(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

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続々・被災地の今を訪ねる(6)

続々・被災地の今を訪ねる(5) - (旧姓)タケルンバ卿日記 より続きです。
11月12日。2日目の朝です。天気は雨。昨年、一昨年と天気に恵まれていたので残念な空模様。早めに朝食をとり、7時30分にはホテルを出発。まずは石巻を目指します。


昨年と同じ陸前稲井駅付近を見に行きます。

2013年11月13日


2014年11月12日



相変わらず水面が高く、違和感があります。

2013年11月13日

2014年11月12日


橋桁は直されておりましたが、

2014年11月12日


裏側は崩れてきており、不安が残ります。
続いて稲井郵便局へ。

2014年11月12日


土のうで保護している応急処置の状態が続いています。

2014年11月12日


この場所に限らず、三陸地方の水辺では、このように岸辺を土のうで守っているところは多く見られ、応急処置の状態のままになっている場所が多いこと、治水工事が遅れていることを如実に示しています。
また、耐久性の問題も出てきています。この場所は「たまたま」問題はないのですが、所詮は土のう。袋が破け、土が露出している場所も多く見られました。乾いたところ、特に港などに土のうを積んでいる場合は問題ないのですが、河川沿いの場合は水を被るため耐久性に問題が生じやすくなっています。震災から3年以上も経っているわけで、本来は応急処置に過ぎない土のうの限界でしょう。本格的なかさ上げやしゅんせつ、護岸工事が必要になってきています。それも早急な。
続いて女川に向かいます。女川に向かう中での石巻市の風景は建設ラッシュそのものでした。沿岸を走る国道398号線の北側には、新しい住宅が次々と建てられています。

続いて国道398号線を走り、女川に向かう。このあたりも津波の被害を受けた地域だが、住宅が物凄い勢いで作られているようだった。
より海に近い国道の南側には新たに建てられている様子はなかったが、道路を挟んで北側には新築工事が集中していた。これは他の被災地にもあまりない光景で、これまでと同じ場所に再び住宅を建てるというところに「町を離れない」という強い意志を感じる。

続・被災地の今を訪ねる(7) - (旧姓)タケルンバ卿日記

これは昨年も見た光景ではあるものの、それがより強く前進しているように見えました。
正直、津波の被害を受けた場所に再び住宅が建てられているわけで、見ていて不安にはなります。果たして大丈夫なんだろうかと。もう一度津波が来るおそれはないのだろうか。正直そのあたりの判断は私にはできません。住む人の選択であり、行政の選択であり、それは何より地元の選択であるはずなので。
昨年、一昨年同様に女川原発が見える漁港に。

2013年11月13日

2014年11月12日


昨年からは大きな変化はない様子。昨年の時点で港のかさ上げ工事が行われていたため、変化の必要もない場所と言えるかも。
ただ、相変わらず女川原発では重機が激しく動いていました。

2012年10月24日

2013年11月13日

2014年11月12日


継続的に堤防のかさ上げ工事を行っているようです。

女川原子力発電所津波評価について、極めて厳しい条件での評価として、発電所前面の防潮堤に到達する津波の最大遡上水位を、O.P.※1約+23mと評価し、より安全性を高め、地域の皆さまにご安心いただく観点から、自主的な対策として、現在の防潮堤※2(高さ約3m、O.P.約+17m)をかさ上げし、防潮堤高さを約15m(O.P.約+29m)にする工事を実施することといたしました

女川原子力発電所における防潮堤かさ上げ工事の開始について| 東北電力

地震後、同発電所では、地盤沈下も考慮に入れ約3mの防潮堤を設置し、海抜約17mの高さとしましたが、更なる安全性の向上を目指すため、地震津波等をより厳しく想定し、対策の見直しを行いました。その結果、防潮堤は、最終的に海面から高さ29m※までかさ上げされることとなりました。現在、かさ上げのための作業用の杭打ちが進んでいます。

http://www.fepc.or.jp/enelog/field/vol12.html

確かに堤防の高さは上がっているように見えます。海面から29m。十分な高さに思えます。大丈夫だろうと思います。
しかしながら、私は人間です。29mの防潮堤。安全性は高いと思いますが、「絶対に」と問われると難しい。それを越える規模の津波は来ないのか。例えば、そうした想定を上回ったのが宮古市の田老地区ではなかったか。いや、あれは10mの堤防。女川は29m。規模が違う。多分大丈夫だ。けれども29mを越えないという確証は得られません。「絶対に」とは言えない。そこまでの先は見通せない。科学的に、統計的には安全と思いつつも一抹の不安は拭えない。ましてその被害を目の当たりにしてきただけに、これだけの備えを持ってしても安心できない思いがあります。

打ち上げられ、今もなお木に引っかかったままのブイを見ると余計に。
(おわり)