』209ページより
石原氏は政治家だから、いつまでも前任者を非難する道を選んだということなのかもね。
なお、前任者が同じ党の人間であった場合には、文句は小声にしなければならないかもしれない。
『リーダーを目指す人の心得』209ページより
そして石原氏の後を受け継いだ自民党の議員は、もう文句を言えない。
組織的な隠蔽ってこういう流れで起きるのだなあ。