(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

ホテルの裏側のさらなる解説

ども、ゴールデンウイークが一息つき、落ち着いたところであります。

こんなまとめ記事を見たので、例によって少しツッコミを入れていきたいと思います。

こういった記事と合わせてご一読いただければ幸い。宿泊業の内側からの話を混ぜつつ。

予約をとるとき

チェーン展開しているようなビジネスホテルの場合、大抵は自社の予約システムがあり、元記事にあるように予約情報を入力します。
基本的な情報としては、名前・電話番号・宿泊日・部屋タイプ。これが必須。あと部屋タイプに付随して禁煙か喫煙か。その他備考として、枕の好みであるとか、上層階希望だとか。そういった情報を入れておきます。
楽天じゃらんるるぶなどのサイトから予約をとる場合、予約者が備考欄にメッセージを書き込めるので、希望があればここに書き込んでおくと何かと良いです。さらに施設に直接電話するなどして確認しておくとなおよし。
JTBやknt!、日本旅行などの旅行会社予約の場合、鉄道情報システムを使って予約管理することが多いので、鉄っぽい専門用語でやりとりすることも。例えば「キンエンキボウ ショウシュウヨロタム」とか。「よろしく頼む」を「ヨロタム」と略すのですね。できれば禁煙室、喫煙室の場合はタバコのにおいがないように消臭してねと。そういう話です。

料金設定

ホテルの部屋というものは、基本的にはいつでも同じものであり、内容に変化はありません。なので、価格も同じであってもよさそうなものですが、そこは資本主義経済。需要と供給のバランスによって価格が変化します。元記事にあるように「売れる日は高く!!」ということになります。
繁忙期は高く、閑散期は安い。翌日も休みである土曜日は高く、休日でも翌日が平日である日曜日は安くなります。「休前日」という考え方をするのが特徴。呼び方はそれぞれですが、「通常料金」「基本料金」「ラックレート」という価格があり、黙っていても売れる日は、その料金が適用されます。あとは売れ方に応じて価格を下げます。
なので「売れる日は値上げする」というより、「売れる日は値下げしない」という考え方が正確かもしれません。「売れない日は値下げする」でもあります。

部屋割り(アサイン)

ここはスタッフの腕の見せ所で、パズルのテクニックなわけですが、事前の情報が判断の基準。なので、情報がなければ適切な部屋割りができない。お客様視点で言えば、良い部屋割りをしてもらいたければ、事前に情報をホテルに伝えておいた方がいいです。ホテル側としても、事前に言われてなければわからんもの。
特に「譲れないもの」がある場合は必ず事前に。また、譲れない条件がある場合は、譲れるものを合わせて伝えておくとよりベター。例えば複数部屋を予約している場合で、かつ禁煙室を希望している場合、「フロアは分かれてもいいので」と譲れる条件を伝えておくと、希望が叶うことが多いです。逆に「あれもダメ、これもダメ」だと希望が叶いづらい。相手だって人間だからね。面倒な人の希望は後回しにしたいよね。しょうがないよね。

清掃

これはほんとにねえ。あるんですよ、清掃の不備。これはもうハウスキーパーさんも人間なんでね。また大きいホテルだと客室数も多いので、指示漏れ、抜け、ミス。どうしてもあるんです。あっちゃいけないんですけど。
連泊で利用する場合によくあるのが「巻き込み」。ベッドの上に置いておいたものがなくなる。よくよく調べてみると、シーツをはぐときに、一緒にとってしまった。白いシャツ、ハンカチ、タオルだと見つかりづらい。
ミスがあるという前提で「インスペクション」という確認作業をするものの、逐一すべての行動を見ているわけではないので、ミスをゼロにはできないんですよねえ。ミスがあっちゃいけないんですけども。

忘れ物

基本的には遺失物法に基いて保管します。勝手に捨てちゃダメだからね、しょうがないね。
元記事に「ゴミ置き場のゴミ袋を全てあさりました」とありますが、「全て」を調べるのを避けるため、ホテルによっては部屋ごとのゴミを分けて捨てたり、ゴミ袋にハウスキーパーさんの名前を記入するなど、ある程度の目印をつけたりしています。
帝国ホテルとかになるともっと凄くて、ゴミに見えても、部屋から出るものはとりあえず捨てない。一定期間は保管しているそうな。ま、そこは国内最高級ホテル。さすがであります。

チェックイン

宿泊の日数とかお部屋のタイプの確認などをチェックインのときにするわけですが、元記事にあるように、まあいろいろ情報が間違ってたりするわけです。よくあるのが日付違い。1ヶ月間違い。予約来月になってますけどー。
とはいえ、これはお客様のミスとは限らない。ホテル側の入力ミスも結構ある。できるフロントとかだと、ホテル側の間違いで予約が入っていなかった場合、なるたけ情報を引き出し、さもミスがなかったかのように、普通にチェックインする。1ヶ月先の予約になってたなんておくびにも出さない。……後でミスった奴にはお仕置きな。
で、こういうのがあるので、電話予約よりネット予約をホテル側は好みます。予約の日付間違いとか、お部屋のタイプが違う場合、お客様の予約ミスにできるからね。

見回り業務

デリヘル嬢を呼ぶ人いるよねー。
基本的にビジネスホテルは、宿泊者以外の入室お断りなので、もちろんアウト。どうしても呼びたい場合は、はじめから2名部屋を予約しておくよろし。2名部屋であれば、もう1名がデリヘル嬢であろうと、その人と「泊まった」ということにすればホテル側は文句言いづらい*1

FOREIGNERS

最近多いですよね。海外のお客様。ホテルでは「FOREIGNERS」という言い方はあんまりしません。「インバウンド」という言い方が主流かな。
多いのはやはり韓国、中国。ツアーでいらっしゃる。最近はASEAN地域のお客様も多いですね。タイとか。
欧米からのお客様はツアーではあまり来ない。大抵は個人旅行です。
インバウンドのツアーだと、最近多いのが茨城空港とか、静岡空港経由。飛行機の発着料金が安いので。茨城から東京に入って1泊、次の日に伊豆とか富士山とかを巡って静岡で1泊。そして静岡空港から帰るという2泊3日の強行軍ツアーとか。それで日本を満喫できるのでしょうかね。

チェックアウト

チェックインはそれぞれ思い思いの時間にお客様がいらっしゃるわけですが、チェックアウトはどうしても集中しがち。なので時間のかかることは、チェックアウトの時間を避けて頼むのが吉。
例えば宅配便であるとか。あるいは領収書であるとか。あらかじめ手続きするなり、準備してもらう猶予をあげないとね、ホテル側も対応できない。
夜間などはホテル側も余裕があるので、なるべく暇なときに頼んでおきましょう。
とまあこんな感じ。細かいところはホテルごとに違いがあるだろうけど、基本線は一緒です。
では今日はこのへんで。

*1:言えるけど、表面上はね。