(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

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旅行で宿泊施設をおさえるだけなら電話予約が最強です

どうもこんにちは。実は飲食業界だけではなく、宿泊業界にも詳しいタケルンバです。

最強なのは「電話予約」

旅行で宿を押さえる最強の予約方法は「電話予約」である

こんな記事を見かけたので、内部情報をバッチリ書いてみたいと思います。

*あくまで経験に基づく予測ですので、現場の方がいらっしゃったらこっそり実際のところを教えてくださいw

旅行で宿を押さえる最強の予約方法は「電話予約」である

ごめんよ、こっそりどころか、ブログ記事にしちゃうね。

予約をとるだけなら電話最強

いきなり結論から書くと、「最強なのは『電話予約』」は概ね正解。
ただ、あくまで部屋をとることに関しての最強であって、価格面では最強ではありません。
「値段はともかく、どうしても1部屋とりたい!」
こういうときに最も有効な手段。とりあえず現地に直接問い合わせると幸せになれるかも、という話で、お値段的にお安く予約できる手段ではないというのがポイント。

エージェントと予約サイト

ではここからは宿泊施設がどうやって空室を管理しているかの話です。

ほとんどの宿では、ネット予約枠、旅行代理店枠、電話予約枠がわかれているようなのです。少なくとも、今まで泊まってきた宿ではそうでした。ちなみに枠はさらに会社ごと区切られることがあるようです。楽天じゃらんとか、JTBとJRとか。

旅行で宿を押さえる最強の予約方法は「電話予約」である

概要としてはこんな感じなのですが、これを詳しく。
どこの宿泊施設も、大抵は自社の経路だけではなく、他社からの予約に頼っている面があります。

大まかに分けてこの2つ。
エージェントの場合は半期ごとに販売数と販売価格を決め、契約します。
「シングル5室を6,000円で」
みたいな感じですね。
予約サイトの場合は随時サイト上から宿泊施設が設定します。販売する室数も価格も自由。

「らく通」で販売数を一括管理

で、部屋の管理ですが、個々に管理すると面倒くさい。

たとえば枠が無かったとして、旅行代理店とネットで予約が進行している間に、宿へ電話で予約が入ったら、とても複雑なことになってしまいますよね。

旅行で宿を押さえる最強の予約方法は「電話予約」である

こういう事態を避けたい。
なので、ある程度の規模がある宿泊施設の場合、専門のソフトを導入してます。

代表的なソフトがこれ、らく通。このソフトで各社への販売数を事前に設定しておくと、予約が入るたびに設定していた数から減算され、それがゼロになったら販売停止と。
このソフトが便利なのは、予約サイトの場合、どのサイトから予約が入ったとしても、同じところから減算されるように設定できるところ。例えば10室販売するとする。じゃらん楽天るるぶで販売する。その場合、どこから予約が入っても、この10室から減算されるんですね。個別に設定しなくていい。
また、この10室が0室になった場合、どこのサイトも予約停止、満室扱いになる。個別に設定しなくていい。
実はここがエージェントと予約サイトの違いで、エージェントの場合、代理店契約に基づくものなので、販売数が相手方ごとに設定されており、そのために個々に設定する必要がある。一方、予約サイトの場合、そこまでの細かな取り決めがないので、自由度が高い。
予約サイトの場合、じゃらんが満室なら、楽天るるぶでも満室の可能性が高いわけですが、エージェントの場合、JTBが満室でも、knt!や日本旅行に空室があったりする可能性があります。個別契約ですからね。

売りたい優先順位

宿泊施設側がどういう優先順位で予約をとりたいかというと、他社を介さない予約が一番。自分のところでWebページを持っているなら、その予約システムでの入力が一番ありがたいし、次に電話などの直接的な手段。
予約というのは間違いがあっては困るので、記録に残るものの方がいい。というわけで、自社予約の中でも、システム経由がベストで、次にメール、次にFAX。電話予約はどうしても行き違いが起きるリスクがあるので、できれば避けたい。宿泊施設がネット経由での予約を推奨する理由でもあります。
何故自社優先かといえば、それは手数料の問題。エージェントにしても予約サイトにしても、売ってもらったら手数料を支払う。もらったお部屋代が全部自分のものにならないわけです。手数料率は各社違いがあるけども、支払うことには変わりない。
ただ、利用者側が考慮に入れたほうがいい点は、エージェントの場合、宿泊施設と予約者の往復で利益を得ているので、その分、割高になることがあるということ。
例えば1泊10,000円の部屋がある。手数料率は10%とする。この部屋の予約をとった場合、このエージェントには宿泊施設から1,000円が入ります。
ここで問題。エージェントはこの部屋をいくらで売ったでしょう。
実は10,000円では販売しないんです。10,000円はあくまで仕入れ値。ここにさらに利益をのせる。さらに10%のっけて11,000円とか。
予約サイトにはこういう「往復の利益」問題がありません。販売価格は宿泊施設が決めるものなので。
そのために、優先順位としてはこういう感じになります。

  • 自社(Web >> メール >> FAX >> 電話) >> 予約サイト >> エージェント

満室になりやすい順位

宿泊施設はエージェントや予約サイトで部屋を販売していますが、おおもとの空室状況は自分の施設で管理しています。当たり前ですね。
その管理方法は、予約システム的な何かを使っていたり、ノートに鉛筆書き(消しゴムさん大活躍)、大きな模造紙にペン書き(修正液のあとだらけでもうね)など規模や予算によって様々ですが、その都度その都度変化する空室数の管理を日々しています。
空室数が少なくなったら売り止めをかける。満室にするわけですが、その場合、まずは予約サイトを止めます。予約サイトは何せWebなので、即時性が高く、急なキャンセルが出て部屋数に余裕が出た場合でも、すぐに販売できる。なのでまずはここ。
逆にエージェントというのは即時性が低いです。販売してもらうための枠をあげているわけですが、「満室になったのでもう売らないでね。枠は返してもらうよ」と、販売を停止してもらうことを「返室」と言います。文字通り部屋を返してもらうわけですね。
で、これがまためんどい。何せ代理店契約ですから、この返室も契約に基づくあれこれがあるわけでして、ええ。「○○日前までは返室できまへん」とか。そんな規定があるわけですよ。
なのでどうしても後回しになります。予約サイトより後です。「○○日前までは返室できまへん」のような規定のために、先の予約ほど「予約サイトでは満室だけど、エージェントは空いてた」は起きやすい。
逆に直近の予約の場合、予約サイトとエージェントは変わりません。目安は2週間前(14日前)かな。このあたりだと、どこの宿泊施設もエージェントに気兼ねなく満室にします。
自社で販売している部分を満室にするのは最後。中でもWebを先に止め、最後は電話からにするのが普通。日々刻々と変化する状況に対応するには、直接やりとりする電話がもっともコントロールしやすいからです。

  • 予約サイト >> エージェント >> 自社(Web・メール・FAX >> 電話)

予備部屋(アロット)

大体どこの宿泊施設でも、何かあったときのために予備枠をとってあります。この枠を「アロット」とか言ったりしてます。
そのため、予約サイト上では満室となっていても、この予備枠の分だけ実は空室があります。直接電話をかけてとれるのは、このアロットの恩恵であることが多いです。
また、このアロットがある場合、エージェントから予約できる場合もあります。
エージェント予約は、先述したような販売枠を付与する方法の他に、予約の申し込みがあった場合、その都度宿泊施設に枠の有無を確認し、確認できた分だけ販売する方法があります。この方法を「発生手配」などと言ったりします。
この場合の価格は、電話予約より若干安くなる可能性があるので、エージェントの販売窓口で直接確認するといいかもしれません。
このアロットは、当日までの期間があればあるほど多くとり、直前になればなるほど少なくなります。が、当日でもお部屋の排水の故障などに備えるため、ゼロにすることはあまりないので、予約サイト上で満室になっていても、諦めるのは早計です。

価格的に安い順位

これはなんとも難しいところ。エージェントの力が強いと、エージェント経由が安くなり、自社サイトに力を入れていると、自社サイトが安くなり、手広くやっていると、予約サイトが安くなる。宿泊施設によって多種多様でありまして、これはなんとも。
ただ、確実に言えることが2つあります。

電話予約は高い

あらゆる予約の中で、電話予約は値段が高くなりやすいです。特に満室になりそうな日は、値段を下げる必要がないので、その宿泊施設の最も高い値段(=定価)となりやすい。
いくらネット経由の値段が安くても、あくまでそれはネットからの値段で、電話予約の場合はそれが摘要されないというところに注意。

インバウンド予約は安い

海外からのお客様を「インバウンド」と言います。で、どこの宿泊施設も、インバウンド向けの料金を下げているのが普通。どこも海外からのお客様を呼び込みたいですから。

このあたりが代表的なインバウンドの予約サイト。国内の予約サイトと比べ、1割から2割安い。
この他、海外の予約サイトから日本の宿泊施設を予約するという方法はなかなか有効です。韓国語がわかる方は、韓国のサイトから。北京語がわかる方は中国のサイトから予約すると吉。日本人でも予約できますし、日本人とバレたら料金が上がるとか、そういうことはまったくありません。
ただ、上記の3社のような大手だと、先ほど例にあげた「らく通」に対応しているため、国内の予約サイトと同じタイミングで満室になりやすいのがネック。「らく通」に対応していない、マイナーなインバウンド経由で予約すると、料金が安い上に、宿泊施設側も満室設定にするのを忘れていたりして、意外と予約がとれます。

  • インバウンド予約 >> 自社(Web・メール・FAX)・エージェント・予約サイト >> 電話

ウォークインをしてはいけない

予約もなく、宿泊施設に直接行って「今日、空室ありますか?」と聞くのは最もダメです。
こういう事前予約なしのお客様を「ウォークイン」と言います。「歩いて入ってきた」ということですね。
で、宿泊施設的には、ウォークインのお客様は怪しむ対象であって、警戒相手。満室が近い場合は、たとえ空室があっても「満室です」と言われる可能性が高いし、ちょっとでも怪しい素振りのある人は、空室だらけでも断ります。リスクを負う必要などないので。
また、料金的にも定価を請求される場合が多いので、損です。足元を見られる可能性が高い。
「直接行って話したほうが早い」というのは宿泊者の都合であって、そのほうが早いからこそ、より手間をかけたお客様を宿泊施設は望みます。ウォークインより電話のひと手間。そのひと手間分が信用。
電話よりWeb予約というのも同じ理論なんですけどね。

まとめ

予約をとるなら、とにかく電話。電話最強。
料金の安さなら、インバウンド最強。あとはボチボチ。電話弱し。
ウォークインは最低。高いし、断られやすいしでいいことない。格が高い宿泊施設ほどウォークインは嫌われるぞ。気をつけろ。
以上こんなところであります。

追記(2012-09-10 13:40)

電話予約でも、どうしても安くしたい場合のTips3つ追記しとく。

JAF会員

いわゆる高級ホテルはともかく、ロードサイドのチェーン店系ビジネスホテルだと、JAF会員向けの割引料金を設定していたりする。
JAF会員なら、とりあえず聞いてみる吉。チェックインの際に会員証の提示を求められるので、騙りは禁物。嘘つきは泥棒のはじまり!

契約企業料金があるかも

旧財閥系の大手企業だと、宿泊施設と企業契約を結んでいたりする。特にチェーン店系のビジネスホテルは狙い目。
所属する会社名を言って、契約料金の設定があるか聞いてみるのも悪くないし、あらかじめ総務に「契約割引料金の設定がある宿泊施設はありますか?」と聞いておくとなおよし。
JAF会員と違い、社員証の提示など身分証明を求められることは「まず」ないが、こちらもやはり騙り禁物。嘘つきは(以下略)。

冠婚葬祭で行く場合

契約企業料金の割引の中でも、よくあるのが冠婚葬祭関係。結婚式場と契約があったり、葬儀屋や火葬場、あるいはそのあたりの手続きをする役所で紹介するサービスがある。
このあたりもとりあえず聞いてみると吉。もちろんやっぱり騙りは禁物であり、嘘(以下略)。