自分も度々ワタミのことを書いてきたけども、さすがにこれは無理筋じゃないかね。
「十分に体力がある大企業が最低賃金ギリギリで雇用しているような状態を放置していいのか」
ワタミ居酒屋 最賃と同額時給で募集/小池氏告発 体力ある大企業がこれではダメ
別にいいんじゃないでしょうか。下回ってないんだから。法制度上なんの瑕疵もないわけで。
ワタミグループの居酒屋の募集時給について、47都道府県の店舗の調査結果を提示。このうち、13都道府県の店舗で募集時給が最低賃金と同額でした。
ワタミ居酒屋 最賃と同額時給で募集/小池氏告発 体力ある大企業がこれではダメ
しかも13都道府県で最低賃金と同額ということは、他の34県はそうではないとも読める。つまり34県では最低賃金を上回る賃金であるから、考えようによっては「ワタミ頑張ってるじゃん」ともとれますわね。
ま、しかしこういう求人における賃金というのは、まさに需要と供給で成り立つもので。安くても応募があるなら安いままだし、応募がなければ金額を引き上げるしかない。
最低賃金ギリギリの求人があるということは、その地域ではその条件でも人が採れるということで、そうではない地域があるということは、その場所ではその条件で人が採れないということ。最低賃金というルールの中で、企業も労働者も自由な経済活動をしているということであり、特に問題を感じないわけであります。このあたり共産党・赤旗の「大企業は敵だ」的なポジショントーク以外の何者でもないよな。
むしろここで感じ取るべきは、最低賃金がまがりなりにも機能しているということであります。ワタミが如何にブラックと騒がれようが、さすがに最低賃金を下回る条件では働かせられない。ブラックでもそれはしないということであります。
で、何故最低賃金を下回る賃金で働かせられないかというと、これは労働法制が機能しているとか、労働局その他当局が頑張っているというという直接的な理由ではなく、とても間接的な理由であります。恐らく求人広告関係者の自主規制の賜物であります。
求人広告を出そうとした経験がある方は心当たりがあるでしょうが、広告の文面や条件に問題がある場合、基本的には求人広告を載せてくれません。訂正するように言われます。例えば、休憩時間の記載がない場合は、その記載をするように。夜間帯の勤務時間に募集をかける場合は、通常の25%増しの時給にするように言われます。
最低賃金も正にその対象で、このあたりの瑕疵がないかどうか、広告媒体の営業マンはかなりチェックしており、最低賃金を下回る条件での広告掲載は難しい。コンプライアンスという言葉が一般化しつつある昨今では特に。昔はそのあたりいい加減な業者もありましたけどね。
なので、広告にお金をかけ、大規模な求人をかける大手企業ほど、最低賃金を順守しております。そうでないと求人かけられないからね。仕方ないね。求人にお金をかけない中小は知らん。中小企業の経営者の場合、最低賃金知らない人もいるし。縁故採用の場合なんて特にあやしい。大企業の方がまし。
もし賃金水準を上げたいのであれば、「十分に体力がある大企業が最低賃金ギリギリで雇用しているような状態を放置していいのか」というヘンテコな理屈ではなく、単純に最低賃金を上げてしまえばいいんだと思います。ルールの運用を変えろと私企業に要求するんではなくて、ルール自体を政治で変えればいいんではないですかね。
むしろこういう議論のほうが建設的であろうかと思います。
私からは以上です。