(旧姓)タケルンバ卿日記避難所

はてなダイアリーからの避難所

三大都市から地方都市へ

基準地価が上がっているようですな。

個人的な注目ポイントはこの2点。

 東京、大阪、名古屋の3大都市圏の中心部で、地価上昇に減速感がみられた

 新潟県富山県茨城県和歌山県香川県大分県などの県庁所在地11地点で、商業地を中心に新たな地価上昇地点が表れた

この記事ではここから「伸び鈍化 投資は地方へ」との見出しを打つわけですが、投資の動きというより、人間の動きがそうなりつつあるんじゃないですかね。東京・大阪・名古屋に出なくても、地元の大きな都市で十分という流れができつつあるんじゃないですかね。「とりあえず東京行くべ」という東京一辺倒の考えがなくなってきたんじゃないかと。で、それはここまでインターネットが普及すりゃ、当たり前の帰結のような気がするのですよ。
というのも、ちょこっとした買い物なら、ネット経由で十分買えるわけですよ。例えば、2月に「タケルンバ卿チャレンジトロフィー」を開催したとき、モーニングは千葉から、シルクハットを大阪から、そしてトロフィーを愛媛から調達しました。

この3つを調達するにあたりオレは1歩も家を出てまへん。ついでに言えば、電話1本かけてない。パソコンでのやりとりで全部完了したわけです。で、これらは宅配便で全部届いたわけですが、この例は宅配便で荷物が届く場所であれば、どこに住もうと問題ねえという証明なわけですよ。東京だろうとどこかの山奥だろうと結果は一緒。ネットにつながっているパソコンさえあれば、どこであろうと関係ねえと。つまりネットが都市の地方の差をなくしとるわけですな。
実際このあたりの利便性は女性の方が強く感じているようでして。いい例が下着と化粧品。昔は田舎にセンスのいい下着とか、化粧品は売ってなかったと。「『ナンチャラ洋品店』みたいな『ババシャツ専門店』ばかりで萎える」「横文字の化粧品ブランドが皆無」という話で、ファッション・コスメ分野の格差がかなり大きく、それが上京志向を生み出す一因になってたようですが、最近は地方の女の子でも「PEACH JOHN」だの「ORBIS」だの使っておるようですしね。どこに住んでいても、買えるものはそう変わらなくなったのですよ。もっともこういう話をすると「まだPEACH JOHN?」「まだORBIS?」と言われてしまうあたり、都市と地方の差はまだまだあるわけですが。とはいえ、都市と地方の差はなくなってきているのは確かなわけです。
で、こうした認識がいよいよ広まっていくと、将来的には地方回帰の流れが出てきても不思議じゃないと考えております。やはり郷土愛ってあるらしいじゃないですか。「今は都会に出ているが、いつかは地元に帰りたい」っていうのは誰しもあるんじゃないですかね。また、都会育ちの人間にとっても、地方っていいもんですよ。「喧騒の中でしか生きられない」人間は確かにいますが、「自然の中でしか生きられない」人間も確実にいますからね。他にも物価の問題や、色々なコストなど、地方の方がいいという理由はいくつもある。都市への流れは急に止まり、逆流が始まったとしても不思議でも何でもねえです。
ただ、現実問題として、そうそう一気に地方への流れはできない。それはリアル店舗の必要性があるから。いくらどこに住んでもネットで買えば同じと言っても、近所にコンビニがなきゃ不便なわけですよ。ましてや急な必要性があるときとかね。歩いて行ける範囲にお店があればやっぱ便利でして。そういう意味での都市の利便性は確かにあるのも事実だろうなあと。車がなきゃ何も出来ないというのは、やっぱり不便ですからねえ。
そういう意味で、今回の地方都市の地価上昇は「何が何でも東京という世の中ではないが、何もない田舎じゃ困る。とりあえず地元の都市に出てみるか」という修正上京志向の表れじゃねえかと。香川の山奥に住んでいた子は、昔なら大阪か東京に出ていたが、最近は高松市に出るようになったと。大学もあるし、仕事もそこそこあるし、大きなデパートもあるから買い物にも困らない。高松にないものはネットで買えばいい。慣れぬ大都会に出るよりは、実家に近い都市で十分じゃないか。そういうことじゃないでしょうかね。
そういう風に考えていくと、今後は地方の中で格差が広がる気がしますな。各県の中心都市とそれ以外という構図。そして中心都市に必要な機能は行政機能だけじゃなくて、高校・大学という教育機能、百貨店やショッピングモールなどの商業機能など。そうした機能が地元の都市になければ、近県のそういう都市に流れる傾向もできるはずで、必然的に道州制的な流れもできるでしょうな。東北だと仙台に集中するのは避けられん。そういうブロック化の兆しでもあるなあと考えたのでありました。……どっちみち、ガチで田舎のところには厳しい話だなあ。